今、キレキレのボケを武器に爆笑をかっさらい、漫才シーンで注目を集めている真空ジェシカだが、お笑いイベント『AUN〜コンビ大喜利王決定戦〜』で大喜利も強いことが証明された。漫才の戦い方から目標とするお笑いまで、地下ライブで育った若手随一の大喜利強者が抱える葛藤とは。
※この記事は『クイック・ジャパン』vol.154に掲載のインタビューを一部抜粋し転載したものです。
僕たちは「こういうネタをする人たち」っていうのがない
──『AUN~大喜利コンビ王決定戦~』優勝おめでとうございます。かなり特殊な企画だったと思いますが、おふたりの言葉で説明するとどんなライブだったんでしょう?
川北 結局は大喜利ライブではあるんですけど、なんかみんなM‒1の鬱憤が溜まってて、大喜利をやらないっていうボケをしてましたね。
ガク 大喜利ライブなのに大喜利をやらないことが楽しくなってしまいました。
川北 でも決勝になったらやっぱり人間なんで、みんな「優勝したい」って気持ちになりましたね。
ガク 最後だけちゃんとしてて、逆にそっちが浮いてたもんね。MCのBKBさんがなにをやっても許してくれる感じがあって、それでみんなのびのびふざけてたんだと思います。
──大喜利ライブとひと言でいっても、ストレートなものもあれば、川北さんが出演されている「野澤輸出のお笑い大喜利」みたいな特殊なものもあるじゃないですか。ライブのタイプによって大喜利のスタイルは変えるものでしょうか。
川北 めちゃくちゃ変えます。でもその塩梅に気づくのに結構時間がかかりました。9年目にしてやっと気づきましたね。
ガク 最近気づいたんだ。
川北 よく考えたら、自分が大喜利バトルを見に行って「お笑い大喜利」みたいなことばっかりやってたら普通に面白くないと思うんで。
ガク その客観視はできてるんだ。
川北 そのあたりの集大成が『AUN』で出せたんじゃないかなと(笑)。
──大喜利するときの考え方は、やはりネタをつくるときにも通じるものがありますか?
川北 どうなんだろう……大喜利みたいにはやらないようにしてますね。
ガク へ~。
川北 大喜利って、みんなでお題に対して大オチを出し合ってる感じなんですよ。だから「それ言ったらおしまいじゃん」って答えが結構あるんで、ネタでそれやっちゃうと話にならなくて。
──強いボケの回答を出すことでネタの流れがストップしてしまう、というようなことでしょうか。
川北 一発目でオチを言っちゃったら、話すことがなくなるんです。だから大喜利的なものを入れるにしても、まだ話が続けられるぞってところで抑える感じですかね。大喜利が強すぎるせいでネタもおもしろが勝ちすぎちゃってウケにくくなる場合ってあるんですよ。
ガク あぁ、それはたしかに。大喜利強い人がイコールでネタも強いわけじゃないもんね。
──漫才と大喜利の関係で言えば、自分たちならではの“型”を作るのは、漫才というものに対する大喜利といえるんじゃないでしょうか。
川北 そうですね。スタイルあるのっていいですよね。でもなぁ、全然スタイルとかできんよな。
ガク そうね。僕たちは「こういうネタをする人たち」っていうのがないから。
川北 「ネタの“ソフト”じゃなくて“ハード”を考えたほうがいい」って聞くこともあるんですけど、考えてもハードが全然思いつかなかったんで。でもみんなが同じネタの作り方になるわけがないと思うんで、そこはもう無理に考えないでただ思いついたことをずっとやっていよう、って感じで今に至ってます。そこは大喜利からの影響があるかもしれません。大喜利はじめたてのころは人と違う答え方をしようって考えがあったんですけど、無理やりやろうとしたら全然できないんですよ。そこを捨ててからウケだしたんで、漫才も変に無理やり違うことやるのはもういいわ、って。
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