『岡山芸術交流 2022』がスタート。まだアートに関心がない人にも開かれた展覧会に
岡山城、岡山後楽園周辺エリアなどさまざまな歴史文化施設を会場に全28組のアーティストの作品が展示される『岡山芸術交流 2022』が、9月30日から11月27日までの期間で開催される。
本稿では、アーティスティックディレクターを務めるリクリット・ティラヴァーニャ氏がこの芸術祭に込めた思いと共に芸術祭の模様をレポートする。
観客に開かれた展覧会に
『岡山芸術交流』は2016年から始まり、今年で3回目の開催となる国際現代美術展。岡山城、岡山後楽園周辺エリアなどさまざまな歴史文化施設を会場に全28組のアーティストの作品が展示されている。そのため、本展では歴史ある岡山の風景と共に国境を越えたアート作品を楽しむことができるのだ。
『岡山芸術交流』について総合ディレクターを務める那須太郎氏は「2016年当時から、ほかの芸術展といかに差別化していくかということを考え、オーディエンス(すでにアートに関心のある方)から、パブリック(まだアートに関心のない方)への流れを作っていくことを長期的な目標に進めて参りました」とビジョンを明かした。
そして「第1回で“アートの教科書的な展示を見せる”ことを縦軸に、第2回では“最新のアートの動向やアートがどこに拡大しているのか”を横軸に展開してきました。その軸を踏まえ、第3回となる今回は“観客とのコミュニケーションを大切にした展覧会”にしようというのが目標です」と語る。
観客とのコミュニケーションについては「2016年の芸術祭で会場視察をしているときに、お母さんを案内しながら作品を観ている小学1年生の少年に会いました。珍しい光景だったので声をかけたのですが、その子が純粋に現代アートを楽しんでいることが印象的で。その後も何度か会っていて、今では中学生になり『将来はアート関係の仕事に就きたい』と言っているんです。これが、アートを通じて人が変化していくことだと思います」と、印象的な出来事を振り返る。そして、「今回はより観客に向けて開かれた展覧会になっているので、多くの人にこういう変化を起こせるものになればいいなと思います」と期待を語った。
アーティスティックディレクターのリクリット・ティラヴァーニャ氏も「この少年がいたというのも、今回アーティスティックディレクターをお受けしたひとつのきっかけです」と話す。2016年の『芸術祭』にアーティストとして参加したティラヴァーニャ氏は、それ以降も岡山に何度か足を運んでおり、さまざまな場面で地元の人々と交流を重ねてきたことが今回の「コミュニケーションを大切にした展覧会」につながっているのだという。
「僕らは同じ空のもと夢をみているのだろうか(Do we dream under the same sky)」という本展のタイトルについては、「お互いの夢を理解するということは大事だと思う。世界的パンデミックが起きているこの時代の中で、私たちは夢を見れるのかということについて考えていけるものになればいいと思う」と、自身の考えを話した。
今回の芸術祭では作品の展示だけでなく、「地域に開かれ、根ざし、持続・発展すること」を目的としたさまざまなパブリックプログラムも展開。地元団体による対話型鑑賞や学生グループによる新聞発行、さらに一般公募によって選出された企画も開催される。
観るだけではなく体感しながら作品を感じて
展示会場は旧内山下小学校、岡山県天神山文化プラザ、岡山市立オリエント美術館、シネマ・クレール丸の内、林原美術館、岡山後楽園、岡山神社、石山公園、岡山城、岡山天満屋の全10カ所。どこも徒歩で回れる範囲に密集しているため、“街歩き”をしながら作品を楽しむことができる。
メイン会場の旧内山下小学校には、ティラヴァーニャ氏の作品をはじめ、25作を展示。校舎内だけでなく、中庭や校庭、体育館にもそれぞれ作品が展示されている。校門横の屋外プールにはプレシャス・オコヨモン氏による巨大なクマの作品が。プールサイドから眺めるだけでなく、作者は「実際に作品に触れて、作品を感じてほしい」と話した。
現在「令和の大改修」が行われる岡山城では、電子音楽の作曲家・アーティストとして活動している池田亮司の映像作品を見ることができる。400年以上の歴史を持つ岡山城の城下に現れた現代的なアート。ぜひ、まわりの風景と共にこの作品を目に焼きつけてほしい。
岡山城に向かう道のりにある石山公園には、メリッサ・ダビン&アーロン・ダヴィッドソンの2019年の展示作品が風景の一部かのように残っている。さらに今回から、ヤン・ヘギュによる作品も新たにこの場所に加わった。
清和天皇貞観年中(860年)に創建された岡山神社でも境内にミー・リン・ル氏が岡山のダンサーと共に作成した映像作品が展示されている。歴史的建造物の中に共存する現代のアートをぜひ会場に足を運んで体感してほしい。
ティラヴァーニャ氏によるキュレーションの「インデックス展」が行われている岡山天神プラザ。本展で最も多い22名のアーティストによる立体作品や写真作品、映像作品が展示されている。最北点に位置しているので、ここからスタートするのもよいだろう。
さらに1階にはアーティストの作品だけでなく、地元の書道家や高校生たちと共に作成された作品も展示されている。
林原美術館では、王兵氏による映像作品を上映。そして屋外にはホーチミン市を拠点に活動するアーティストグループ・アート・レーバーとジャライ族のアーティストたちによる作品『JUAーサウンドスケープの音』が。本作は風に揺られて音が鳴る仕組みとなっているため、観るだけではなく音でも作品を楽しむことができる。
岡山芸術交流 2022
会期:2022年9月30日(金)~11月27日(日)
開館時間:9:00~17:00(最終入場は16:30まで)
休館日:月曜日(10月10日(月・祝)は、翌日の火曜日休館)
展示会場:旧内山下小学校、岡山県天神山文化プラザ、岡山市立オリエント美術館、シネマ・クレール丸の内、林原美術館、岡山後楽園、岡山神社、石山公園、岡山城、岡山天満屋
開館時間:旧内山下小学校 9:00~17:00(入館16:30まで)
天神山文化プラザ 9:00~17:00(入館16:30まで)
オリエント美術館 9:00~17:00(入館16:30まで)
林原美術館 10:00~17:00(入館16:30まで)
岡山後楽園 9:00~16:00
岡山城 16:00~21:00
岡山神社 9:00~17:00
岡山天満屋 8:00~19:30
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『岡山芸術交流 2022』
日程:2022年9月30日(金)~11月27日(日)
開館時間:9:00~17:00(最終入場は16:30まで)
休館日:月曜日(10月10日(月・祝)は、翌日の火曜日休館)
展示会場:旧内山下小学校、岡山県天神山文化プラザ、岡山市立オリエント美術館、シネマ・クレール丸の内、林原美術館、岡山後楽園、岡山神社、石山公園、岡山城、岡山天満屋開館時間:旧内山下小学校 9:00~17:00(入館16:30まで)
天神山文化プラザ 9:00~17:00(入館16:30まで)
オリエント美術館 9:00~17:00(入館16:30まで)
林原美術館 10:00~17:00(入館16:30まで)
岡山後楽園 9:00~16:00
岡山城 16:00~21:00
岡山神社 9:00~17:00
岡山天満屋 8:00~19:30関連リンク
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