空気階段・水川かたまり『キングオブコント』優勝前夜に考えていたこと「害虫じゃなく、おしゃれな芸人になりたい」


労働環境の良い空気階段の“農園”

──ストレートに聞いてしまいますが、2年連続で『キングオブコント』の決勝に進みながら、すんでのところで優勝を勝ち取れなかった要因って、どんなところにあったと思われますか?

かたまり 一昨年はどぶろっくさんで去年はジャルジャルさんが優勝……。なんか大きな……大きな嵐に巻き込まれたというか(笑)。どうすることもできないことってあるんだなって。

──たしかに……。

かたまり 単独ライブをできるだけたくさんの人に観てもらうことが、コントをやる一番の目的なので、『キングオブコント』を獲れたら一番効果的なんだろうなとは考えています。単独を観たいと思ってもらえるようなネタをチョイスしようっていうのは、たぶんずっとそうなんですけど。……でも、運な気はしますけどね。

──賞レースを戦われる芸人さんは皆さんそうおっしゃいますよね。

かたまり もちろん10年出てるのでなんとなくの傾向みたいなものは肌感としてあります。ただそこを突き詰めていくのはあんま性に合ってないかなと思っていて。僕ももぐらも、精神が戦闘民族じゃないんです。オズワルドは同期で仲がいいんですけど、彼らはめちゃめちゃ戦闘民族だなと思います。もう絶対『M-1』を獲るんだっていう、殴り合いなんだっていう感覚がある。いや、でも優勝したいですけどね、めっちゃ。

──空気階段は戦闘民族というより、畑を耕して、コントの実が育つのを待つ。

かたまり 耕して、ときどきタバコ吸って休憩して。なんか雨降ってるから今日はやめとこうかぐらいの感じで、やってたいっすかね。

──野心はどうですか。この業界で成し遂げたいことは?

かたまり コンビ組んだときからずっとふたりで話してるのは、単独ライブを軸に、全国ツアーをやって、ふたりとも好きなラジオ番組やって。その上で冠番組というか、僕らが自由にできる場所があればいいなって。今はそのやりたいことのレールには乗ってるんで、レールの上の電車をちょっとずつ大きくできたらって感じです。

空気階段 水川かたまり
空気階段・水川かたまり(『芸人雑誌 volume4』未掲載アザーカット)

──かつて「理想論」と言われた「ライブだけでやっていきたい」という道を、東京03さんをはじめ先輩方がどんどん切り拓いている。

かたまり 東京03さんとかシソンヌさんが、憧れの畑を、農園を作ってらっしゃる(笑)。いいなあ、農園っていうのは。だからといって別にTVに出たくないということもなくて、TVの収録にも呼ばれて芸能人を見たいですし。天海祐希さんとかやっぱ見たいです。ありがたいことにいただくお仕事は増えましたけど、ネタを作って、劇場でネタやって、ラジオ行ってしゃべってっていうのがベースなのは変わらない。それで年5億もらえたらもっといいです。

──(笑)。空気階段農園は、すごくフラットな感じがします。コンビのどっちが農園主ということもない、どっちが農夫ということもない。

かたまり そうですね。コンビのどちらが仕切ってっていう関係性じゃないですね。ネタに関しても、よく僕が全部書いてそれにもぐらが足して、みたいに思われる方もいらっしゃるんですけど、全然ふたりで考えます。なんか、あんまり自分の想定通りに物事を進めるのが得意じゃないのかもしれないです。芸人をはじめたとき、今みたいな感じになるなんて思ってなかったですし。もっと最初はシュッとしてたいって思ってましたもん。おしゃれな芸人になりたいって。害虫じゃなくて。

──思った通りにはいかなかったけど、いい農園にはなっている。

かたまり 今はそうですね。やりやすいですね労働環境のいい農園です(笑)。お互いに面白いと思うラインやポイントが似てるからそう思えるんでしょう。

──なるほど。

かたまり コンビそれぞれいろんな形があって、片方が「面白い」と思ったことを理解せずともきちんと演じられる片方っていう関係でも全然いいと思いますけど、ふたりでいろいろ考えたりする以上そこの感覚は近いほうがいいのかなって。

『芸人雑誌 volume4』では、相方である鈴木もぐらのインタビューも掲載。表紙は空気階段、かが屋、蛙亭の3パターンで発売され、サスペンダーズ、ガクヅケ、怪奇!YesどんぐりRPGなど注目のお笑い芸人が多数登場している。

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