ひとり残らず楽しくさせたい
──南條さんはご自身を「生来の太鼓持ち」と言うことがありますよね?
南條 はい。そう思いますね。
──その太鼓持ちという立場と、高校、大学と野球部のキャプテンという中心的存在だった来歴は、相反する気もするのですが。
南條 キャプテンといっても、責任感があるというよりは、ただ明るくて元気で目立ってたというだけなんですよ。
──では、そのころからとにかくその場を盛り上げたいという意味の太鼓持ち精神を持っていた?
南條 そうですね。……僕、険悪な空気がめっちゃ嫌いなんですよ。ちょっとでも人が嫌そうだったり、しんどそうだったりすると自分が食らってしまうんです。事件や事故のニュースも、必要以上に感情移入し過ぎてしまって、観ていられない。
──自分に関わりのないことでも、気持ちが落ち込んでしまう。
南條 だから、客席にひとりでも笑っていない人を見つけると、もう焦っちゃうんですよ。たったひとつのボケがウケないのも引きずってしまう。
──だからなるべくそうならないように、とにかく盛り上げる?
南條 そうですそうです。ただただひとり残さず楽しくさせたいという、ピュアなサービス精神で。三島はそのへん、全然動じないんですよね。ちょっとウケなくても「まあええやろ」とか、「そんな顔してる人いた?」くらいの感じ。気にし過ぎる僕とは、まあちょうど合ってるんでしょうね。
──三島さんは、南條さんのことを「人のために動ける人間」とも言っていましたが。
南條 これもなんでかわからないですけど、自分だけが利を得る状態がめちゃめちゃ気持ち悪くて嫌なんですよ。よく思われたいとかじゃなくて、自分がストレスを感じてしまう。利益はそりゃ多いほうがいいけど、まあみんなで分けましょうよ、と思っちゃう。
──たとえば、幼いころからそういう教育を受けていたとか?
南條 うーん、大人の顔色はよく見てましたね。親が姉ちゃんに厳しくしているのを見て、怒られないように要領よくするタイプ。
──そこで、先ほど言われたように空気が悪くなるのを避けていた面も?
南條 そうそう! ああ、そうやな。そのピリッとする感じが、たぶんめっちゃ嫌だったんですよね。だから今もなるべく険悪な空気を避ける。まあ「三つ子の魂百まで」で、この感覚はずっと変わらないんでしょうね。
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