「夢の叶え方はひとつじゃない」EXILE HIROに聞く<GENERATIONSの10年>と成長するための方法
特集<GENERATIONS それでも未来を信じるか?>を作るにあたって、最後に必ずこの人に話を聞かなければならないと思っていた。EXILEの初代メンバーであり、株式会社LDH JAPANの代表取締役会長兼社長CEOであり、GENERATIONSの精神的支柱。
EXILE HIROこと五十嵐広行は、デビュー時から7人を陰で支え、時には厳しい言葉で発破をかけ、10年の月日をともに並走してきた。「それぞれの夢」と「グループの夢」の間で何度も衝突と挫折を繰り返した7人に、HIROは優しい視線を投げかける。最後に、彼に問う。「それでも、未来を信じられるのはなぜですか?」
GENERATIONSの80ページ総力特集が掲載されている『クイック・ジャパン』vol.169より、ソロインタビューの一部を特別に公開する。
ターニングポイントの世代
EXILE HIRO
神奈川県出身。1990年にZOOのメンバーとしてデビュー。1999年、J Soul Brothersを結成し、2001年、EXILEと改名して再始動。2002年、有限会社エグザイル・エンタテインメントを設立し、代表取締役社長に就任。2003年、株式会社LDHに社名を変更。EXILEのパフォーマー兼リーダーとして、EXILEを国民的グループに押し上げる。2013年、パフォーマーを勇退。2015年12月には、ダンスパフォーマンスとボーカルを巧みに組み合わせた活動のほか、プロデューサーとしての活躍も評価され、日本の芸術文化の振興に貢献しているとして、文化庁長官表彰を受ける。2017年、LDH新体制に伴い代表取締役会長に就任。2023年10月、株式会社LDH JAPAN代表取締役会長兼社長CEO兼CCOに就任。その傍ら、すべてのクリエイティブを統括するチーフ・クリエイティブ・オフィサーとして、世界基準でのエンタテインメントの創造に情熱を注いでいる
──今回特集を作るにあたり、GENERATIONSのメンバーにインタビューをして感じたのは、HIROさんへの信頼の厚さです。同時に「自分たちはHIROさんから直接の薫陶を受けた最後の世代だ」という強い自負もあるように思いました。
HIRO たしかに、自分が現役時代に一緒にステージに立ったのはGENERATIONSが最後ですね。当時はEXILE TRIBEの中では末っ子的な立場で、先輩メンバーのいいところもめちゃくちゃなところも全部見てきています(笑)。一方でJr.EXILE世代というくくりだと長男的な立場で、新たなLDHのアーティストを生み出す構造の中ではトップの位置にいるんですよね。
EXILE TRIBEの中でも成り立ちに違いがあって、GENERATIONSはLDHとしてのターニングポイントとなる世代だと思います。ある意味、それを狙ってJr.EXILE世代の長男を務めてもらっています。
──2023年は新たに4グループがデビューし、GENERATIONSもいよいよEXILE TRIBEの中でかなり先輩になってきました。先輩としてどんな背中を見せてほしいですか?
HIRO そこは今のまま、優しい先輩でいてほしいと思います。昔のEXILEのイメージから「体育会系! 年功序列!」みたいに思っている人もいると思うんですけど(笑)、そんなわけでもないんですよ。ただ普通に礼儀正しくしていたらそうなっただけで、先輩が先輩だというだけで後輩をイジるようなことは自分も好きではないし、そういう時代でもない。無理やり先輩ぶる必要はないから、優しい背中を見せていってくれたらと思います。
今はLDH以外の若いボーイズグループでもGENERATIONSファンという子がけっこういますよね。うちの若い子たちももちろんですけど、外部の子たちとも優しく交流しているのをSNSでもよく見るので、ジェネがそういう立場なんだと思うとうれしくなります。
──フェスやイベントに出てほかの事務所の若いグループから「中学生のときに観てました」と言われるのがうれしい、と片寄さんも話していました。
HIRO そうなんですよね。もうジェネがその世代なんだ、ってびっくりします。「GENERATIONSを観てダンスを始めた」という子が多いことは自分もすごくうれしいですね。
青春から成熟へ
──今はボーイズグループが群雄割拠といわれる時代です。その中にあってGENERATIONSの強みとはどこだと考えていますか?
HIRO それぞれものすごく個性がはっきりしていて、いい意味でタレントっぽいというか、お茶の間感があるのかなと思います。ジェネはほとんどのメンバーが演技もできるし、バラエティもおもしろくできて器用ですよね。あれだけドラマや映画にも出て歌って踊るグループってそんなにいないし、今の若いボーイズグループとはまた違うかたちだと思います。
7つの個性が輝いていると同時に、若くてもキャリアを積んでいるだけあって、ほかのグループよりもベテランのいい味が出ていると思っています。
──たしかに、年齢のわりにキャリアがありますよね。
HIRO そうなんです。だからこそ、メンバー同士でGENERATIONSというもののあり方を話し合って、もうひとつ上のステージに行く時期なのではないかと感じています。ちょうど先日、ジェネとメンバー会議をしたんですが、しっかりと今後のGENERATIONSがどこに向かってどう活動していきたいのかを明確に打ち出して、まわりのスタッフを味方につけて大きな存在になっていこう、という話をしました。年齢的にも30代に入ってきて本当の意味で大人になってきていますから、そこを考えないといけない時期なのかなと。
──青春感はGENERATIONSの魅力のひとつですが、そろそろ成熟が必要な年齢になってきている、と。
HIRO それこそ、若さと勢いでここまで来た部分もあると思います。そこから次に人としてどう成長していくのか。同時に、個々の夢も強いので、そのバランスの取り方が大事になってくるだろうなとも思っています。個が強いから、その魅力をどうやってチームに還元するか、そこの考え方を統一しないともったいないですよね。
今は環境がよいので、何か言えば簡単にまわりがやってくれるように思ってしまいがちですが、そんなことはなくて、全員に納得してもらうためには言葉も行動も含めた自分の努力の積み重ねが必要なんです。
ビジョンの共有の必要性
──「環境がよい」とは、会社が大きくなってグループも結果を出してきて、やりたいことがある程度すぐ叶えられる環境になっている、という意味合いでしょうか。
HIRO そうですね。これは自分の感覚ですが、すごくよい環境ではないかなと。基本的にやりたいことはやらせてあげたいし、やりたくないことはやらなくていいと思っています。物理的にもリハーサルスタジオ、レコーディングスタジオ、ジムなども全部が社内にありますしね。僕らの時代は、外部のスタジオやジムへの移動だけで2時間なんてザラで、リハーサルスタジオの床もめちゃくちゃ硬くて、腰を傷めたり(笑)。移動時間などがなく、時間を有意義に使えることはとてもよい環境だと思います。
──なるほど。物心両面でよい環境ですね。だからこそ逆に、言葉を尽くしていかないといけない、と。
HIRO 「相手のことを思いやりながら自分の言いたいことを伝えなよ」ということは徹底的に伝えています。前進するためにはどうすればいいかは話し合いを繰り返すしかない。そういうひと手間ふた手間をかけて面倒くさいことをみんなでやっていったら絶対成長できるし、ジェネはそれを繰り返すことで輝いていく気がします。
命をかけて、魂を込めて「これを絶対にやってやるんだ」という想いやビジョンをほかのメンバーと共有して、全部さらけ出していけたら、また新しいGENERATIONSになれる。よくまわりの方に「うちの子がGENERATIONSのファンなんです」と言われることがあるのですが、若いグループは若いグループで勢いがあるけど、ジェネはやっぱり知名度がしっかりあるので、そうなったらジェネらしい熱狂をもう一度作れると期待しています。それぞれに考えていることはあるはずだから、今後がすごく楽しみですね。
夢の叶え方はひとつじゃない
──一方で、インタビューでは中務(裕太)さんが「たとえ自分たちの夢が叶わなくても後輩に託すことはあきらめではない」と話していたり、数原さんが「ずっと歌い継がれる曲を作りたい」と言っていたり、自分たちだけでなく次世代を見据えた夢の持ち方をしているのが印象に残りました。これはとても大人な感覚だな、と思います。
HIRO EXILEも、おじいちゃんおばあちゃん、子供たちまで幅広い世代に喜んでもらえるから「Choo Choo TRAIN」を何回もパフォーマンスしています(笑)。楽曲が歌い継がれていくことへの喜びや意義をジェネのみんなも肌で感じているんだと思います。
また自分の話になってしまいますが、EXILEはもともとJ Soul Brothersというグループで、そのころはまったく売れなかったんです。僕自身がJ Soul Brothersにものすごく思い入れがあって名前を変えるのをためらっていたのですが、周囲の意見も聞き、客観的に考えてEXILEに改名しました。
無事EXILEが成功して、やっぱりJ Soul Brothersには愛着があるから二代目を作ろうという発想になり、さらに三代目を結成し国民的グループになれた。そのときに「こういう夢の叶え方があるんだ」と知りました。自分が思い描いていた夢は、かたちは変わっても絶対叶えられるということを経験したんですね。ジェネのメンバーも、普段の自分の話や各々の体験を通じてそれを感じているから、かっこつけじゃなく自然とそういうことを30代前半で言えるようになったんだろうなと思います。
──今回の特集では「挫折があっても未来を信じていられるのはなぜか」というところにフォーカスしているのですが、その背景が見えた気がします。
HIRO LDHでは今「Circle of Dreams」という新たなパーパスを掲げています。たとえば40歳を超えてセカンドキャリア、サードキャリアに向けて新たな夢を抱くメンバーがさまざまな肩書を持つようになりました。プロデューサーになって子供たちの夢を叶える立場になっていくメンバーもいます。若いころ、夢を叶えるためにオーディションを受け、デビューが決まり、ファンのみなさんに支えていただきながらスターになって、アーティストとして成功して、そのあとにさらにもっと多くの人たちに夢を与える側になる。LDHというサークルの中で、夢が循環していくことを肌で感じています。
この20年でその仕組みができて、その仕組みをしっかりと理解して、自分の夢を叶えている先輩メンバーもいるので、そんな先輩の背中を見ている若いアーティストは迷いなく今の活動に集中できているように思います。将来に不安があるとよけいな悩みが増えてしまいますからね。ワクワクしている若いメンバーの勢いも、この夢の循環の大切なエネルギーだと思います。
──LDHのアーティストの方は「継承」という言葉をよく使うイメージがありますが、そういう考え方が自然とインストールされているんですね。
HIRO 「Love, Dream, Happiness」をひとりでも多くの人と分かち合おうという理念があって、「社会を元気にしたい」「感動を与えたい」という想いと、それをつなげていこうという意識はどこよりも強いと思っています。表現方法はそれぞれ違っても、エンタテインメントの真髄であるその部分は先輩から後輩に伝えられていて、それを「継承」と言ってくれているんだと思います。
グループ名についている「from EXILE TRIBE」も、正直なくてもいいんですよ(笑)。テレビ番組で何組も出るときにあの表現がズラッと並ぶと「しつこい」と思われるのもわかりますし。だから普段は使わずに正式表記が必要なときだけにしているのですが、僕らの生き様であり、哲学や理念なので、あえて正式表記にはつけています。
僕らは「自分たちだけかっこよければいい」「自分たちだけ売れたらいい」という想いでエンタテインメントをやっているわけではありません。「from EXILE TRIBE」はそういう想いが込められている言葉で、みんながそこに自信を持って継承していってくれている。だからごく自然なことで、「継承していこう!」って力んでいるわけではないんですよね。体育会系で精神論頼みで、色黒マッチョ!みたいに暑苦しいわけではなくて(笑)。
──かつてのイメージが(笑)。
HIRO 初めはEXILEのインパクトを表現したかったですし、ほかとの差別化のための戦略もあってそうしていましたが、今はだいぶ違います。
──でも中務さんは「やっぱり自分たちはタンクトップに筋肉」とおっしゃっていましたよ。
HIRO それもGENERATIONSが最後の世代かもしれないですね。でもたしかに、筋肉については僕もまだ「ちょっとぽっちゃりじゃない?」とか言ってしまうかもしれないな(笑)。
GENERATIONSはなぜ「未来を信じられる」のか?
2023年12月13日(水)より発売中の『クイック・ジャパン』vol.169は、GENERATIONSとFANTASTICSのW表紙。表紙&第1特集では、10年という月日がGENERATIONSに与えた逆境と試練を振り返り、合計3万字のソロインタビューなど充実のコンテンツで<それでも「未来を信じられる」理由>を紐解く。
『クイック・ジャパン』のECサイト『QJストア』では、7人のソロ表紙風デザインの大判ポストカードが1枚セットとなる限定特別版を販売中。
※サイズは『クイック・ジャパン』と同じA5版、7種類から1枚がランダムでセット
※誌面は通常版と同内容
【総力特集】GENERATIONS それでも未来を信じるか?
10年という月日がGENERATIONSに与えた逆境と試練を振り返り、それでも彼らがまっすぐに未来を信じる理由とは。充実のソロインタビューなどで7人の本音と魅力を紐解く。
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ニューミニアルバム『beyond the GENERATIONS』11月21日発売
『GENERATIONS LIVE TOUR 2023 “THE BEST“』『GENERATIONS LIVE TOUR 2023 ”THE STORY”』と、ふたつのツアーを開催するGENERATIONSの初のミニアルバムが11月21日に発売。DVDにはミュージックビデオや『D.U.N.K. Showcase DAY3 (c)NTV』のパフォーマンス映像を収録。
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