福井俊太郎(GAG)連載「指が輝いてる人はピザ食べた人」第1回【三鷹×三鷹のやまちゃん本店×ブルーチーズ式肯定法】

文・撮影=福井俊太郎(GAG) 編集=福田 駿


2023年8月に始まった福井俊太郎(GAG)による新連載「指が輝いてる人はピザ食べた人」。総武線沿線の旨いグルメを、福井お得意の“決めつけ“を挟み込みながら紹介していく決めつけグルメ連載だ。連載準備回を経て、記念すべき第1回は総武線西の始まりの地・三鷹を訪ねる。演劇の聖地で有名な旨店に今日も舌鼓を打つ。そして謎のキーワード“ブルーチーズ式肯定法”とはいったい……?

連載は千葉に向かってゆきます

どうもぉ最近は総武線という文字を見過ぎてなのか、、理容室の本棚にあった漫画「北斗の拳」の原作者、、武論尊、、が、、総武線、、に見えてしまった人間です、、こんな小さいボケの為に武論尊先生を呼び捨てにしてしまった事を心よりお詫び申し上げます、、ちなみに北斗の拳1巻のロゴの色も総武線カラーに近くて嬉しかったです、、

今回から正式に、、「指が輝いてる人はピザ食べた人」の連載第1回目という事で、、サラッとどんな連載か説明させて頂きますと(あ?この連載が始まった経緯などは第0回東中野編をどうぞ)総武線の始発駅である三鷹から1駅ずつ降りさせてもらい、、そこで出会った旨なグルメを食べながら、、私が何かを勝手に決めつけていくのですが、、いざ、、決めつけ、、と言われてもイメージが湧かないと思いますので具体例をひとつ、、エンタメ業界で40代以上の男性で髪の毛量など気にせずに金髪にして綺麗なエアフォース1を履いてる人は何かで成功を収めている人だから全然知らないぞと思っても丁寧に接した方がいい。今後自分に対して何かしらの決定権を持っている可能性が高いから。ただエアフォース1が少しでも綺麗でなかったらそこまで警戒する必要はないですよ、、みたいな要するに自分の思い込みをお伝えするだけです、、そんな感じで1駅ずつ千葉駅方面へ向かって進めてゆきます、、すいません、、急に大人気ファンタジー恋愛小説でその後に映画化された「いま、会いにゆきます」の、、ゆきます、、の影響を受けてしまってて、、

ここからが指輝本編、、まずは、、お笑いライブで必ずあるOPV(オープニング)の代わりにOGP(オープニンググルメピクチャー)をアニメ「クッキングパパ」の「ハッピー×2・ダンス」が流れているイメージでどうぞ!

♪かぼちゃ チャーシューめん 明太子 コンビーフ♪

三鷹の老舗中華屋、、らーめんぎょーざ「一圓」さんの、、一圓セット、、激旨、、餃子のサイズは、、ななまがり初瀬君が楽屋でいつも食べてる、、ちっちゃいパン、、くらい大きいです、、正式名称は山崎製パンの薄皮シリーズです、、

♪ きょうも DANCE!  DANCE!  HAPPY  DANCE! ♪

三鷹、そこは演劇の聖地

皆様は、、三鷹へのイメージをどうお持ちでしょうか?有名なのはスタジオジブリの「三鷹の森ジブリ美術館」ですよね、、後はネットで拾っただけの腰の入ってない情報ですが「国立天文台」も有名だと、、ただ私の三鷹へのイメージは一択で、、演劇、、なんですよね、、実は以前から三鷹へは3度、、もうしっかり3度、、よくある2〜3度くらいとか3〜4回程度などの回数をハッキリせずにお伝えする技『あんまりちゃんと回数を覚えてたら恥ずかしいしスマートさに欠けるし回数を忘れてるくらいの方が脱力感も纏えるしそんな自分カッコ良いっしょ』は今回繰り出す必要なく、、三鷹の演劇への熱量はしっかり持ってるので、、格好悪く映っても良い、、しっかり完全なる3度です、、しかもその3の3で、、ものすごく面白かったんですよ、、うち2回は三鷹市芸術文化センター星のホール、、行政が絡んでいてしっかりとした造りの劇場、、いわゆる全てがプロのお仕事で、、完成された演劇を安心して堪能させてもらいました、、後の1回は少し趣向が違いまして、、古びた雑居ビルの5階にある、、SCOOL、、という劇場と呼ぶより空間と表現した方がしっくりくるような、、

三鷹SCOOL

あれは、、コロナが世界に蔓延する以前の出来事でした、、、ミーンミーンミンミンミーンゥジージジジ(あの夏の回想シーンに入る為にミンミン蝉と最後に一瞬のアブラ蝉の鳴き声)

私に東京演劇カルチャーを全て教えてくださったと言っても過言ではない友人からのLINEが、、ポロンッ、、

友人「今度、僕が演劇の講師をやっていた時の教え子が三鷹で公演するので良かったら福井君もご一緒にどうですか?」

福井「是非行かせてください!」

友人「では三鷹駅の改札で!」

福井「楽しみです!」

福井の心の声「そんな事より演劇の講師やってる友人って何ぃぃ?俺どうやって知り合ったん?自分ごときが生意気やわぁほんまぁ(嬉)」

などと、、相変わらず自分を下げることによって自己肯定感を上げるという、、独自のメンタルヘルスケアをしながら公演当日に、、、あのぉ、、少し話が変わって申し訳ないんですが、、このおかしなメンタルヘルスケアってシステム上は破綻してますよね?自分を下げてるはずなのに自己肯定感が上がるはずがないですもんね、、でも私は上がるんですよね、、なぜなら「自分なんて」と下げたと同時に「謙虚な自分は尊い」が同居してるので、、ブルーチーズ式肯定法、、結局自分を下げる事で謙虚な自分を褒めてるんです、、あえてカビを覆わす事でチーズに旨味を出す、、この方法で精神を保ってる方って実はいらっしゃるんじゃないかと、、相方のGAGひろゆきさんもよく自分を下げるんですがただ彼の場合は自分を下げ過ぎて狂気となり周りに気を遣わせてます、だってこの前なんてエピソードトークの入りが「まあ僕も一応生きてるんですけどぉ」って喋り出してましたからね、周りの芸人が一斉に「いやそこまで自分を下げんでもぉ」って注意してました、、自分も含め色んな人間がいますよね、、はい、、もし、、今ここに正統派ツッコミがいたとしたら、、首筋に血管を浮かせながら「いやずっと何の話しててんねんっ!はよ三鷹駅からSCOOL行かんかいっ!」と本筋に戻してくれるでしょう、、ツッコミって重要ですね、、

では戻りまして、、三鷹駅で友人と合流して劇場まで5分ほどの道中の会話は、、

友人「今日行くSCOOLなんですが演劇の中でも実験的な公演をやる場所なんですよ」

福井「へえ!」

友人「かなり前衛的な表現をやるのには向いている箱だと思いますね」

福井「おぉ」

友人「今日の主催の子なんかは○○っていう有名な劇団の○○さんの演出の影響を受けてると思いますね」

福井「ほぉ、、」

福井心の声「俺何にもわかってないやんぅ全く話についていけてない相槌すなぁ」

福井「楽しみです!」

とのダサいやりとりがあり、、劇場に着いて中に入ると、、

SCOOLイメージ画像

そこは丸椅子とスツールが40席ほど壁側に並べてあるだけの舞台もセットもない打ちっぱなしコンクリートに囲まれていて、、拉致した人質をロープで縛って監禁するような空間、、ここで本当に演劇が始まるのか?と不安になっていると、、開演、、良かった、、始まった、、とホッと胸を撫で下ろしていると、、すぐ驚愕の事態に、、だって、、上手(客席から向かって右)の方から出てこられた俳優さんがまず我々がいる客席の方を向いて誰かと話してらっしゃるんですね、、それと同時に下手(客席から向かって左)の方から出てきてた俳優さんが我々に背を向けて斜め後ろを向きながら誰かと話してらっしゃるんですね、、だから別々に違う人との会話をしてるのかなと思ったら、、その会話の内容は別々の方向を向いている2人が対面してるテイで喋ってるんです、、写真で表すと、、

イメージ画像①
イメージ画像②

この状態で、、このふたりが向かい合って喋ってる演出なんです、、そこから何人もの俳優さんが出てくるんですが、、一度もどなたも向き合って話をせずに、、全員が全く違う方向を向きながら、、ずっと会話を、、目の前にいない相手と、、始まって15分くらい経った私は脳内で、、

いや頭おかしなるぅぅ(低くねっとりした声で)

ちょっとは説明してぇぇ(低くねっとりした声で)

この2種類のガヤを繰り返していると60分程の公演は終わっていました、、実験的過ぎる、、前衛的過ぎる、、話の内容は何も覚えてない、、呆気に取られながら劇場を出ました、、ただこれが良いんですよ、、演劇を観るっていうのは、、

この後に居酒屋で観劇談義をするのがメインイベントですからぁぁ(低くねっとりした声で)

しかも私のような浅はかな人間には理解できないインパクト大公演の後ほど、、居酒屋での話に花が咲くんですよ、、SCOOLを出て駆け足で居酒屋へ、、そこから終電まで友人への質問コーナーが、、あの演出は何だったのですか?あの台詞の意味ってこうですよね?アフタートークゲストの方のカーディガン長過ぎませんでした?、、など時間を忘れて語り合った楽しい夜を今でも忘れてません、、酒も肴も旨かった、、安心してください、、皆様にお伝えする為に、、連載の為という大義名分を掲げ、、思い出のお店へ先日一人で行ってきました、、

いざ、三鷹の旨・やまちゃんへ

三鷹のやまちゃん本店

めちゃくちゃ旨そうな雰囲気ぃぃ(低くねっとりした声で)

思い出を美化しすぎてないか心配だったけど逆に思い出まで謙虚にしてたぁ(低くねっとりした声で)

「三鷹のやまちゃん本店」、、聞くところによると三鷹で観劇した後にこの店へ来られる関係者も少なくないとか、、私は高鳴る胸と低く鳴る腹を押さえ、、まずは、、三鷹のやまちゃんと書かれた暖簾に一礼、、「ちゃ」と「ん」の布の切れ目をめがけていざ突撃ぃぃぃ!!!大将やってるぅぅ??からのぉ!!!

駆けつけ一杯ぃぃこれこれこれぇぇ(低くねっとりした声で)

ここからは用意周到に、、やまちゃんに詳しい知人からオススメ一品料理を前もって聞いておきました、、だって居酒屋って複数人で行くと「もう少し食べたかったなぁ」と名残惜しいのにひとりだと「意外と多いなぁ」と感じてしまいませんか?なので全部の注文を芯に当てにいかないといけない、、遊びの注文なんて許されないんですよね、、ひとり居酒屋とは野球で例えると、、9回裏2アウト満塁0−0こちらの攻撃中、、ですから、、はい、、なのでまあ負けはないです、、勝ちか同点、、そこは不安にならないでください、、でも絶対勝ちたいので、、監督(やまちゃんに詳しい知人)にサイン(LINEで何が旨いか聞いてからの返信)を求めると、、そのサインは、、

バスターエンドランみたいな感じでネギチャーシュー&ぶりポン酢ゥゥゥゥ(低くねっとりした声で)

そしてホームランゥゥゥ(低くねっとりした声で)

この試合は完勝ぅぅ(低くねっとりした声で)

旨過ぎました、、その帰り道、、調子に乗ってもう一軒と『一圓』さんへ寄ったのがOGP(オープニンググルメピクチャー)となった経緯です、、1日に2軒も、、怠惰に溺れ、、酒に浸る自分へ「そんな事してる場合かっ!」「早く帰ってネタ作れよっ!」「売れてもないくせにっ!」と罵声を浴びせ尻を叩いたんですが、、、、笑顔で総武線に乗ってましたね、、

この記事の画像(全11枚)


この記事が掲載されているカテゴリ

福井俊太郎(GAG)

Written by

福井俊太郎(GAG)

(ふくい・しゅんたろう)お笑いトリオ・GAGのネタ作り担当。『キングオブコント』では過去4度決勝進出を果たす。2023年から「福井俊太郎(GAG)プロジェクト」始動。GAG活動は「GAG福井」、個人としての脚本・執筆活動などは「福井俊太郎(GAG)」として活動する。低くねっとりとしたボイスが持ち味。

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。