5GAPインタビュー:一発屋にもなれない「0.5発屋芸人」地獄の大スベリ、番組打ち切り……超苦節の20年

2021.1.20


一発屋にもなれなかった、“0.5発屋芸人”。支えてくれたのは「ルミネtheよしもと」

──『レッドカーペット』の終了や、お笑い番組そのものが少なくなっていった時期は、どう過ごされていたんでしょうか。

秋本 世間的にお笑いが遠ざかっていくのもわかるし、『レッドカーペット』も「あ、番組終わってっちゃうな」ってわかって。でも、「ホワイト赤マン」もすごくかわいがってくれた番組だし、どうしようって考えているうちに終わっちゃいましたね。

それこそ、「ルミネtheよしもと」はそういう時期から、ずっと出してくれているんです。言い方がアレですけど、ルミネって「売れている人が出る劇場」だと思うんです。その中でずっと出させてもらえているのは、“支え”を感じましたね。ルミネがあるからなんとかお笑いやっている感じを保てた。営業とかもなくなりましたし。僕ら一発屋にもなれない、“0.5発屋芸人”だったんですよ。

──“0.5発屋芸人”……ですか。

秋本 レッドカーペット賞も2、3回くらい獲ったのに、一発屋にもなれなかった。一発屋になれたらそこから仕事つながったりもしたんでしょうけど、それもなく終わっちゃったよね。

久保田 次につながってほしいのに、自分らじゃどうにもならないことってあるじゃないですか。やっぱりオファーがないと、こっちも行きようがない。マネージャーさんも当時がんばってくださっていたんですけど、『レッドカーペット』以外は呼ばれることがまずないっていう。

当時楽屋でカラテカの入江(慎也)さんが、「誕生日の語呂合わせで人を覚える特技」を披露していたんです。たくさん芸人がいるところで、僕の誕生日の語呂を聞いたら「とう(10月)とう(10日)終わったね、『レッドカーペット』」って言って、それで芸人がワッて笑ったんですよ。そこで、「あ、終わったんだな」って。芸人の感覚的に。「そっか、これで笑いが起きるっていうことはみんな“終わってる番組”として納得してるってことだよな」って印象はありましたね。だからここから先につながることはないんだろうなっていう。

──一度人気が出たキャラクターではなく、新たなキャラクターで露出を狙う芸人さんもいると思いますが、「ホワイト赤マン」は現在もつづけていらっしゃいますよね。これは先ほどお話に上がった、助言をくれたテレビマンの意見もあってのことなんでしょうか?

秋本 多少はありますね。でもそれよりも、久保田が扮装していたほうが憑依してしゃべりやすいタイプっていうのがあります。素が、気ぃ遣いでまじめなんですよ。たぶん久保田自身もそれに気づいていて、「俺はこれでやる」って思ってるんですかね。

久保田 でも、劇場では「ホワイト赤マン」は逆にやってないんですよ。

秋本 自分ら的にもほかのネタもやりたい思いがあったしね。それと、一発屋になれてないんで「あれをやってほしい!」「待ってました!」っていう声がないんですよ。

久保田 そこがやっぱり“0.5発屋”なんです。だから、やっても反応が薄いというか。

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劇場では「ホワイト赤マン」ではなく、この衣装でコントをすることが多いとのこと

関わる番組がことごとく終わる。初代王者になった“勝ち抜き企画”もおじゃんに

秋本 『レッドカーペット』もそうなんですけど、そのあとにもう1回僕らに波が来たんです。『日10☆演芸パレード』(TBS)っていう番組。

5週連続勝ち抜いたらラジオ番組をもらえる企画の初代勝ち抜き王者なんですよ、僕ら。永野さんとかもいたなぁ。で、「5GAPさん10週連続勝ち抜き企画やりましょう!」ってなったら、番組が8週目で終わっちゃったんですよ。

久保田 僕らが関わると終わるんです(笑)。芸人って、番組の初期メンバーにいるべきなんですよ。途中から加わると、ずるずる~って終わるんです、絶対に。その「途中から加わっちゃうタイプ」なんですよ、僕ら。

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取材・撮影は「ルミネtheよしもと」の出番合間に敢行

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佐々木 笑

(ささき・えみ)1996年生まれ。宝島社ムック局編集部のち、フリーランスの編集者・ライター。笑と書いてエミ読みます。本名通りお笑い大好き人間に育ちました。『フワちゃん完全攻略本』『#麒麟川島のタグ大喜利』『KOUGU維新 公式本で、イザ参ラン!』(すべて宝島社)など。アイコンは川島さんに描いていただ..

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