オズワルドが見たエバースのかわいげ「いい意味で自分らのかたちを変えられる、柔軟性がある」

2026.7.8
エバース特集オズワルド

文=西澤千央 編集=梅山織愛


『Quick Japan』vol.184(2026年6月24日発売)には、エバースが表紙&総力特集に登場。“TRUST YOUR FEELINGS.”をテーマに、芸人人生の中のいくつもの分岐で、自分たちにとってリアルであること、向いていること、ダサくないことをその都度選んできた、エバースの研ぎ澄まされた感覚を徹底取材する総力特集になっている。

本特集では、ふたりをブレイク前からよく知る関係者への取材も実施。ここでは、同期にさえ名前を知られていなかった下積み時代から、エバースの漫才のおもしろさを認めていたオズワルドのインタビューを公開。『M-1グランプリ』でも4度の決勝進出経験のある彼らはエバースにとって目指すべき背中だったが、今では「影響を受け合っている」関係だという。先輩・後輩から、ライバルへ。ふたりが語るエバースの強さとは。

人の意見も取り入れる柔軟性

伊藤俊介(以下、伊藤) たぶんあいつらが当時の無限大ホールで一番下のランキングだったときです。めっちゃおもしろいけど、死ぬほどスベってるなっていう感じでした。なんていうんですか、うまいけど、最初あいつら裸足でサッカーやってた。それが靴履くようになって、戦術を学んで……の今じゃないですか。

伊藤 やめてくれよ(笑)。もう恐ろしく境遇が似てたってのもある。なんなら僕らのほうがひどかった。畠中と組むまで芸人と飲みに行ったこともほぼなかったですし。いったら同期の余り者同士で組んでる。「相談できる人もいないんだろうな」とか、なんとなくわかるんですよ。

畠中悠(以下、畠中) ネタの作り方とか構成は自分たちに近いなと思いますね。それがいつの間にかエバースのほうが相当うまくなってた。たぶん、最初は町田が目立つと思うんですよ。町田って平場で先輩もイジりやすいし。だからあいつはあんまり最初から変わってないと思うんですけど、佐々木のほうがすごくナチュラルにうまくなってるって感じですね。「ああいうことを言うやつ」という感じの人(にん)がついた。それはもともと持って生まれたもんじゃなくて、あいつなりの努力と経験だと思うんですけど。

伊藤 神保町と無限大で劇場が分かれたのもかなりデカかったんじゃないかな。場数も比べ物にならないぐらい増えただろうし。神保町のトップがあいつらのふたつ上くらいだったので、よりちょっと際立つというか。芸歴がすごく上の人たちの中でやるよりものびのびできたのがよかったんじゃないかなと。

伊藤 ああ……もちろん行くっていう気持ちはありましたけど、でもリアルに想像できるようになったのは、ゆにばーすさんが決勝行ったときかなぁ。「ああ行くんだ」って。そこから一個がんばれた。もしかしたらエバースにとっては、俺たちがそういう存在に見えていたのかもしれないですね。

畠中 エバースと俺らが近いっていう意味でいうと、いい意味で自分らのかたちを変えられるというか、柔軟性があると思うんですよ。本当にセンスでお笑い芸人になった人たちって自分の笑いの取り方ってなかなか変えられないと思うんですけど。エバースはけっこう人の意見聞いて取り入れるタイプだと思う。俺らも決勝行ってる人たちの話を参考にしながらいろいろ漫才のかたちを変えていったので、山田さんはそういう意味で言ったのかなって。ネタ終わりに佐々木はよく俺らに意見求めるけど、そこで正しいことを言えてるのか自信ない(笑)。

伊藤 俺は町田からだいぶ影響受けてますよ。俺もやってみようかなと思ってパクった部分もありますね。でも同じふうにしても同じふうには見えないんで、この仕事。

伊藤 良くも悪くも何も考えてないヤツですね。シンプルな人間。

畠中 町田とは家近くて飲み行こうとか誘ったりするんですけど一回も来たことない。その場に女の子がいないと来ないと聞いたことがあります(笑)。欲にそのまま純粋に生きてる感じしますけどね。町田のまま生きてる。

伊藤 めちゃくちゃそう。お笑いができないやつじゃないんで、まったく。むしろできるヤツ。ただ誰が石投げてもいいタイプ。

畠中 お客さんも町田のことみんなイジりたがる。ナメてる。これがすごいですよね。芸人としてとんでもない能力。

伊藤 個人的に俺は『M-1』後のテレビの仕事が楽しくて、もう出なくていいだろうと思ってたんですよ、そのときは。でも畠中はブレないんでそのへん、こいつネタが好きなんで。もし俺が去年の『M-1』の2本目であいつらが腹話術のネタやるって知ってたら、100%止めてました。あれ以外ならなんでもよかったと思う。始まって30秒くらいで絶対優勝しないなってわかってから僕は笑いが止まらなかった。「なんて愛しいんだ、こいつら」っていう。どっちみちどっかで優勝するんだとしたら、もう一個かわいげ出たなって。だってずっとフレンチのコース出されてたのにメインディッシュでカツ丼出された感じじゃないですか。

畠中 でも俺らも優勝を逃したときはわからなかった。違う種類のネタとも思ってなかった。

伊藤 まあでも最高でしたね。向こうは今俺らにそんな感覚ないと思いますけど、俺はもうボッコボコにしてやりたいですよ。「今のエバースにはちょっと勝てない」とか、あいつらもそんなの望んでないだろうし。許せないですね。辞めさせときゃよかったと思ってますよ。声なんかかけないで解散させときゃよかった!

畠中 でもいい影響受け合ってると思います。ネタも参考になるし。

伊藤 佐々木が俺の話をすればするほど、プレッシャーなるんで。ちょっと負けてらんない。

畠中 悠
(はたなか・ゆう)1987年12月7日生まれ、北海道出身。写真左
伊藤俊介
(いとう・しゅんすけ)1989年8月8日生まれ、千葉県出身。写真右

エバース『Quick Japan』184

『Quick Japan』vol.184
2026年6月24日(水)発売
サイズ:A5/並製/144ページ
価格:1,650円(税込)

【ミニカード付限定版】『Quick Japan』vol.184 【通常版】『Quick Japan』vol.184

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西澤千央

(にしざわ・ちひろ)1976年生まれ。神奈川県出身。実家の飲み屋手伝い→ライター。『クイック・ジャパン』(太田出版)や『文春オンライン』、『GINZA』(マガジンハウス)などで執筆。ベイスターズとねこと酒が好き。