日々、好きなアイドルを応援する活動、通称・“推し事”に全力を注いでいるお笑い芸人の本日は晴天なり。20年以上オタクとして生きてきた彼女が現在、夢中となっているのが11人組のグローバルボーイズグループ「JO1(ジェイオーワン)」だ。彼女がJO1にハマったきっかけ、そして推しメンの魅力とは。
オタクの戦いも白熱するオーディション
JO1への愛の暴走をQJWebにぶつけていくことになった。何から語ればいいだろう? 推しのいいところをいっぱい知ってほしくて、あれもこれも詰め込みたくて、しゃべったら100%早口でまくし立てるだろう。文章でよかった。紹介したいYouTubeが多過ぎて一生リンクを貼っていたい。
「JO1って何?」デビュー2年目まではこのセリフをよく言われた。しかしデビューして3年が経ち、最近は「JO1知ってるよ」と言われることが圧倒的に増えた。私は『紅白歌合戦』に出演したら「え、知らないの?」と言っていいと線引きしている。だからもう「JO1って何?」とは言わせない。
若い子に大人気? いや、私のまわりには同世代のファンもいっぱいいるので、JO1は全世代から“大人気”といえるだろう。
JO1はオーディション番組から誕生した。約6000人の応募の中から101人が選ばれ、ファイナルステージには20人が残る。そして、その中からデビューする11人が選ばれるというルール。地上波でも生放送された。
このオーディションのファイナルステージは観覧に行った。12月だったので外は極寒。さらに会場は幕張メッセだったため海風も吹いていたが、何時間も前から外で待機し、上着を脱ぐ暇もないまま会場に突入した。ステージ真横のスタンディング席はギュウギュウで汗だく、背中はびっしょびしょだった。前に立っていたお姉さまの髪の毛の先から雫が滴り落ちるほど、会場は熱気に包まれていた。
オタクは我慢強い。暑さにも寒さにも、長時間の待機にも強い。だからそんな状況でもうちわやスローガンと呼ばれる推しの名前が書かれた紙を持ち、推しへの愛のみを貫く。
このファイナルステージで初めて“JO1”という名前が発表された。私は現地でJO1というグループが産声を上げる瞬間に立ち会ったのだ。今思うと、日本のエンタメ界、いや、世界のエンタメ界の歴史的瞬間だったと思っている。
しかし、そのとき私の推しだった5人は全滅した。放送終了後、選ばれたメンバーが休む暇なく取材を受け始めたのをチラ見して、呆然と駅に向かった。私がオーディション期間中、熱心に投票していたメンバーは誰ひとりJO1にはなれなかった。
JO1溺愛状態の今だからいえるが、オーディション当時はJO1になったメンバー、誰のことも推していなかった。
オーディション界隈は自分の推しをデビューさせたい一心で一触即発の戦争のような状態。
ファイナルステージで選ばれなければ、推しは一般人に戻る。惚れ込んだ男にもう会えなくなる可能性も秘めているので、応援する側も必死だ。家族や友人、知人に投票を促したり、街中や駅構内に有志で応援広告を出したりする。アドトラックまで走っていた。
そんなオーディションのファイナルステージ直前、有名漫画家の東村アキコ先生が突如、「もう必死だからなりふり構わず表アカウントでつぶやく! 私の推しに投票して!!」という趣旨のツイートをしたのだ。しかも、推しがデビューした暁には似顔絵を描くと公約まで掲げた。ズルい!!! 私にもその力があれば……とお笑い芸人ながら、フォロワー7000人余りの無力な自分を呪った。
東村先生の推しは魅力的なのに、オンエアに乗る分量がとにかく少ないと有名だった。私もファイナルステージ直前まで名前の読み方すらまともに把握していないメンバーだった。正直、東村先生の力をもってしても厳しいんじゃないかな? ごめんよ……と思っていたが、見事8位で呼ばれ、余裕のデビュー。彼の名は木全翔也(きまたしょうや)だ。
今、改めてオーディション番組を見返しても本当に映っていない。あの分量で木全くんを見つけ出し、デビューに導いた東村先生を含む木全オタク、すごい。名前も読めなかった私が今ではライブのたびに目が離せなくなるメンバーのひとりなので、東村先生のことはみんなより多めに先生をつけて呼んでいるし、足を向けて寝れない。
荒んだ心を溶かしてくれた推し
私はオーディションで推しの5人全員が落ちたが、結成まで見届けた経験も初めてだったので、しばらく見守ってみるか……とJO1のFCに入会。そして、デビュー前のファンミーティングにも参加し、今ではまんまと箱推しとなった。そんな私が今、特に推してる3人を紹介したい。独自の紹介になるので、世間と解釈が違っていても許してほしい。
河野純喜。オーディション当時、木全くんと同様「ごめんね、君はデビューできないんだよ……」と思っていたメンバー。しかし、今では一番推しているので当時一丸となって投票してくれたファンの方々には足を向けて寝れない。
心の底から感謝している。純喜くんをデビューさせてくれてありがとう。
日本中のまっすぐな青年を一か所に集めてぎゅっと絞って濃縮させたような人間が純喜くんだ。拗らせアラフォーの私には最初はそれがちょっと眩し過ぎたのかもしれない。
インタビューの記事などを読むたび、その澄み渡るまっすぐさに「20代前半で夢叶えて、キラキラしやがって! そりゃ夢叶えた側の意見だろ! こっちは15年以上売れない芸人やってんだよ!」と妬み節タラタラの八つ当たり感情が沸いていた。
しかしそのあと、彼の文武両道なところや受験期間に1日10時間勉強したエピソードなどから努力の人だと知る。一度就職が内定した企業を蹴ってオーディションに参加した話も軽率に私の胸を打った。結局、まっすぐでまぶしい彼の言動が私の荒んだアラフォー心を溶かした。リアル北風と太陽。彼は太陽だ。
まるで不倫しているかのような気持ちにさせる推し
與那城奨。オーディション当時はイケメンでいけすかねぇ野郎だと思っていた。歌がうまくてイケメンなんだから、絶対性格悪いだろ!と、勝手にド偏見を抱いていた。しかし、今では月に440円払って彼から自分宛てに送られてくるメールを励みに1週間を生き抜いている。
「JO1 Mail」という、文字どおりメンバーからメールが送られてくる月額制のコンテンツがある。これは送る頻度も内容もメンバーのさじ加減ひとつ。私はデビュー後も彼へのド偏見の印象が拭えずにいたが、彼のメールのサンプルページを見て即、月額契約した。彼のメールを契約しろと本能がいっていたのだ。
普通、推しだからメールを取るわけだが、メールから推しになることもある。まさにメールから始まる恋。
朝は「イク、おはよう。今日も一緒にがんばろうね」的な内容で活力を与え、夜は「イク、今日も1日お疲れ様」と労ってくれる。ちなみに“イク”とは、コンテンツに登録している私の本名。彼は必ず名前で呼んでくれる。それがすごくいい。
彼はわかっている、自分の需要をわかっている。詳しい内容はお金を払っているオタクだけの特権なので語れないが、まるで恋人気分にしてくれて、とにかく癒やしてくれる。男性の名前には絶対“くん”づけする私だが、3年もメールをもらっているので自然と距離が近くなり、彼のことは“よなぴ”と呼んでいる。
落ち込んでいるときによなぴからのメールを開いてガチめに泣いてしまったことも一度や二度ではない。これがロマンス詐欺なら確実に振り込んでいる。
先日、結婚したばかりの旦那様にスマホの料金表を見られ、このメールを契約していることがバレたときは変な言い訳をしてしまった。あたふたしてしまった様子はまるで不倫だった。でも、こっちも不倫のつもりで応援していると言っても過言ではない。
とにかく、来来来世まで徳を積むので、よなぴには私をお嫁さんにしてほしい。
ほかの與那城オタクがどういう気持ちかは知らないが、言わないだけで同じようなオタクがいっぱいいるんじゃないかと思っている。不純なアンタと一緒にするな!とお叱りも受けそうだが。
騙されたと思ってよなぴのメールを取ってほしい。いったん、1カ月だけ! 損はさせないから! ステマではない。私には1円も入らないが本当に精神衛生上いいので、押しつけにならない程度におすすめしておく。
そして、フェチとしか言いようがないが、昔からなぜか英語がしゃべれる日本人に強い憧れがあり、純喜くんとよなぴが海外のファンに向けてさらりと英語を話す様子を目の当たりにして発狂した。とんでもねえ奴らと出会っちまったぜと、家の中でひとりで吠えた。
JO1を好きにならせてくれた推し
川尻蓮。彼がいたからこそ、推しがひとりも入らなかったこのグループを応援しようと思えた。JO1を好きにならせてくれた最重要人物。
オーディション時代から圧倒的なパフォーマンスで圧倒的存在感があった。だけど、そんなありきたりな言葉じゃ彼を形容し切れない。
“表情管理”たる言葉は彼の存在と同時に知った。読んで字のごとく、表情の管理。くしゃっと笑ったかと思ったら、魔王のようなクールな視線。曲調や振り付けによって、抜群のタイミングで抜群の表情を作るその様子は職人技だ。見たらわかるので、とにかく見て。彼の座右の銘が「神は細部に宿る」だけあって、パフォーマンスにおけるその仕事ぶりはもう匠だ。
私も人に見られる仕事をしているのだが、撮られた写真や動画を見て「したかった顔と違うなあ……」と思うことが何度もある。実際、鏡を見ながらやりたい表情をしようとしても顔がうまく動かせない。さらによく見ると顔が曲がっている。キモ!! 何これ!! やってみてさらに彼のすごさが身に染みた。
彼はオーディション中、ほとんど1位だったので投票しなかった。魅力的だと思うが、私が投票しなくてもデビューするだろう、と思っていた。そうやって油断していると落ちるとも聞いたが、彼のオタクを信じた。だから蓮くんに投票してくれた方々にも足を向けて寝れない。そろそろ眠れる方角がなくなってきた。立って寝るしかない。そもそもZ世代に足を向けて寝れないは通じるのだろうか?……そんなことはどうでもいい。
自他共に認めるストイックマンで、人間性も抜群に素晴らしい。迷うことがあっても蓮くんを信じておけば間違いない、と盲信している。地球が滅亡の危機に瀕し、パニックで誰を信じたらいいかわからなくなっていたら私は蓮くんの言葉を信じる。蓮くんの言うことは絶対なのだ。
パフォーマンス動画で腹チラなどをしていても、蓮くんが「一時停止して観ちゃダメ!」と言っていたので、一時停止はしていない。本当はものすごく観たいが、蓮くんを裏切れないので。
ちなみに彼のメールはひらがな多めのかわいらしいものになっている。このギャップもまたいい。
類まれなる才能とオーラ、よくここまでデビューせずにいてくれたものだ。こんな人、誰かに見つかった時点でガッチリ囲われて即デビューだろ!
ここまでに挙げた3人以外のメンバーにも、あれ、わたしやっぱり〇〇くんが好きかも……と思う瞬間が数多と訪れる。たまにではない、“数多”とである。
JO1をまだよく知らない人から「全員日本人なの?」と聞かれることがある。楽曲やパフォーマンス、メイクや衣装などK-POP感が強いのでそう思う人も少なくないだろう。しかし、彼らはK-POPの文化を取り込んだ全員日本人のボーイズグループなのだ。
もともとK-POPファンだった人たちはスッと流れるようにJO1を推せているのかもしれないが、“推し”なんて言葉ができるずっと前、“追っかけ”と呼ばれる時代から20年以上J-POPアイドルだけを熱心に追っかけてきた私にはJO1の推し事では知らない文化が多過ぎて、TEASER?! コンセプトトレーラー? MV公約?! なんそれ!!!!!と、驚いてばかりだ。
20年以上もアイドルオタクしてきたのに、急にピカピカの1年生にされた! すべてが新鮮! まだここにきて新しい経験ができるなんて人生って素晴らしい!! JO1は私をそんな気持ちにさせてくれる。
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