【祝・紅白出場】LE SSERAFIM日本人メンバー「カズハ」。“異例”のデビューを成し遂げた、彼女だけの武器とは

2022.12.27

トップ画像=LE SSERAFIM『FEARLESS』(UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤)より
文=キクチカムサ 編集=菅原史稀


新しくデビューしたガールズグループの台頭が目立った2022年のK-POP。その中でもひときわ注目を集めているのが、今年の『NHK紅白歌合戦』への出場も決定し、その勢いが窺える「LE SSERAFIM(ルセラフィム)」。HKT48、AKB48、そしてIZ*ONE元メンバーのSAKURA(宮脇咲良)が所属することで、日本でもデビュー前から大きな話題を呼んでいた。

本稿で取り上げるのは、そのLE SSERAFIMに所属するもうひとりの日本人メンバー・KAZUHAである。今まで積み重ねたキャリアによって圧倒的な知名度を誇るSAKURAに対し、K-POPファンの間ではほぼ無名状態でのスタート。それにもかかわらず、彼女のパフォーマンスだけを捉えた個人動画の中には、YouTubeで200万回以上再生されているものもあるほど、人気・知名度ともに急上昇中のメンバーとなっているのだ。

LE SSERAFIM
(ルセラフィム)2022年5月2日にデビューした、韓国の5人組ガールズグループ。韓国出身メンバーのCHAEWON(チェウォン)とEUNCHAE(ウンチェ)、アメリカ出身メンバーのYUNJIN(ユンジン)、日本出身メンバーのSAKURA(サクラ)とKAZUHA(カズハ)で構成される。


LE SSERAFIMとは?

LE SSERAFIMの1stミニアルバム『FEARLESS』初週売上は、約30万枚以上。これは、K-POPガールズグループによるデビューアルバム初動売り上げの新記録となった。

こうして華々しいデビューを遂げた彼女たち。今年10月にリリースされた2ndミニアルバム『ANTIFRAGILE』は、米ビルボードのメインアルバムチャートにて、デビュー6カ月での初登場14位を獲得。K-POPガールズグループ史上最短となるチャートイン記録を樹立した。日本においても『第73回NHK紅白歌合戦』出場のほか、2023年1月に『FEARLESS -Japanese ver.-』のリリースが決定しているなど、グローバルな活躍を見せている。

わずか4カ月でK-POPアイドルに。“シンデレラガール”の出現

LE SSERAFIMが所属するのは、今一番勢いのあるエンターテインメント企業「HYBE LABELS」傘下にある芸能事務所「SOURCE MUSIC」だ。同企業の他レーベルにはBTSやSEVENTEENなど、現在のK-POP人気を牽引するグループが所属している。また先日には、「HYBE LABELS」の日本本社「HYBE JAPAN」に新たに設立されたレーベルへ、元欅坂46メンバー・平手友梨奈の電撃移籍が発表されたことでも話題を呼んだ。

そんな新進気鋭企業の新ガールズグループプロジェクトに、一般から大抜擢されたシンデレラガールがKAZUHAだ。SAKURAをはじめ、IZ*ONE元メンバーなどアイドルとしてのキャリアを積んできたメンバーが大半を占める中、KAZUHAが練習生として過ごした期間は、たった4カ月。長い下積み時代を経てデビューすることが定石となっているK-POPシーンにおいて、彼女のような経歴の持ち主は異例といえる。

透明感のあるビジュアルにエレガントな雰囲気をまとわせ、まっすぐな眼差しを投げかけるこのミステリアスな少女は瞬く間にSNSなどを中心に話題となった。

K-POPシーンで発揮される「元バレリーナ」の表現力

前述のとおり、KAZUHAのパフォーマーとしての経歴は、K-POP業界において異色といえる。彼女は3歳のころからバレエに取り組み、数々の国内外コンクールにおいて輝かしい成績を残し、2020年からは名門オランダ国立バレエアカデミーにて研鑽を積みながら、プロのバレリーナを目指していた。

こうした彼女のルーツが与える影響は、特にダンスにおいて顕著だ。キレのある瞬発的な動きで迫力を見せるのが特徴となるK-POPのダンスに対し、重力を感じさせない軽やかな動きで優美さを見せるバレエ。一見相反するような双方を活かしたパフォーマンスがほかの人にはマネすることのできない彼女だけの武器となっている。

ダンスだけではなく、歌やラップにおいても存在感がある。1stミニアルバム『FEARLESS』収録曲の「Sour Grapes」で、まっすぐで伸びやかな歌声を披露したかと思えば、最新曲「ANTIFRAGILE」では昨今流行しているレゲトン特有のフロウに挑戦している。歌とラップに関しては事務所に入るまで未経験だったというが、その習熟の速さに驚くと同時に、発展途上であればこその型にはまらない独特な質感が持ち味になっている。

「バレエの舞台とはちがう」BLACKPINKのステージを観て感動

バレリーナを志していたKAZUHAをK-POPの世界へ引き込んだのは、あのBLACKPINKだった。今まで身を置いていたバレエの世界における表現とは異なる、彼女たちのステージの魅力をこう語っている。

実際にステージを観た時、感動的で涙が出ました。今までバレエの舞台はたくさん観ましたけど、バレエの舞台とはちがう感じでかっこよかったです。その時「私もあんなステージに立てたらいいな」と思いました。BLACKPINK先輩は、かっこいいのにきれいでカリスマ性のある、そんな人たちなので、あんなふうになりたいという気持ちがたくさんありました。

『LE SSERAFIMデビュー・インタビュー』より

徐々に強くなる「K-POPの世界に挑戦したい」という思いから、バレエ留学中にオーディションを受けることを決断した。バレリーナとしてエリートコースを歩んでいたことを思えば、転身の際に葛藤があったであろうことは想像に難くない。

しかし、時にほかの人がうらやむような才能を持っていたとしても、本人の本当にやりたいことと一致しないというのはよくあることだ。賞賛されるべきは自分自身の生活、そして未来を変えるために新しい道への一歩を踏み出した彼女の勇敢さだろう。

この素質はLE SSERAFIMのグループ名(「I’M FEARLESS(私は恐れ知らず)」のアナグラム)や、これまでのタイトル曲「FEARLESS」「ANTIFRAGILE」の表す、「恐れず前に進む」「もっと高いところまで昇る」といったメッセージにも色濃く反映されている。

K-POPシーンは「多様な表現に挑戦したい」想いの受け皿に

より多様な表現に挑戦したいというビジョンを掲げ、それを実現する舞台としてK-POPの世界を選んだKAZUHA。同じような思いを持つ若者は、彼女だけではないようだ。

最近ではグローバルオーディションやオンライン上でのオーディションなど、K-POPシーンへ参入するための選択肢も年々増え、多くの人にチャンスが広がっている。その結果、今までK-POPの中では見られなかった秀でた才能を持つアーティストが現れるようになった。ほかの文化や表現などを取り入れ、調和し、形を変えつづけながら拡大するのがK-POPだ。

私がバレエをやっていた時も、舞台とダンスを通してたくさんの人に「元気やポジティブなエネルギー、感動を与えられる人になりたい」という気持ちがありました。今はK-POP歌手という別の道を進んでいますが、その気持ちは変わらず一緒です。いつもそういう気持ちを持って、ステージと音楽を通してたくさんの人たちに元気を与えられる、そんなアーティストになりたいです。

『LE SSERAFIMデビュー・インタビュー』より

活躍する舞台が変われど、パフォーマーとして変わらないブレない芯の強さは、K-POPに新たな風を吹かせることだろう。2023年、LE SSERAFIMが見せてくれるであろうさらなる飛躍が楽しみだ。


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キクチカムサ

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