「作品の本質」と「世間の温度感」のすれ違い
粗品 杉田さんは、おもしろいはもちろん、作品に対してアツい人だなって思いました。
杉田 テレビやアニメ観たり、ゲームで遊んだりすることに、幼少のころからすごい助けられているんで。学校の勉強もしていたけど、偉人の言葉よりも、ゲームの大魔王の言葉のほうが胸に刺さったり。
粗品 素敵な少年。夢あるなぁ。
杉田 「殺人事件が起きたのは人を撃つゲームがあるせいなんじゃないか!」って、得意げな顔して学校の先生が言うんですよ。「先生、じゃあこのゲームで遊んでみなよ」って貸してみたら、激ハマリしちゃって。ほら見ろって。
粗品 確かにそういうことありますよね。
杉田 自分にとって未知なるものって怖いんですよ。ものすごく盛り上がっている未知数なものが来たときって、人は恐怖するんです。だから「あんなものはきっと悪いものだ!」って決めつけがち。
粗品 なるほど。
杉田 だからそれを、どうやって正しく見せればいいかなって。子供に良い悪いの選択肢を与えないような育て方はどうなのかな?と。僕は家庭はないけれど、もし子供がいたら、際どい表現だなってところも親の役目として見せるかなと思う。
粗品 作品は悪くないですもんね。それで言うと、『こどものじかん』はけっこう話題になったじゃないですか。
※『こどものじかん』
2007年10月から12月まで放映されたテレビアニメ。全12話。小学校を舞台にした作品。原作は『コミックハイ!』(双葉社)で連載されていた私屋カヲルによる漫画。略称は“こじか”。
杉田 一見すると「児童が大人を挑発して誘惑するアニメ」と思われる。でも実は「複雑な家庭に育った子供がどうやって大人と向き合いながら、やがて自分も大人になっていくのか」って、いろいろ悩んで葛藤して、似たような境遇の子供たちで集まって、自分たちを見つめ直すっていう作品なんですよ。……僕は子供に依存する危ない男の役でしたけど。
粗品 (笑)。でも『こどものじかん』は本当にそうですよね。全然関係ないですけど、りんちゃん役の方とかと現場が一緒になるとき、それこそ「チュパ音」とかそう言うのは生で観られて……?
杉田 まあ、収録は一緒に録るから。
粗品 品のない話なんですけど、それってちょっと興奮とかします?
杉田 いや、逆に関心する。ああやって音出すんだ、とか。
粗品 何かものを使ったりする?
杉田 それも個人差で。僕がBLの作品に出たときに、攻めなきゃいけないから、リアルな音を出すために自分の腕を吸ってみたんですけど、そのほうが評判が良くて。
粗品 おぉー! しかも、それやって別に誰も引かないわけですもんね。
杉田 まあ、共演者の櫻井さん(櫻井孝宏)はちょっと引いてましたけど。「杉田お前何やってんだ?」って。本当は櫻井さんの腕を吸ったほうがリアルな音が出ると思ったんですけど、あかんあかん!って断られました。
粗品 すごいなぁ。でも確かに、作品と世間の温度感っていうのはあるかもしれないですね。
杉田 “この人にしかできないこと”っていうのを持っていないと、たぶん飽きられちゃいますよ。たとえば人工知能みたいなものに取って代わられちゃう日がくるかもしれない。僕の五十音の声を録って、自由に組み合わせる「芝居するぞうくん」みたいなのができたら。
粗品 「芝居するぞうくん」来たらやばいっすね。
杉田 やばいっす。ただ、機械は融通が利かなかったり、アドリブとかの機転が利かないから、って勝手に自分を落ち着かせるけど、たぶん機械も機転が利くようになるんだよ。そんなソフトが産まれないのを祈るだけです。
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