映画『劇場版BEM〜BECOME HUMAN〜』:PR

【『劇場版BEM~BECOME HUMAN~』公開記念】『妖怪人間ベム』はいかに怪奇アニメの金字塔になったのか?

2020.9.18

文=安居光良、神武団四郎(各作品紹介)
編集=森田真規


『妖怪人間ベム』シリーズの最新作『劇場版BEM~BECOME HUMAN~』が2020年10月2日に全国の映画館で封切られる。

1968年に始まったこのシリーズは、いかにして後世まで語り継がれる怪奇アニメの金字塔となったのか。実写版も含めて21世紀に入って5度もリメイクされているシリーズの分析と、各作品の紹介によって、その魅力を紐解いていく。

おどろおどろしい雰囲気が強烈なインパクトを残し、後世へ語り継がれることに

『妖怪人間ベム』が放送されたのは1968年。この年は、1月に『ゲゲゲの鬼太郎』(第1シリーズ)の放送が始まっており、“妖怪ブーム”が巻き起こった年だった。同年10月から放送がスタートした『妖怪人間ベム』もまたそのブームの一翼を担った一作だ。妖怪の多彩なキャラクター性が人気の一因となった『ゲゲゲの鬼太郎』に対し、『妖怪人間ベム』はおどろおどろしさを強調したホラー色の強い雰囲気が持ち味だ。

『妖怪人間ベム』の主人公は、怪物のような姿を持って生まれたベム、ベラ、ベロの3人。彼らは普段、人間そっくりの外見に化けており、ベムは壮年男性、ベラは成人女性、ベロが子供のような姿をしている。大人の男女と子供という組み合わせのため、家族のような雰囲気があるのもこの3人組の魅力になっている。その中で、人懐っこいベロは視聴者の子供が共感できる役割を受け持ち、ベムはアクション・シーンで中心となるヒーローとしての役割を担っている。

人間に化けたベム、ベラ、ベロ(1968年版) (c)ADK

ただし、いくら人間そっくりに化けたとしても、彼らの指の数は、本来の姿のときと同様、3本のまま。それが人間になり切れない妖怪人間という存在を象徴的に表している。3人は正義を行えばいつか人間になれると信じ、旅をしながら人間に危害を加える化け物などと戦っていく。

本来の姿のベム、ベラ、ベロ(1968年版) (c)ADK

作品の雰囲気を端的に伝えているのが、本編の冒頭に入るナレーションのシーンだ。『妖怪人間ベム』と聞いたら、まずこのナレーションを思い出す人も多いだろう。

「それは、いつ生まれたのか誰も知らない。暗い音のない世界で、ひとつの細胞が分かれて増えていき、3つの生き物が生まれた。彼らはもちろん人間ではない。また、動物でもない。だが、その醜い身体の中には正義の血が隠されているのだ。その生き物、それは、人間になれなかった妖怪人間である」

このナレーションに合わせ暗い部屋の中でドロドロとした粘液から妖怪人間が生まれる様が描かれる。そしてナレーションが終わると、妖怪人間のベム、ベラ、ベロが威嚇するかのように画面を向いて叫ぶ様子を見せ、音楽も不穏なムードを盛り上げる。これだけでじゅうぶんインパクトのある導入といえる。

おどろおどろしい雰囲気が強烈なインパクトを残した(1968年版) (c)ADK

このナレーションのシーンに象徴されるおどろおどろしい雰囲気は当時の子供たちの記憶に強烈に刻み込まれ、幾度かの再放送を経て、『妖怪人間ベム』は息の長い人気を獲得することになったのである。

「無国籍的な雰囲気」と「ドラマチックな構造」というふたつのポイント


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