スタッフも「意図と違う」と困惑。想定を超えたベテラン芸人たちの意地とプライド(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『メガホン二郎』

「第一回『映画芸人オーディション』を開催したらとびきりベテランが応募してきたので戦わせてみた」という企画。

オーディションはフレッシュな人材を求めているので年齢制限をかけがちだが、ベテランの中にも実力者はいるはずと、スギ。、藤井ペイジ、イワイガワ井川のアラフィフ3人が、この番組エンディングで映画知識とプレゼン力を披露してきたジャガモンド斉藤と映画プレゼン対決をするというもの。

特別審査員には「触るものみな傷つける」中山功太。斉藤が3人を『オンバト』とかで観ていた印象はというと、中山は「『オンバト』がピーク」「そこで人生の最高潮をやってしまってる」「当時ネタやってるだけの番組なんで(平場での)振る舞いがもともと下手っていう可能性があります」と毒舌が止まらない。

さらに矛先が『オンバト』芸人へと移り、「『オンバト』にだけ合わせたネタをやってらっしゃった方が多いんで、地上波で今活躍しているかっていったらほぼ皆無。単純にネタがむちゃくちゃ古い。なんかウケはするんですけど、寄せの中の最低限の拍手笑い」とたたみかける。

当然、この座組ならば、ベテラン芸人が若手の斉藤に圧倒され、中山が腐しトドメを刺すという展開が想定される。

実際、スギ。は最初のフリートークはふわふわした感じで、まず斉藤のプレゼンを聞くと「僕がやると思うとちょっとドキドキしてる」と不安げ。しかし、『マネー・ショート』のプレゼンを始めると人が変わったように生き生きとし、一気に引き込み、中山も「観たくなった!」と絶賛。「(演出の)板川が『意図と違う』みたいな顔してる」と笑う平子。

その後『クリード』をプレゼンした藤井ペイジも、『鑑定士と顔のない依頼人』の井川も見事なプレゼン。「じゃあ、このままいい空気で終わりましょうか」と板川。本番前、3人でブツブツ練習していたと明かす井川「ベテランは若干企画意図読めないのよね。(腕を)見せたくなっちゃって!(笑)」。

ベテランの意地とプライドが企画意図を超えていくのがとてもおもしろかったし、無理やり事前に想定した方向に持っていかない番組側の態度もよかった。

『千鳥かまいたちアワー』

ほぼ『ボンビーガール』的な山内企画「四畳半ガール」第2弾。第1弾は番組過去最高視聴率だったそう。

山内が『ボンビーガール』総合演出の清水星人に話を聞き、より『ボンビーガール』っぽく強化。それによれば、撮影に行くのは心を開きやすいように同世代の若い女性スタッフ、片づけなどが完了していない待ち合わせより15分早く行くのが極意だという。

そんな夢を追う「四畳半ガール」のVTRを観て、下積み時代の話に花を咲かせる4人。売れなかった時期も楽しかったと。ツラかったのは、地元に帰ったときの「まだ芸人やってんの?」という視線だったと大悟は言う。

濱家が哲夫の家に2カ月住み込みしていたと回想すると、「お前もあの“道場”出身か」とノブ。

ノブは約4年、哲夫と同居したそう。新喜劇の録画を観ながらどっちがおもしろいツッコミができるか勝負したり、「ツッコミ修行」と称してAVを観ながら時折出る会社のロゴに合わせて、その会社名を叫んだりしていたという。

もしそのまま売れてなかったら何をしていたかという問いに対する答えが、4人それぞれ“らしい”回答。ノブは芸人になったのも、シャープを辞めて好きなことを仕事にしようと思ったからだったので、パチスロライター。料理好きな濱家は居酒屋。山内は「金持ってる社長の下につく」。大悟は「ボーっと島帰って釣り」。

千鳥は吉本に入る前、コブクロがそこから出世したという天王寺の歩道橋でストリート漫才をしていたという。また学園祭でも、コブクロが体育館で歌っている、その外で大喜利をしていたそう。大悟「吉本から『入ってください』って言われるまで待とうって。こんだけおもろいんやから、あっちから頭下げてくるやろって」。

千鳥の若手時代のエピソードがことごとく『べしゃり暮らし』的なマンガの世界でとても痺れる。

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1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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