『Quick Japan』vol.184(2026年6月24日発売)には、エバースが表紙&総力特集に登場。“TRUST YOUR FEELINGS.”をテーマに、芸人人生の中のいくつもの分岐で、自分たちにとってリアルであること、向いていること、ダサくないことをその都度選んできた、エバースの研ぎ澄まされた感覚を徹底取材する総力特集になっている。
本特集では、ふたりをブレイク前からよく知る関係者への取材も実施。ここでは佐々木隆史とプライベートでも親交のある金魚番長・箕輪智征のインタビューを特別ver.として公開。舞台上では見えてこない佐々木の一面が見えてきた。
佐々木のヤバさ
エバースさんの漫才を初めて見たのは1年目のとき。コント漫才やシステム系に流れがちなところを、「会話がおもしろい漫才」として成立させていて、見終えたあとの満足感がすごかったのを覚えています。「東京でこんなにもおもしろいしゃべくり漫才師がいるのか」と衝撃を受けたのですが、佐々木さんは「その話をもっとほかでもしていけよ!」と言ってるみたいですね。でも、当時はほかの芸人に「マジでおもしろいから」とエバースさんの『M-1グランプリ』の予選動画を見せていましたよ。
改めて思うのですが、エバースさんって世間的に知られていなかっただけで、最初からおもしろかったんです。漫才がマメ知識や好きな食べ物の話から始まるから、そのすごさが伝わりづらいのですが、気づけば町田(和樹)さんが窮地に立たされている。そこが「エバースのすごみ」だと思います。『M-1』で披露した『桜の木の下』もそうです。誰もが知っているけれど誰も着目しなかった「うるう年」から会話が広がっていきますよね。『M-1』の数年前に、初めてネタの草案を聞いたときは、その目線の角度に驚きました。
エバースさんのように、しゃべくりでどちらも笑いを取れる漫才師ってなかなかいないと思うんですよ。片方が持論を展開する漫才の場合、相方は話に入りづらいものですが、町田さんはネタをさらにおもしろくするロイター板の役割を果たしている。
エバースさんって今、町田さんのおもしろさが世間に伝わり始めてますが、佐々木さんの「ヤバさ」がバレたとき、もっとすごいことになるんじゃないかと思ってます。佐々木さん自身もちゃんとキモい持論を持っていて、それに対する熱量が凄まじくておもしろい。町田さんもそれに対して言い返すので、そういう部分がもっと知れ渡ったとき、とんでもないことになるんじゃないですか。
佐々木さんは漫才の中に確固たる軸があるなと思うのですが、それは漫才以外でも同じです。自分の中にブレない基準があるからこそ、細かいことに引っかかるし、他人に対しても気遣いができる。ただ、しっかりしすぎているがゆえに「詰めグセ」があるんですよ(笑)。「お前あそこヤバいぞ」と言われたとき、僕も言い返すのですが、すぐに次の意見が飛んでくる。気づいたらカフェで2時間経っていて、最後はケンカみたいになることもありました(笑)。
でもそれは人間として一本筋が通っていることの裏返し。だからこそ、後輩が失礼なことをしたらちゃんと怒ってくれる。一度、先輩方がたくさん乗っている大型バスでの移動中、サービスエリアの休憩時間に僕が遅れて戻ったことがあって。すると隣の席にいた佐々木さんが、「これだけの先輩を待たせるって、どういうことかわかってる?」と……。僕としては「これからの時間楽しめないって!」とも思ったんですが、それってすごく大切なことでもあるのかなと。注意して嫌われるのを恐れる人もいるなか、佐々木さんはちゃんと注意してくれる。そして自分はしっかり結果を出して黙らせる。高校時代に野球部のキャプテンだったからですかね。
一方、劇場での佐々木さんは積極的に前に出たり、後輩を引っ張ったりするわけではない。でも、全員が「この人にだけは『おもしろくない』と思われたくない」と思っている存在です。威圧感があるわけでも威張っているわけでもない。ちゃんとイジらせてくれるし、優しく受け止めてもくれる。その上で、誰からもナメられないんですよ。
佐々木さんって、どんなに浮かれる状況になっても調子に乗らないんですよ。僕にも「調子に乗るなよ」と言ってくれますが、あれは自分自身に向けた言葉でもあって、自分を客観視できるからこそ調子に乗らない。だから、『オールスター感謝祭』(TBS)での立ち居振る舞いも、「隣に森香澄がいたからかっこつけすぎた」とちゃんと反省できる。
あと、これだけは佐々木さんに伝えたいんですけど、さすがに町田さんに冷たすぎるときがあるので……もう少し優しくしてあげてください(笑)。
箕輪智征
(みのわ・ともゆき)1994年9月12日生まれ、東京都出身。NSC24期出身で、お笑いコンビ・金魚番長のボケ担当

『Quick Japan』vol.184
2026年6月24日(水)発売
サイズ:A5/並製/144ページ
価格:1,650円(税込)
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