「みんな全部“私”だよ」──K-POPグループ・IVEが世間に放つ、大胆で痛烈なメッセージ。話題沸騰の新作『I’VE MINE』から紐解く

2023.10.24

IVE「Baddie」コンセプトフォト

文=紺野真利子 編集=菅原史稀


IVEが10月13日に1stミニアルバム『I’VE MINE』をリリース。初動売り上げ160万枚を突破し、3作連続でミリオンセラーを記録した。

トリプルタイトル曲でのカムバックであることや、これまでのビジュアルとガラリと変えたコンセプトフォトで、リリース前から話題沸騰だった今作。K-POP界が空前のヨジャグル(女性グループ)戦国時代に突入している今、毎回「こう来たか!」と期待を超える作品を更新し続けるIVEは、やっぱり強い。

ビジュアルから斬新さを感じさせる「Either Way」

9月25日にはアルバムリリースに先駆け、「Either Way」のMVを公開した。最初に聴いたとき、「この神曲がリード曲じゃないの!?」と衝撃を受けた。それぐらい、「Either Way」の幻想的なメロディ、泣ける歌詞、そしてMVのエモい世界観に魅了された。

MVでは6人全員がさらに進化したビジュアルを見せてくれているのだが、やはりWONYOUNG(ウォニョン)の金髪が女神すぎたことについて、まずは書かせてほしい。

自身が以前所属していたグループ、IZ*ONEの時代から黒髪ロングヘアを貫いてきた彼女が、「Either Way」では透き通るような美しい金髪に。これがもう、本当にびっくりするほど似合っていた。しかもこの金髪姿は、今のところ「Either Way」のMVでしか見られない。自身の金髪姿にレア感を出すあたりも、プロアイドル・WONYOUNGの策略なのか……!?とすら思えてしまう。もちろん黒髪のWONYOUNGも大好きなのだが、いつかまたハイトーンヘアを披露してほしい。

また、YUJIN(ユジン)はロングヘアをばっさりとショートカットにして、これまでの印象からガラリと変わった。かわいらしさを残しつつも、思わず「イケメン!」と唸ってしまう凛々しさにドキドキする。この凛々しさは、やはり普段からスマートで頼もしいカリスマリーダー・YUJINだからこそ出せるものだなと思う。

「みんな全部“私”」

全員が圧倒的美貌を誇るIVEなゆえに、ついついビジュアルについて熱く語ってしまうのだが、もちろん楽曲も素晴らしい。「Either Way」は幻想的なメロディに乗せて、“まわりにどう思われても、私は私”という彼女たちの等身大な想いが込められている歌詞が印象的だ。

デビューしてすぐに大きな注目を集めた彼女らに向けられた言葉は、けっしてキレイなものだけではなかった。無責任な評価や憶測や悪口に、つらい思いをしたこともあったに違いない。そんな彼女たちがMVの中で喜怒哀楽を表現しながら、「誰かは私の言い方がムカつくんだって 偉そうなんだって」「また誰かは私がすごく優しいって バカみたいなほどだって」「時々理解すらできない視線に悔しかったりもするけど」「みんな全部“私”だよ」と、力強く歌う姿に胸を打たれた。この曲はライブで聴いたら絶対に泣いてしまうと思う。

何度も噛み締めたくなる魅力を持つ「Off The Record」

10月6日に先行配信された「Off The Record」は、正直、最初に聴いたときは「Either Way」ほどのインパクトはないかも……と個人的に思っていたのだが、今では何度も何度も聴きたくなる“スルメ曲”だ。軽快で爽やかなメロディに6人の透き通るような美しいボーカルがとてもマッチしていて、聴いていて心地いい。

まるで映画のワンシーンを見ているかのように作り込まれたMVも、何度も見返したくなる。深夜2時に集まったかわいい女の子たちが、耳打ちしながらキャッキャと楽しそうにしている姿なんてそりゃ何回も見たいに決まっている。アヒルのボートやブランコで楽しそうに遊んでいるLIZ(リズ)とは対照的に、部屋でひとりお祈りをして涙を流しているLEESEO(イソ)など、6人がそれぞれまったく違うジャンルの女の子を演じている。

歌詞には大胆なフレーズも

「Off The Record」は、デビュー曲の「ELEVEN」や「LOVE DIVE」「After LIKE」など、IVEの大ヒット曲を手がけたソ・ジウムが作詞を担当。「たまに私は本当に 大胆な想像をするよ」「ここからは非公開モードだよ」など、ドキッとするようなかわいらしいフレーズが続く歌詞は、IVEらしさ満載だ。ロングヘアになりさらに美人度が増したGAEUL(ガウル)の「非公開モードだよ」のパートは、思わず何度も再生したくなる。

また、LEESEOとREI(レイ)のラップパートが最っっっ高にかわいい。「もっと特別な密かで刺激的なことが欲しいの」というけっこう大胆なフレーズを、こんなにかわいくラップできるコンビがこれまでいただろうか……? そのあとに続くWONYOUNGの「私のことが欲しいのなら全部我慢しなきゃね」と、魅惑的に歌うお姉さん感とのギャップも合わせてたまらない。

“新生IVE”を打ち出す「Baddie」

そして10月13日に公開された「Baddie」でIVEは、これまで見たことのない“新生IVE”を私たちに見せてくれた。「Baddie」とは悪役という意味だが、濃いアイメイクをまとい、ダークな魅力を振り撒きながら歌い踊る6人に釘づけとなる。「Imma baddie baddie baddie」と繰り返される中毒性のあるサビもインパクトがあり、一度聴いたら忘れられない。

「Baddie」はカラフルでポップな世界観のMVも観ていて楽しいのだが、なによりパフォーマンスがとてもいい。彼女たちの洗練されたビジュアルと完璧なパフォーマンス力が、この楽曲をさらに魅力的なものにしている。

存分に発揮される、メンバーの表現力

「私はもうそこにはいないよ どうせ見つけられない」「いい子ぶるのはもううんざり」「流行りにはもうこだわらない」と、強気の表情で歌う6人は、“IVE=かわいいアイドル”という方程式を見事に、いい意味で崩してくれた。「Baddie」はまるで、「私たちこんな表情も見せられるけど、ついてこれそう?」という、6人からの挑戦状のような楽曲だ。

LEESEOのクールな歌い出しからすでに心をつかまれる。IVEは全員、表情管理が完璧なのだが、その中でも「Baddie」のLEESEOの表情管理はダントツだと思う。LIZの上品な歌声とダンスは、パフォーマンスのいいアクセントになっている。前髪を作ったかわいすぎるWONYOUNGが、「私はthrillerの中のvillain」と小悪魔っぽく歌うパートなんてもう本当にさすがすぎるし、YUJINのかっこよさと色気が融合したダンスにも釘づけとなる。「Off The Record」のかわいらしいラップから一変、ロック調の激しいラップを難なくこなすREIとGAEULにも衝撃を受けた。

『I’VE MINE』の3曲で、まったく違う姿を見せてくれたIVE。11月15日、16日にはKアリーナ横浜にて『IVE THE 1ST WORLD TOUR ‘SHOW WHAT I HAVE’ IN JAPAN』の開催を予定している。どんなステージを披露してくれるのか今からとても楽しみだ。ビジュアルも歌もダンスも、どんどん進化し続ける6人から今後も目が離せない。

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紺野真利子

エンタメ系ライター。俳優、アイドル、声優などのインタビュー記事やK-POP関連のコラムなどを執筆中。

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