つんくが語った「何にも似ていないものを作る」方法。約2万字インタビュー&レポート(2)

2020.7.19

一生ロックと共に生きていくために

「今、俺より働いてるやつはいないよ」
「俺は何度も踏みつけられてここまで来たんだ」

眞露をけっこう飲んだせいか、つんくが冗談っぽくこんなことを言い始めた。みんなそれを聞いて笑っている。僕もつられて笑った。隣の女性スタッフに向かってふざけるつんく。

「今彼氏いるの? え? 彼氏はいらないけど子供だけは欲しい? それなら俺が手伝おうか(笑)。俺は金持ってるから、ちゃんと認知して慶応の幼稚舎に入れてやるよ!」

みんなの笑い声がひときわ大きくなった。そう。最後にもうひとつだけ、これは強調しておきたいんだけど、つんくには変な意味での“孤独臭さ”はなかった。そこまで毎日厳しい闘いをしてるというのに、たえず周囲に気を遣って、冗談をとばしていた。関西人だから? 違うと思う。

最後に再びつんくの著書から引用します。冒頭に引用した文章の数行先の箇所です。

やっぱ俺が今感じていることはただの無い物ねだりなのだろう。
だからどんなに寝る時間がなくても今はひたすら頑張るしかない。
一生ロックと共に生きていくために

『つんく愛の営業方針―心のトレーニングしようよ!』より

音楽作ってる人だけじゃなくて小説家でもマンガ家でもそうだし、もちろん雑誌作ってる人間だってそうだろうけど、「俺はこんなバカは相手にしていない」と言える人は幸福でそして身のほど知らずだと思う。そうやって自分から対象を選ぶ「余裕」は、僕の見たつんくにはこれっぽっちもなかった。

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北尾修一

(きたお・しゅういち) 百万年書房の中の人。1968年、京都府生まれ。株式会社百万年書房代表取締役社長。百万年書房

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