さとうもか『WOOLLY』:PR

岡山から東京へ、スランプ、モヤモヤ──さとうもか、メジャー1stアルバムに込めた想い

2021.10.15

文=堀越 愛 撮影=向後真孝


岡山出身のアーティストさとうもかの楽曲には、聴く人に寄り添いながらも現実を突きつけるような、繊細さと大胆さが同居する。そんな彼女の待望のメジャー1stアルバム『WOOLLY』が10月13日にリリースされた。

メジャーデビューをきっかけに上京したのは今年の5月。収録曲の多くは、上京してから書き上げたものだ。地元と東京。変化する環境の中でスランプに陥りながら、自分と向き合い、時に傷つきながら生み出された『WOOLLY』に込めた想いに迫る。

※この記事は『クイック・ジャパン』vol.157に掲載のインタビューを転載したものです。

上京がもたらした気付きと変化

──今年の5月に岡山から上京して半年ほど経ちましたね。東京の暮らしはいかがですか?

さとう 東京に来て、岡山の良さがあらためてわかるようになりました。地元にいたのは「なんとなく」ではなく、「いたかったからいたんだなぁ」ってわかって。人生1回だし、違う場所で生活してみるのも良いなぁって今は思ってます。

──岡山を離れて上京することは、もかさんにとって大きな変化だったと思います。ただ、その中でも「自分はずっと変わらないでいたい」みたいな葛藤はありましたか?

さとう あります! 引っ越しただけじゃ変わらないだろうと思ってたけど、実際に東京に来てみると変わらざるを得ない部分もあって。できるだけ今までのようにいたいけど、なにも変わらないのは違うし。だからこそ、特に人との関係は今まで以上に大切にしたいなと思いました。過去にすがり過ぎるのも良くないと思って。人見知りだけど、関わる人とは仲良くなっていけるように努力しようって決めました(笑)。

さとうもか

──環境や心境の変化は、曲作りにも影響するものですか?

さとう 今までは「そのときに思ったことを曲にする」ことをずっとやってきてたんです。ただ、今回は引っ越しとかいろいろなことがあって、とにかくモヤモヤしてる状態だけど、自分でもなんで悩んでるのか段々わからなくなったんです。それでもめっちゃ考えたら原因がちょっとずつわかるようになって、それを曲にすることで吐き出せたところもあって……。(アルバムが)完成したころはすっきりした気持ちになっていました。

──曲作りが自分を癒すことにつながった、みたいな?

さとう 自分を救えることもあるけど、逆にわざと痛めつけてると感じることもあります。今はそこまで答えを出さんでも良くないか?みたいなことでも、曲にすることでわざわざ自分と向き合ってしまって。考えなくて良いところまで考えちゃうので、曖昧にできないからこそ嫌だなぁと思うこともあるんです。でも、(曲作りを通して)自分のことが理解できた感じはありますね。

さとうもかの抱える“モヤモヤ”が詰まった1stアルバム

──新アルバム『WOOLLY』に収録している曲の多くは、上京してから作ったそうですね。アルバム全体に共通するイメージみたいなものはありますか?

さとう 「いろんなモヤモヤ」が詰まってます。昨年出したアルバム『GLINTS』は夏を一番のテーマに考えてたんですけど、今回はそういうはっきりとしたテーマが全然思いつかなかったんです。ちょうどスランプみたいな時期で、曲を作らなきゃいけない、けど作れんなぁ、なにも思いつかんわぁ、みたいな感じになっちゃって。段々「自分がモヤモヤしてる」ことに気付いたので、それがテーマになりました。

──初めてもかさんの楽曲を聴く方に、オススメをするとしたらどの曲でしょうか?

さとう 「Woolly」と「ながれぼし」と、「いちごちゃん」かなぁ。

──「Woolly」はアルバムタイトル(WOOLLY)にもなっていますね。

さとう これが一番モヤモヤしてる曲ですね。大人になっていくうちに……特にここ1年くらい、自分が思ってることをあんまり言えなくなってしまったんです。それまでは思ってることを我慢することはなかったんですけど、自分の言動で誰かを傷つけたり、自分の選択で周りの人を困らせたり、誰かの人生を巻き込んでしまったりしてしまうことがあるから……。めっちゃ怖くなって、冗談だとしてもあんまり口に出せなくなって。

そうなったことで自分が前とは変わってしまって、勢いがなくなってるなぁと思うこともあったりして……。恋愛に関しても「本当は言いたいことがあるけど、言ったら終わってしまう」みたいなことが、年を重ねることでわかるようになったり。言わなくなってモヤモヤしていることを曲にしたのが、「Woolly」です。あと、東京のバンドメンバーと初めて作った曲なので、そこも推しポイントですね。

──たしかに、言わないことでモヤモヤすることって年々増えていく気がします。もかさんのYouTubeのコメント欄を観ると、歌詞に共感している人が多い印象があります。曲作りの際は、聴き手のことも強くイメージするものですか?

さとう そうですね。曲はどれも自分の出来事が元になってるんですけど、それだけで書いてしまうと伝わり辛いのかなと思って。なので、自分の出来事でも「友達の話」って思えるくらいまで心の中で変換してます。

──変換って、どんなふうにするんでしょう?

さとう どうやってるんだろう(笑)。うーん、もし自分に起きている出来事が友達に起きていたとしたら、私はなんて思うんだろう?っていうのを必死に考えます。自分がふたりいる、みたいな感じ。リアルな友達と恋愛相談してて「こうしたほうが良いんじゃない?」って思ったとしても、1から10まで言っちゃうわけでもないじゃないですか。それを心の中に作った架空の友達には言えるので、そこでちゃんと気付いて、傷付いて、それを歌詞にして、みたいな……。ややこしいですよね(笑)。

──……興味深い作り方ですね。2021年はメジャーデビュー、上京と、もかさんにとって転機とも言える年だったんじゃないかと思います。あらためて、これからどんなことをやっていきたいと思いますか?

さとう ライブやMVにダンスを入れたりしてミュージカルっぽくしてみたいとか、『みんなのうた』になりたいとか、合唱の課題曲になりたいとか、アイスのCMソングを作りたいとか、映画のサントラとか……

──たくさんありますね!

さとう めっちゃあった(笑)。でも一番リアルな目標は、毎年アルバムをちゃんと出して、1年の記録みたいな感じで残していけたらなぁと思ってます。今のペースだと微妙にできそうにない気もしますが、今回も「無理だ~」って思ったけどできたので、頑張りたいと思います(笑)。

さとうもか Moka Sato
岡山出身。シンガーソングライター。ユニバーサルミュージックEMI Records所属。2021年5月にシングル「Love Buds」でメジャーデビュー。唯一無二のハイトーンボイスで音楽業界のみならず各界から注目を集める。今年10月13日には、自身4枚目のフルアルバムでありメジャー1stアルバム『WOOLLY』が発売された。


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堀越愛

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