プライドが傷つく仕事も、絶対に無意味ではない|納言・薄幸、人生の起点となった一服


それから6、7年後。
やっと私もテレビに出られる様になった。
そして、とうとう『VS嵐』にシミュレーションではなく本人として出演出来る事になった。
夢みたいだった。
本番前、私の役で後輩芸人がシミュレーションをしてくれていたんだと思うと、何だか感慨深いものがあった。

収録直前の控え室。
あるスタッフさんが私の元に近寄り
「覚えてるよ、よくシミュレーション参加してくれてたよね。ようやく本人としてだね」
そう声をかけてくれた。
シミュレーション当時は、まだ少し下の役職だったそのスタッフさんは、場を仕切る程に偉くなっていた。
少し泣きそうになった。

シミュレーションというのは、他の芸能人になりきって、放送もされ無い、単なるリハーサル。
正直、テレビに出たい若手芸人達のプライドは傷つくし、悔しかったり悲しかったりする。
でも、私はシミュレーションに沢山行っていたおかげで、スタッフさんとの繋がりが出来たり、リアクションやカンペの読み方も学べた。
きっと今も、若手芸人達の中にはシミュレーションを嫌がってる人も居ると思う。
でも、絶対に無意味な仕事では無いと、私はその時初めて思った。

ひふみんのネームプレートを首からかけずに参加した『VS嵐』の本番。
何だかちょっとだけ、首元が軽くて、むず痒かった。


突然ですが、「納言・薄幸の煙たい記憶」は連載終了する事になりました。
今回のこのコラムが最後になります。

クイック・ジャパン ウェブで連載開始する事になってから、約3年間。
たくさんのコラムを書かせて頂きました。
自分自身の経験談を書く事が多かった、このコラム。
コラムを書いていなかったら、多分一生思い出す事の無い出来事が蘇って来る事も多々ありました。
文にしてみると、自分は思ったより色んな経験積んでいたんだ、人生色んな人と関わって来てたんだな、と再確認する事が出来ました。
素敵な勉強、経験をさせて頂きありがとうございました。

不恰好な文章ではありましたが、最初から最後までずっと読んでくれた方、時々読んでくれた方、最初で最後のこのコラムだけ読んでくれた方、心より感謝を申し上げます。

どーもねー!!ばいばーい!!

連載納言・薄幸の煙たい記憶をご愛読いただき、ありがとうございました!

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薄幸(納言)

(すすき・みゆき)お笑い芸人。1993年生まれ、千葉県出身。安部紀克との男女コンビ「納言」のメンバー。「三茶の女は返事が小せえな」「渋谷はもうバイオハザードみてえな街だな」など“街ディス”ネタが人気のコンビ。バラエティでは薄幸のヘビースモーカーっぷりや大酒飲みのやさぐれキャラクターにも注目が集まって..

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