写真家が見た、ウクライナでの日々「“戦争”とはどういうものなのか?」
2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻。今この瞬間も、ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けている。そんな中、侵攻後のウクライナの様子を発信し続ける日本人カメラマンの姿があった。
戦争とはどういうものなのか……第二次世界大戦以降の戦争のない国で生まれ育った写真家・児玉浩宣が、戦争のある日常をおくるウクライナの人々や街のリアルを伝える。
※この記事は『クイック・ジャパン』vol.162に掲載のコラム「A Day in Ukraine」を転載したものです。
児玉浩宜(こだま・ひろのり)
NHK報道カメラマンとして活動後、フリーランスの写真家。ウクライナではロシア侵攻直後より取材。11月に写真集を刊行予定。
正直「簡単にはわからない」
戦争が遠くのもののように感じて、実際の戦争とはどういうものなのかを確かめるためにウクライナへ渡航しました。
現地に行くことにも迷いはありませんでした。ただ、文化も宗教観も死生観も違う国では理解できることも限られます。そのなかで、人が生きて生活するということは戦争が起きたからといってそう簡単に変えられるものではないのだろう、と感じました。
非常時だからこそいつもどおりの生活をすることで安心を得ようとしているようにも見えました。
私自身、ウクライナ語を話せるわけではありませんし、戦争以前のウクライナの状況を知りません。
撮影を通じて「理解したい」とか「寄り添いたい」とか耳障りのいいことを言おうとすればいくらでも言えますが、正直に言えば「簡単にはわからない」ことがわかったのです。
そのわからなさも含めて写真に残していく、なんとか理解しようとするためのロード・トリップのような感覚でシャッターを切っています。
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