山田孝之も驚く『人喰いの大鷲トリコ』の“ゲームに生命を吹き込む”システム(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『ゲームゲノム』

本田翼がMCで、ゲームを「文化」として取り上げる番組。

レギュラー放送初回は山田孝之をゲストに迎え、上田文人の『ワンダと巨像』『人喰いの大鷲トリコ』について「孤独と生命」をテーマに深掘り。

芸大出身の上田は「アートからスタートして自分の作品と呼べるものを作りたい」という思いからゲームに辿り着いたという。

山田は『ワンダ』をプレイしたとき、「嫌というほど自分の弱さを見せつけられる感覚」を味わったという。リアリティを突き詰めた結果、敵を倒すときに「罪悪感」も感じると。

それは「ゲームってどうしても爽快感を追い求めてしまうってところに、果たしてそれでいいのだろうか?」という上田の思いによるもの。

リアリティということに関しては『トリコ』もそう。なんと『トリコ』には「興味レベル」が設定されていて、たとえば鳥がレベル4、主人公がレベル2だとすると、トリコは鳥のほうに興味を向けてしまう。

そのとき主人公が高いところから飛び降りたり、大きな音を出したりすると、興味レベルが6とかまで上がり、トリコが振り返って見てくれるのだと。猫、犬、アヒル、うさぎなどがたくさんいる家で育ったという上田ならではの設定だろう。

その『トリコ』のゲーム終盤の名シーン。トリコが、弱点が目の前にあるにもかかわらず主人公を助け、トリコと主人公の絆の強さを感じさせるシーンについて。

ビデオゲームはゲームルールが絶対だが、「NPCであるトリコがそのルールを破る、今までそういうキャラクターはいなかった。これこそゲームならではの表現になるんじゃないか」と思い、作り上げたという。

ゲームを作品論・作家論として本格的に語る番組はこれまでほとんどなかったけど、今や語り得る作品はたくさんあるし、語り手もいるので、最高のかたちでレギュラー化した番組だと思う。

『ランジャタイのがんばれ地上波!』

オープニングには国崎がいないが「気配は感じる」と伊藤。やはり国崎は遠くでしゃべっている。が、撮り直し。

「いろんなことをやったんですけど、ある事情で全カット」と30分全部お蔵入りになってしまったそう。なぜなら、撮影申請をしていない対岸まで行ってしまったため。いかにもランジャタイ。

初回の企画は「アシスタント選手権」。=LOVEのような真っ当なキャスティングもあれば、ランジャタイの友達で一般のオジさんだという「大島さん」という謎のキャスティングも。

「伊藤」と呼び捨てにするこのオジさんは「将来は勝新になりたい」と言い放つ強烈キャラ。伊藤「今が将来です(笑)」。

最後のアシスタント候補はまさかの高橋英樹。「コイツだけには負けたくない」と大島さんが言うと、伊藤「伊藤はいいよ。(高橋さんには)頼むからやめてくれ」。

その大島さんと高橋英樹の「メンチ切り対決」がなぜか無性におもしろい。大島さん「強いぞ、コイツ!」。

さすが、ランジャタイのお友達。大島さんが逸材過ぎた。


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。

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1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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