【完全版ロングインタビュー】伊沢拓司「キメラのように強くならなきゃいけない」クイズ王が手に入れた“唯一無二の好条件”【QuizKnock 僕たちの現在地】

2024.12.31

文=生湯葉シホ 撮影=松木宏祐 編集=高橋千里


QuizKnockの発起人、伊沢拓司。立ち上げから8年、その道はけっして順風満帆ではなかった。儲けも出ず、記憶がなくなるほど疲れ果てた日々の中で、それでもQuizKnockを続けることをあきらめなかった理由とは。

現在発売中の『Quick Japan SPECIAL:QuizKnock「僕たちの現在地」』に収録した伊沢拓司ソロインタビューに、本誌に収録しきれなかったインタビュー<後編>を加えた【完全版】をQJWebに掲載。QuizKnockの代表、そして「クイズ王」としての現在地も語り尽くす。

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QuizKnockの立ち上げは最も“不合理な行動”

──伊沢さんにとって、人生における大きなターニングポイントはどこでしたか?

伊沢 たくさんあるんですけど、一番はやっぱりQuizKnockを作ったときでしょうね。ごく普通の大学生だった自分が、QuizKnockを作ると決めた時点で、知らぬ間に何者かになるルート、そしていろいろなものを背負うルートを歩み出していたことを考えると、人生がそこで変わったという感覚はあります。

僕の人生の中で最も不合理な行動だったんですよ。立ち上げから1年半くらいは儲かりもしないのに続けていたわけですから。

──“不合理”だと感じつつの選択だったんですね。QuizKnockの立ち上げは2016年10月ですが、当初の目的は「情報氾濫の中にいる若者に能動的な知識の摂取を促す」ことだったと聞いています。

伊沢 そうですね。それに加えてクイズ界の労働環境を変えたいとか、もちろん問題意識はあったわけですけど、今思うと、代わり映えのない日々に何かしらの刺激を、みたいな要素もあったのでしょう。

当時の僕は軽音サークルの活動に熱中して時間を浪費しているだけの大学4年生で、音楽はやればやるほど自分の凡庸さを知るばかりだし、クイズは当時もやっていましたけど、東大生の中ではクイズが特別強かったわけでも……いや、強かったですけどトップ層のひとりでしかなくて、高校時代よりは圧倒的じゃなかった。チャレンジなんだけど大それてない、居心地悪くて寝返り打つみたいな感じでした。

伊沢拓司(いざわ・たくし)1994年5月16日生まれ、茨城県出身。東京大学経済学部卒業。『高校生クイズ』(日本テレビ)で史上初の個人2連覇を達成。2016年にQuizKnockを立ち上げ、2019年に株式会社QuizKnockを設立、CEOに就任。これまで『東大王』(TBS)、『アイ・アム・冒険少年』(TBS)などに出演してきたほか、全国の学校を無償で訪問するプロジェクト「QK GO」も行う

──当初のメンバーは伊沢さんのほか、河村(拓哉)さんと川上(拓朗)さんの3人。最初の数カ月は、ネット代金すら払えないほどギリギリの状態で、とにかくWEBサイトに記事をアップしていたとか。

伊沢 いや、やばかったですよ。「辞めたい」と思えないぐらい大変で、立ち上げ1カ月の記憶って僕、ほぼないんですよね。ライターも編集者も少ないなかで毎日3本ずつ記事をアップして、本当にきつかったです。

でも、自分が始めた以上、僕が辞めるとしたらほかのメンバーが全員辞めてからが筋だと思っていましたし、ここでケツをまくるのはかっこ悪いなとも感じていました。当時、友達が「QuizKnockは1年後まで続くと思うか?」みたいなTwitterアンケートをやっていて、僕も負けず嫌いなので、絶対1年は続けてやろうと思った記憶がありますね。

──とはいえ、続けることも楽ではなかったかと思います。

伊沢 立ち上げから半年、僕が疲れ果ててしまって1日だけ更新止めちゃったり、なけなしのプライドすら発揮できないような状況が続いて。

そんななかでふくらさんが加入して、2017年の4月にYouTubeが始まるんですが、それに合わせてWEBもちょっとリニューアルして、山森(彩加)さんが入ってバリバリやってくれたので「あ、続けるだけならまだいけるぞ」って感じで前には進んでいました。

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──活動がようやく軌道に乗ってきた、と感じたのはいつでしたか?

伊沢 2018年の夏ですね。あまりに忙しかったのでオフィスに泊まり込みで働いていたんですが、夜にふと動画のコメント欄を読んでたら、「楽しいから始まる学び」って言葉のアイデアが出てきたんです。

──今のQuizKnockのコンセプトにもなっているキーワードですが、YouTubeのコメント欄がきっかけで生まれた言葉だったんですね。

伊沢 そうなんです。YouTubeを始めたときって正直、WEBで記事を読んでもらうための導入という側面が強かったし、僕らが考えたおもしろいことを見てもらおう、くらいのライトな感覚だったんですよ。でもいざ始めてみると、YouTubeが人気になっていくにつれて、コメント欄を通じてファンの方の変化が見えるようになっていったんです。

「初めて勉強を楽しいと思いました」みたいなコメントを目にしたときに、あ、僕たちが楽しい場を作ってそこに学びをちりばめることで、ファンの人たちが自分で行動していくためのあと押しができるんだ、と気づいて。

──活動やマインドにも変化が生まれたと。

伊沢 このキーワードならQuizKnockと社会との関係性を描けるし、単なる大学生の遊びじゃなく、社会との関わりの中で価値とお金を生み出す“仕事”にできるじゃん、と思ったんです。当時僕は大学院生でしたが、そこでやっと大学院を中退する覚悟が決まりました。

これが自分の職務になるなとようやく思えたから、今後は継続することを前提にQuizKnockをやっていくぞという意識が生まれて。それに気づかせてくれたのは本当に初期のファンのみなさんなんですよね。

僕のフォームチェンジがQuizKnockの継続につながる

──大学院を中退し、株式会社QuizKnockを設立したのが2019年です。その後、新たなターニングポイントはありましたか?

伊沢 それ以降は良くも悪くも順風満帆だなと僕自身は思ってて。……うーん、それでいうと、今がターニングポイントですかね。

──今ですか?

伊沢 はい。こうして取り上げていただけることも増えたので、QuizKnockと親和性の高い人にはだいぶその名前を知っていただけている気がしてて。

一方でビジネス系の展示会とかで名刺配っていると知名度はまだまだなんですよ。より成長するためには一段階、急な坂を登らないといけない。ここ7~8年続いていたYouTuberブームと呼べるような時期も去りましたし、メンバーでいえば河村さん、ふくらさんも家族を持ち……ということを考えると、ひとつの潮目だなという感覚があって。

今後、QuizKnockがもっと新しいエンタテインメントを提供して、「東大発の知識集団」という肩書や権威を抜きにした、QuizKnockそのもののブランド名だけで売っていけるかどうかを考えると、この1~2年があとから振り返ったときのターニングポイントになるんじゃないか、とラフな未来予想はしています。

──では、今までしてこなかったことにも挑戦しようというビジョンがある?

伊沢 僕個人としては特にそう考えています。もちろん手数をこなす挑戦はやってきました。無理をしないと、数をこなさないと得られない進化はあって、その点ではこの8年で誰よりも俺が進化したと思えるようにやってきたつもりです。

死ぬほど働いて死ぬほど楽しんだ。でも、これからは手数ではないタイプの、質的進化も必要になると思っていて。人生を揺らし続けたい、と常に思っていたけど、揺らし方を変えてさらなる進化が必要だなと。ちょうど30歳を迎えたこともあって、今年は守破離(しゅはり)でいう「破」を目指しています。

──具体的に、どのような段階に入ったと考えていますか?

伊沢 数こなして型を作ってきたけど、その型を壊していく段階だよねと。奇しくも今年、自分が初期から携わっていた代表番組である『アイ・アム・冒険少年』と『東大王』というレギュラー番組が終わって、ああこれは巣立ちなんだなと。

今年は文筆の仕事を増やしてみたり、これまで出演しなかったトーク番組に出たりと、いろいろな挑戦をしてみようとあがいているところです。大阪・関西万博関連のMC仕事とか、新しい手応えもある。

僕のフォームチェンジがQuizKnockの進化にもつながるはずだし、進化した僕を使うことでもっとみんなが叶えたいことを叶えられるはず。もっと新しい一面を作りたいですね。

「QuizKnockが人生変えたるわ」自信を持って言えるブランドに

──もし大学生のときにQuizKnockを立ち上げていなかったら、自分は今何をしていたと思いますか?

伊沢 何してたんだろう……能力も低かったし努力もできなかったから、研究者としては大成してなかったでしょうね。たまにクイズ番組に呼ばれて出るくらいのことはあったかもしれないけど、起業という選択はしてないはず。QuizKnockは本来そういう挑戦をしない、合理的に生きていた自分が唯一選べた不合理だったので。好きなことをやれてることと、その責任、これがなかったらこんな進化できなかった。

今は合理的な判断のもとに、自分はQuizKnockを辞めるわけにはいかないと思っているんですよね。だからこそ、不合理なまでのフォームチェンジも今一度必要かもしれない。今、自分のやるべきことは、直線的な進化だけじゃないなと。

伊沢拓司

──どういうことでしょう?

伊沢 ひと言でいえば、短期的な利を捨ててでもアウトソーシングしないとな、と。そもそも、QuizKnockの本質というのは出演者というよりも、安定したクリエイティブチームが背景にいることなんですよね。人依存のコンテクストで語られるべき組織ではないかもしれない、それだけ営業、企画、制作、開発と皆強いんです。

だからこそ、演者として、そしてフロントマンとして僕が考えるべきことは、クリエイティブチームのポテンシャルをどう活かしていくか。演者も含めて優秀な若手が入ってきたなか、自分は今までやれてきたこととはまた別のことをやって、未来のための全体最適を追求したいですね。演者辞めたりはしないですけど。

──どのような未来を想定していますか?

伊沢 あらゆる学びを楽しく届ける、という目的の下では誰が担い手になってもいいはずなので、今後また新しい演者が出てくることもあるかもしれないし、誰かが帰ってくることもあるかもしれない。「QuizKnock」というブランドそのものが信頼につながることが理想なので。今はまだ不十分だから、修行が必要ですね。

──修行、というのは具体的にいうと?

伊沢 QuizKnockはこれまでちょっと、ホームゲームをやりすぎてきたと思うんです。我々の作ったコンテンツや我々の息のかかったクリエイターたちに囲まれて戦う機会ばかりだったので、演者も、素晴らしい制作陣も、もっとアウェイで力を磨いたらいい。

これまでもいい結果を残してきたけど、より世間に入り込むべく、メンバーにはぜひいろいろな人と関わって、失敗も成功もたくさん経験してほしいんですよね。

──最終的には、QuizKnockがどんな存在になることが伊沢さんの思う理想形ですか?

伊沢 QuizKnockのブランドと制作力でエンタメの世界でも教育の世界でも戦えるようになって、世の中においてQuizKnockのプロダクトが唯一無二の価値を持つことが理想ですかね。

……これ、あくまでたとえですけど、僕はQuizKnockのタトゥーを入れてるヤツが出てくるくらいの状態を目指したいんですよ。「QuizKnock、昔の推しだったんだよね」とただ回顧される存在ではなくて、自分の生き方には確実にQuizKnockに由来した源流がある、と思わせられるくらいになりたい。

──QuizKnockが個々の生き方に関われるような存在になりたいと。

伊沢 QuizKnockが人生変えたるわ、って思っています。応援してくれている人と目がバチッと合うようなかたちで、「QuizKnockが君の人生を変えるよ」と自信を持って言えるブランドになりたいなと。……これを聞いてマジでタトゥー入れないでね、焦るから(笑)。まだまだそのレベルじゃないから!

僕たちはなんでもやるし、それは未来に向けての挑戦なので、「QuizKnock、変わっちゃったな」じゃなく、常に変わり続けてるって思ってもらいたいなと。変わり続けていくなかで君たちのことも変えてくよ、というのは自信を持って言えるので、ぜひQuizKnockというブランドが20年、30年続くものになるための変化を、ほどよい距離感でみなさんに自由に眺めてもらえればなと思います。

「クイズ王・伊沢」はキメラのように強くなっていく

伊沢拓司

──ここまではQuizKnockの代表として、発起人としてのお話を伺ってきましたが、クイズプレーヤーとしての伊沢さんについてももう少しお聞きしたいです。QuizKnockとしては今が新たなターニングポイントということでしたが、クイズプレーヤーとしてもそれは同じですか?

伊沢 そうですね。僕個人に関していうと、今、人生において4度目くらいの“クイズ強い期”に入った感覚があるんです。

やっぱりクイズって、忙しくてなかなか勉強できなかったりクイズ界の問題傾向が変わったりすると弱くなることもあるんですけど、去年から今年にかけて、自分のペースをもう少し大事にしようと思って、意識的に仕事をセーブしてクイズをする機会を増やしたんですよ。

そうしたら、クイズ大会でもこれまでより活躍できるようになってきて、まだまだ俺は強くなるなっていう実感がここ最近、湧いてきたところなんです。

──これ以上強くなっていく実感があるんですか。

伊沢 正直、今の僕のクイズランクって、総合値でいえば日本25位から50位くらいだと思うんです。具体的にいうと、これを10位くらいまで上げたい。クイズに関してもまだまだ学べる領域はあるし、自分が学びにおけるひとつのモデルになりたいという気持ちでいろんな活動をしているからこそ、俺が変わらないで誰が変わるんだ、って気持ちでやれることはやってます。

きっかけとしては、東(問・言)兄弟が入ってきてくれたことも大きくて。あいつらだけクイズが強いQuizKnockっておもしろくないし、なにより、問・言も楽しめないと思うんです。東大クイズ研究会に戻れば強いヤツなんていくらでもいるわけだから、僕が東大クイズ研にはいないタイプの強い相手として立ちふさがっておかないと、彼らが退屈しちゃうだろうなと。

東問・言

ああいうモンスターたちに「QuizKnockって楽しい」と心から思ってもらうためには、まず俺が強くないと話にならねえなって。常に彼らにとっての壁であり続けないといけないと思うし、若い世代が活躍しているなら僕はその学びをもっともっと取り入れて、キメラのように強くなっていかなきゃいけない。

幸いにも今のQuizKnockの中には若手のクイズ好きがたくさんいるので、オフィスに行けばいつでもメンバーから話を聞いたり教わったりできますから、彼らから常に新しいことを学びたいって気持ちはありますね。

──素朴な疑問なのですが、伊沢さんは表現者としてもこれまでにさまざまな武器を身につけてきましたよね。それでもいまだに「クイズが強くなりたい」と思い続けられているのってどうしてなんでしょう?

伊沢 シンプルに、クイズが強いことに憧れてるんだと思います。クイズが強い自分が好きだし、クイズが弱い自分を受け入れられないというか……そこだけはあきらめられないんですよね。僕は日常生活もすごく大事にしているし、やりたいことはたくさんあるから趣味も疎かにしたくないし、なによりも仕事は最優先でやってるつもりです。

でも、それでもやっぱり強くなりたいと思えるくらいの憧れがまだクイズにある。欲張りなんでしょうね、たぶん。でもその欲張りが結果的に自分をここまで導いてくれたわけだし、仮にも「クイズ王」という名前を便利に使ってるからには強さという責任は負いたいですね。

──クイズ大会での勝敗に限らず、YouTubeの企画などにおいても「勝ちたい」気持ちは強いですか?

伊沢 強いですね。負けるとめちゃくちゃ悔しいし。本当は演者としてうまくやることとか、負けたあと上手にコメントする技術も求められている場面はあるんでしょうけど、勝ちたくて思わずカッとなる瞬間とかはいまだにありますから、原点なんだろうなと思います。「勝ちてえ」って気持ちは。

──「この企画、人によっては“うまく負ける”んだろうな」と感じる場面でも、伊沢さんはちゃんと勝ちにこだわっていますよね。YouTuberのみなさんがクイズで戦った『伊沢に勝ったら100万円!』の企画でも、最終的にダ・ヴィンチ・恐山さんに勝たれていて。

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伊沢 そうですね。僕、ここ数年で、“ちゃんと勝ってもいいキャラ”になってきた自覚があるんです。クイズプレーヤーとしてメディアに出始めたばかりのころって、チャレンジャーという立場だったので、勝たないと目立たないから、とにかく必死に勝とうとしてたわけです。

けど、その次に待ってるのはヒール、憎まれ役としての立場で。ヒールはチャレンジャーに立ちはだかる壁として、強さを見せながら最終的には、その壁を越えられたカタルシスも提供しないといけないわけです。

でもそれに従ったり、ちょっと抗ったりしながらキャリアを積んだら、その先に待っていたのが「クイズ王」としての地平だった。クイズを異常に好きな人間としてのキャラが世間に浸透していくにつれて、勝っても「クイズ王はすげえ」に落ち着くようになってきたんです。

気づいたら勝っても負けてもおいしいからシンプルにクイズを楽しめる。こればっかりは自分だけじゃどうにもならない要素もあるから感謝ですね。タレントとしての伊沢拓司が得た唯一無二の好条件だと思ってます。

──“クイズ王としての地平”、すごくおもしろいですね。いまや「伊沢さん=クイズ王」というイメージは誰しも持っていると思うのですが、伊沢さんの中で「自分はクイズ王だ」という自負って、どのあたりから湧いてきたんですか?

伊沢 「クイズ王」って基本的には他人から与えられる称号ですから、最初のころは仕事でクイズ王と自称することへのわずかな違和感は持っていたと思います。だって、俺よりクイズが強い人はたくさんいるから。でも、仕事で子どもたちと接するようになったときに、「俺はクイズ王だ」って初めて自分から言ったんじゃないかな。

学校訪問やイベント出演の機会があるときに、こっちが嘘を言ったり中途半端な準備で行ったりすると、子どもたちにはすぐバレるんですよ。僕が心からクイズを楽しんでないと、子どもも楽しんでくれない。

だから、「俺が出したクイズをみんな解いてくれ! 俺にクイズを出してくれよ!」という本気のテンションで子どもたちと向かい合おうとしたときに、動機を作る言葉が「クイズ王」だったんです。倒したい相手だけど、導いてくれる味方。壁であり介助者、誰よりも楽しんでるヤツ。一緒に楽しむ価値がある、と思わせるための呼び水が「クイズ王」でした。

──誰よりもクイズに本気な存在としての肩書が「クイズ王」だったわけですね。

伊沢 はい。僕がメディアに出始めたばかりのころって、「なんかクイズに詳しい人が出てきたな」というマニアを見る目線で見られていたと思うんですけど、ここ最近は、身内にいるおもしろいおじさんみたいな、異常にクイズ好きなキャラクターとしての「クイズ王」にジョブチェンジした感じがあって(笑)。遠い王家じゃなくて親しみのある王に、ようやくなれてきた気がするんです。

負け様も勝ち様も楽しそうで、クイズという遊びを誰よりも楽しんでいる存在としての「クイズ王」になれたな、と感じた数年前からは、自称としてもノープレッシャーで「クイズ王」って言葉を使うようになりましたね。強さという責任すら楽しんじゃえばいい。

いまだにクイズが楽しいから、教育に携わる責務と同時に、クイズの仕事も楽しみ尽くしたいですね。こんな環境に居させてもらえて、自分は幸福です。QuizKnockを支えるすべての人に改めて感謝したい。これが天職なんです。

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生湯葉シホ

1992年生まれ、東京都在住。WEBメディアを中心に、エッセイやインタビュー記事の執筆を行う。『大手小町』にて隔週でエッセイを連載中。 ブログ『湯葉日記』

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