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DOBERMAN INFINITY・KAZUKI「バイトでの経験があったから、厳しい仕事も粘り強く向き合える」

KAZUKI

文=斉藤 碧 撮影=興梠真穂 編集=梅山織愛


お笑い芸人、アーティスト、俳優など、話題のタレントに「仕事遍歴」を聞くインタビュー連載「求人ボックスpresents Echoes of Career~人気者の仕事遍歴~」。

当時なぜその仕事を選び、それがその後の活躍にどうつながっているのか?をテーマに、現在の職業に至るまでの経歴を聞きながら、そこで得たこと、逆境の乗り越え方を紐解く。

今回はDOBERMAN INFINITYのKAZUKI/林 和希が登場。今年でアーティストとして活動10周年を迎える彼にインタビュー前編では、アーティストになるまでのバイト遍歴を聞きながら、改めてデビューまでの道のりを聞いた。

メンバーから学んだ“あきらめない”姿勢を語った後編はこちら

なかなか長続きしなかったバイト

KAZUKI

人生初のバイト経験から教えてください。

最初はたこ焼き屋ですね。僕は岐阜出身なんですけど、地元でいとこが店をやってて、高校生のころはそこでバイトしてました。食材の仕込みから始まり、たこ焼きを焼いてパックに詰めてお客さんに渡し、お会計するところまで。

たこ焼きを焼くのは得意でしたか?

全然! たこ焼きって、同じ材料を使っていても、焼き手によってまったく違う味になるんですよ。それでいうと僕は、あまり上手なほうじゃなかったと思います。

そのあとのバイト遍歴は?

18歳で上京してからは日焼けサロンで働いて、居酒屋を挟んで、Bar、Bar……(笑)。最後が建築業です。

上京後、最初のバイトが日サロだったんですね。

いや、上京したてのころは数店舗で居酒屋のバイトを経験しました。僕は音楽の専門学校に通うために上京したんですけど、学校が高田馬場にあったので近場がいいなと思って、新宿でバイトを探したんです。でも、どれも長く続かなくて。場所ではなく、仕事内容に興味を持って始めたのが日サロでしたね。

ということは、当時のKAZUKIさんの肌は……。

地元にいたときから真っ黒でしたね。だからタダで焼けるぞー!と思って、日サロのスタッフになりました。あと、その日サロは渋谷にあったんですけど、けっこうアーティストの人が通っている店だったので、そこでの出会いが自分の夢にプラスになったらいいな、みたいな狙いもあって。実際にウチの店には今のメンバーも通っていたみたいです。

大変だけど学びも多かった建築業のバイト

Barで働いていたのはいつごろですか?

少しの間、居酒屋やBarで働いていたんですけど、東日本大震災が起きて次々に店が閉店しちゃって。働く場所に困っていたときに先輩が「俺の店(Bar)で働かない?」って声をかけてくれて、しばらく先輩の店で働いていました。ただ、“アーティストになる”という夢を追うなかで、昼間働きたいなと思い始めて。居酒屋バイト時代の兄貴的な人に頼んで、兄貴の後輩伝いで建築業のバイトを紹介してもらいました。

建築業をやっていたのは、EXPG STUDIO(LDHが運営するダンス・ボーカルスクール)に通っていたころですよね。

早朝から現場に出て、外で力仕事をして、夕方早めに上がらせてもらってレッスンに通うっていう生活をしてました。あのころはめっちゃキツかったなぁ……。

一番キツかった思い出というと?

初日の現場! 初っ端から、建築会社の中で一番厳しいといわれている先輩とペアを組むことになって、その人にものすごくしごかれたんです。それで、早々に辞めたくなりましたね。一日中、木材とか重いものを運んでるから、肩はアザだらけだし。2回目の現場の前に連休があったので、連休の間に飛ぼうかなって(笑)。

でも、辞めなかったんですか。

紹介してもらっている手前、紹介者の顔に泥を塗るわけにはいかないなと、なんとか思いとどまりました。すごく厳しかった先輩も、2回、3回と一緒に仕事をしていくうちに自分の仕事を認めてくれたり、ただ厳しいだけじゃないんだってわかってきたので、人間関係で悩むことはなくなりました。

人間関係以外で大変だったことはありますか?

真夏の現場はしんどかったですね。天然の日サロみたいな環境ではあったんですけど、どんなに暑い日でも外で作業しないといけないので、一度、熱中症になっちゃったことがありました。

大変! その現場の相方は?

それも厳しい先輩と一緒で、その日はウチの会社からふたりしか来ていなかったので、ひとりが倒れたらもうひとりが全部の仕事をやらなきゃいけないっていう状況でした。それなのに、作業を始めて1時間くらいでダウンしちゃったんですよ。でも先輩は、フラフラになってる自分に「こんなの楽勝だから休んでて」って言ってくれて。そこから先輩のことが大好きになりました。

それは惚れますね(笑)。

俺よりずっと年上なのに、家族のために身体を張って、命懸けで仕事をしている姿がカッコよくて、憧れましたね。アーティストになってからもたくさんの出会いがありましたけど、下積み時代に出会った人たちのことは、今でもすごくリスペクトしています。

KAZUKI

夢をあきらめなかった理由

そして、バイトを辞めて、人生を変えた『EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION 4〜夢を持った若者達へ〜』(THE RAMPAGEのボーカルが決まり、KAZUKIがDOBERMAN INFINITYのメンバーに抜擢されたオーディション)に臨んだのが2013年。どんな意気込みでオーディションを受けたのでしょうか。

実は僕、『VOCAL BATTLE AUDITION 4』でファイナリストになる前に、『VOCAL BATTLE AUDITION 2』も受けたんですよ。2のときは専門学校に入ったばかりのド素人だったので、力試しのような感覚で受けていて、予想どおり落ちちゃったんですけど。そのあとは徐々にボーカルスキルが上がっている手応えもあったし、作曲もやっていたので、次にメンズのオーディションが発表されたら絶対チャンスをつかもう!と。だから『VOCAL BATTLE AUDITION 4』の開催が発表されたときは、あえて退路を断ってオーディションに臨みました。

そもそも、地元にいたころからアーティストになるために準備していたんですか?

いえ、10代のころはどんな仕事に就きたいか決まらなくて、ずっと迷っていました。18歳で上京する直前まで。

それはなぜ?

僕の地元はすごく田舎で、「アーティストになりたい」って口にすることすら憚(はばか)られる環境だったので、自分の中でも踏ん切りがつかなかったんです。でも、やっぱり音楽が一番好きだし、友達にも「お前、歌うまいな」ってよく言われていたので、「大好きな音楽で飯を食っていけたら幸せやな」って本気で考え始めて。それからすぐに上京を決めました。

上京するにあたり、周囲の人に「アーティストになりたい」と言ったときの反応はいかがでしたか?

「バカじゃないの?」って言われると思って、ギリギリまで言えなかったんですけど、親も友達も、意外とみんな応援してくれましたね。そのおかげもあって、キツい下積み生活でも夢をあきらめずにがんばれました。

とはいえ、実際にアーティストデビューしたことで見えてきた現実もあったんだろうなと。

そうですね。僕は『VOCAL BATTLE AUDITION 4』でファイナリストになったのがキッカケでDOBERMAN INFINITYのボーカルに誘ってもらったんですが、もともとDOBERMAN INCというグループで活動していたキャリアのある先輩たちの中に新人が入るっていうかたちだったので、最初はプレッシャーと不安がすごくありました。右も左もわからない状態でのアーティストデビューだったから、先輩たちについていくのに必死で……。でも、そこでもバイトをしていたころの経験が役に立ちました。

たとえば、どんな?

精神的にキツいことや悔しいことは当時も今もいっぱいありますけど、建築業で働いていたころ以上に大変なことはなくて(笑)。「俺には、あのつらい現場を耐え抜いた経験があるんだ!」っていう自信が、日々の心の支えになっています。その結果、どんなに厳しい仕事や人でも粘り強く向き合うようになって。たとえ、第一印象で「この人とは絶対仲よくなれへんな」って思っても、最終的には大好きになるっていうことが増えました。

好きじゃなくても本気で取り組んで

KAZUKI

そんなKAZUKIさんが、仕事にまつわる悩みを持っている人にアドバイスを送るとしたら、どういうことを伝えたいですか?

みんなもそうだと思うんですけど、僕もバイト時代は好きな仕事だけをやってきたわけじゃなくて、「これ、将来的に何に活きるんだろう?」って思ったこともいっぱいあったんですよね。だけど今となっては、苦手な仕事の中で出会った人といまだに仲よくしていたりとか、つらいときにかけてもらったひと言が今でも胸に残っていたりとか、素敵な出会いがいっぱいあったなって思うんです。もしかしたら自分も、誰かにとって、そう思ってもらえているかもしれないし。だから、たとえ今の仕事がつらくても、自分の将来にプラスになってるよ、と。思いきって転職して新しい世界に飛び込むにしろ、無駄な経験はひとつもないよ、と言ってあげたいですね。

ちなみに、当時KAZUKIさんが苦手だったバイトというのは……?

接客業です。あのころの自分はアーティストになる夢があるから、バイトはあくまでも副業だって考えだったんですけど。そう思ってると、職場環境をよくしようとか、楽しく働こうっていう気持ちにならないんですよね。でも、バイトはバイトとして真剣に取り組めば、もっとスキルアップできたかもしれないし、接客業のことももっと好きになれただろうなって思うので、今「この仕事は本当に自分がやりたい仕事じゃないのに」って思っている人も、まずは本気で取り組んでみることをオススメします。

仕事でのモットーを語った後編はこちら

KAZUKI
1991年6月13日生まれ、岐阜県出身。DOBERMAN INFINITYのボーカルとして活動しながら、林 和希(はやし・かずき)として、ソロでも活動している

<「求人ボックスpresents Echoes of Career~人気者の仕事遍歴~」>
お笑い芸人、アーティスト、俳優など、話題のタレントに「仕事遍歴」を聞くインタビュー連載。
当時なぜその仕事を選び、それがその後の活躍にどうつながっているのか?をテーマに、現在の職業に至るまでの経歴を聞きながら、そこで得たこと、逆境の乗り越え方を紐解く。

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斉藤 碧

(さいとう・みどり)エンタメ系ライター。音楽・俳優系を中心に、インタビュー・レポート・コラムなどを執筆。主な寄稿先は『GLAY MOBILE』『OUT of MUSIC』『リアルサウンド』など。LDHアーティストの記事多め。

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