女性を“選ぶ”ことの理不尽さ。史上最年少バチェラー・久次米一輝の葛藤「簡単には割り切れなかった」

2025.6.9

文=於 ありさ 撮影=斎藤弥里 編集=高橋千里


『バチェラー・ジャパン』シリーズは、社会的地位を確立している才色兼備の独身男性・バチェラーが運命のパートナーを見つけるため、ゴージャスでロマンチックな旅を続けながら、性格もバックグラウンドも異なる多数の女性たちから“真実の愛”を選び抜く恋愛リアリティ番組だ。

Prime Videoにて現在独占配信中のシーズン6となる本作で「6代目バチェラー」を務めるのは、医師としての顔を持つ久次米一輝(くじめ・かずき)。シリーズ史上最年少・平成生まれのバチェラーである彼は、女性を“選ぶ”という過酷なフェーズを繰り返しながら、何を思ったのか。

旅を通して見えた、外見だけじゃない「美しさ」

──久次米さんは美容外科で働くなかで、日頃から“美意識”について考える機会が多いと思います。第2話で黒澤楓さんにサプライズローズ(※最後のローズセレモニーを待たず、デート中に気に入った女性に渡せるバラ)を渡したあと「楓さんきれいでしたね」と話していたのが印象的でしたが、具体的にどういったところに美しさを感じたのでしょう?

よりお互いのことを知る会話ができたこと、自分のつらい過去を乗り越えて、彼女自身が今『バチェラー・ジャパン』に参加していることに美しさを感じました。困難も前向きにしていく姿が本当にカッコいいなと。

──ただ単に外見を素敵だと思ったのではなく、中身も「美しい」と感じた瞬間は、ほかの女性に対してもありましたか?

そうですね。言葉には背景があって、だから、こんなにも前向きな言葉、力強い言葉で自分のことを語れるんだと思えた瞬間は、美しいなと感じました。

──久次米さんの考える「美しさ」とは、内面的要素が強いのですね。

そうですね。ただ個人的には、美しさとは独立したものじゃなくて、内面・外面・立ち居振る舞いを含めた総合力なのかなと思っています。僕自身、明るくて笑顔が多い方に魅力を感じるのですが、それは内面的な自信を感じるからかなと。

──それは日々、美容外科で働くなかでもそう感じますか?

そもそも外見に関しては、人が指摘することじゃないと思っています。ただ、僕は誰かのコンプレックスに寄り添って、解消できることがあるんだったら解消して、より前向きになってほしいなと。

そうやって内面も外見も前向きに変化していく姿に立ち会えるのは、本当に職業冥利に尽きるなと思っています。

恋愛に発展するには、双方向のやりとりが大切

──実際に旅を通して、参加女性のどういう部分に惹かれましたか?

自分のことを一生懸命に表現してくれた方には、より惹かれたというか、心を動かす一因になった気がしています。この旅って、全然知らない方が参加されるので、「相手を知る」という作業が本当に大変なんです。

どういう理由で旅に参加したのかというところから、将来に向けてどんなことを考えているかまで。過去も未来も意識して話してくださった方には、僕自身も素直に本心を打ち明けられたし、心を開くことができたように思っています。

──たしかに相手を知らないことには、恋愛感情も湧かないですもんね。相手を知るために工夫されたことはありますか?

とにかく自分のこともしっかり伝えていく、というのが大切な気がしました。

この旅が始まるまでは、そもそも自分がこれまで経験してきたことに(参加女性たちは)興味があるのかな?と思っていたところもありましたが、女性たちが丁寧に受け入れてくれたので、想像以上に想いのやりとりができた旅だったなと思いました。

──そこから恋愛に発展する・しないの違いは、どんなところにあったのでしょう?

相手が自分に向けてくれる好意が、一方通行だとうまくいかないんだなと思いました。双方向のやりとりを経て、お互いの気持ちが高まっていくのが理想なんだなって。

「好き」と伝えてもらえるのは、僕にとってはすごく光栄なことなんですけど、そのタイミングが最初からなのか、知っていくなかで……なのかは、一人ひとり違ったので。本当にタイミングが大切だなと。

相手を選ぶ・選ばれる構図は「理不尽だと感じた」

──各回のローズセレモニー(※各話の最後でバチェラーが女性を公開で選ぶ儀式)の思い出はありますか?

もちろん各回で違うのですが、序盤はかなりつらかったですね。まだ相手のことを知りきれていない段階で、ローズを渡さないという選択をするのは、せっかくこの旅に来てくれたのに心苦しいなと。

なので、ローズセレモニーでは、ずっと悩んでいましたね……。

──どういうところに悩みましたか?

たまたま僕がローズを渡す、“選ぶ側”だっただけで、渡される側は理不尽だよなという思いもありました。

参加女性たちに僕のことを知ってもらって、好きになってもらうために時間を作っていたのですが、全員にローズを渡せるわけではなかったので、「白黒はっきりつけてよ」「時間を作らなければよかったじゃん」という話になりかねないな、と。

渡すよりも、渡さないという決断を下すほうが大変だなと思いました。“選ぶ・選ばれる”という構図上、きっと僕を含めて、参加して大変じゃなかった人はいないと思います。

──もしご自身が、この番組のルールを自由に変えられるとしたら、どうしたいですか?

こんなことを言ったら元も子もないですけど、ローズセレモニーは(全話通して)1回にしたいです(笑)。わざわざ多くの女性たちを残すことなく、早い段階からひとりに決めちゃうほうがいいんじゃないかって。

みなさんの強い眼差しを受けてあの場にいるのは、光栄でありつつ、つらい時間でもありましたからね。そういう番組だと思えば楽なのかもしれないですけど、僕自身はそうやって割り切ることを簡単にはできませんでした。

恋愛・結婚がマストではない時代に思うこと

──番組のキーワードのひとつに「真実の愛」という言葉がありますが、久次米さんは「真実の愛」とはなんだと考えましたか?

それを見つけるために参加しましたけど……逆に、それについて向き合ったという事実が大切なのかもしれません。

もともと型とか正解がなくてもいいと思っている性格なのもあって、今回は女性たちとの会話やデートを通じて、その答えはずっと変化していった気がします。「真実の愛」にはいろんなかたちがあるな、と。

──今の時代は、恋愛も結婚もマストではなくなってきている印象を受けます。この旅を通して、自身の中で恋愛や結婚のポジショニングに変化はありましたか?

この旅に参加する前は、結婚というものにこだわっていた時期もありました。パートナーや子供を含めて、自分の時間をシェアできるような家族が増えたらいいなって。

ただ、この旅を通して、結婚というのはひとつの過程に過ぎないと気づいたんです。恋愛の先に結婚があって、結婚した先に相手の方との未来がある。結婚をゴールにするのではなく、結婚した人を大切にしたいなと思っています。

──ありがとうございます。最後に、ファイナルローズを渡す女性(最終的にひとり選んだ女性)のヒントを教えてください!

うーん……難しいな。ローズをお渡しするときは、“現在”の自分に合う人、居心地がいいなと思える人に渡したいと考えていたので、それがヒントになるかもしれません。

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  • 『バチェラー・ジャパン』シーズン6は6月5日(木)20時より独占配信中

    6月5日(木)20時 第1話〜第4話
    6月12日(木)20時 第5話〜第7話
    6月19日(木)20時 第8話〜第9話

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於 ありさ

(おき・ありさ)ライター・インタビュアー。金融機関、編プロでの勤務を経て2018年よりフリーランスに。サンリオ・男性アイドル・テレビ・ラジオ・お笑い・サッカーが好き。マイメロディや推しに囲まれて暮らしている。

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