「アホ、ヘタレ、おもんない」と言われた山崎邦正。なぜ月亭方正は40歳で落語の道を選んだのか

2021.8.13

初めて手応えを感じて「まわりがピッカピカに見えた」

月亭方正

——方正さんはテレビでビンタされたりけっこうひどい目に遭ったりしていますけど、そこで本気で嫌がっているように見えたんですよね。それがこちらとしてはおもしろかったというのもあるんですけど。

方正 僕、出川(哲朗)さんによく言われたんです。「なんでまたモリマン対決やらないの? あんなオイシイのないじゃん」って。でも、僕は本気で嫌やったんです。出川さんはああいうのをエンタテインメントとして受け入れることができる人なんですよ。それは本当にすごいと思います。

——方正さんの「ヘタレキャラ」ってテレビではすでに確立したものがあったと思うんですが、ご本人はそれに満足していなかったんですね。

方正 満足したことは一回もなくて。モリマン対決が終わったあと、松本(人志)さんに「今日、日本で一番笑い取ったな」って言っていただいたこともあったんですけど、僕にはまったくその感覚がなくて。オッさんがボコボコにやられてギャーギャー騒いでいるだけだから、誰がやっても笑うんちゃうの、と思っていたので。

月亭方正

——ウケているとか盛り上がっているというのはご自分でもわかるはずだと思うんですが、それでも手応えがなかったということですか?

方正 手応えはほんまになかったので、ずっと神頼みでしたね。神頼みっていうのは精神がグラグラするんですよ。でも、落語は1回ウケたら、どこ行ってもウケるんですよ。グラグラがないんです。

テレビではそんなんがいっぱいあったんですよ。僕はこういうふうにやりたかったのに、こういう流れになって今日はラッキーとか、全然あかんかったな、とか。そのときの運任せみたいなところはあったんです。 でも、落語はそれがないんです。あかんかったら僕の責任やし、よかったらそれも僕の責任やし。運がよかった、悪かったという感覚はないんですよ。ということは、自分がどんだけしっかりしているかということなんですよね。

月亭方正

——初めて人前で落語をやったときには「これだ!」という手応えがあったそうですね。

方正 はい、今までの人生でうれしいことってあったじゃないですか。僕がそれまでにマックスでうれしかったのは、やっぱり子供が生まれたときだったんです。立ち会い出産したんですけど、まわりがピッカピカに見えたんですよ。「え、何これ?」ってなって。帰り道、車に乗っていても、ずっとまわりがピッカピカに見えるんです。これにもうびっくりしたんですね。

初めて落語をさせてもらったときも、それに似たようなピッカピカでした。お客さんとか、自分の持っている扇子とか、とにかく全部ピッカピカに光って見えたんです。魂が喜んでいたんでしょうね。

この記事の画像(全7枚)



  • 三人会

    『方正・三四郎・三度 三人会』

    日時:2021年8月19日(木)開場18:10/開演18:30(90分公演)
    料金:前売2,500円/当日3,000円
    出演:月亭方正/桂三四郎/桂三度

    関連リンク


関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ

関連記事

『ABCお笑いグランプリ』オズワルドが僅差で優勝。伊藤、優勝後に「沙莉ーー!」のひと言(てれびのスキマ)

オズワルド

オズワルド「もっと売れたかったって言って死ぬと思う」M-1決勝連続進出、まだ届かない“これまでと違うチャンピオン”

2020年ベスト_演芸_和田尚久

「現実」の風圧に立ち向かう、新型コロナ時代の演芸

エバース

「ウケるからやるは『M-1』では失敗する」。3位だったエバースは2026年、自分の感覚を信じる【よしもと漫才劇場10周年企画】

豪快キャプテン×ダイタク

ダイタク×豪快キャプテン、認め合うお互いの漫才の魅力「簡単そうに笑いを取る」【よしもと漫才劇場10周年企画】

三遊間×ゼロカラン

三遊間×ゼロカラン、人気投票との向き合い方の正解は?「やっぱり有名にならなあかんな」【よしもと漫才劇場10周年企画】

Furui Rihoが『Letters』で綴った“最後の希望”「どんなにつらい日々であっても、愛は忘れたくない」

Furui Rihoが『Letters』で綴った“最後の希望”「どんなにつらい日々であっても、愛は忘れたくない」

EXILE NAOTOが語る、「勝負する身体」がステージと水面で魅せる“攻めの0.1秒”。大きな影響を与えるオーディエンスのパワーとは【『SG第40回グランプリ』特別企画】

4年目の今、重荷だった「王子様」を堂々と名乗れる。Last Princeが語る、プリンスを背負う勇気と楽しさ

甲斐田晴/ローレン・イロアス/3SKMの撮り下ろし表紙を公開! VTuberのトップランナーたちを徹底解剖【春のQJ×にじさんじ祭り!】

ニューヨーク『Quick Japan』vol.181

ニューヨーク、60ページ総力特集「普通は勝てない?」を考える。バックカバーにはSHUNTO×MANATO×RYUHEI(BE:FIRST)が登場【Quick Japan vol.182コンテンツ紹介】