日向坂46・河田陽菜がベッドで見せる笑顔、笑顔、ほくろ…「愛したさ」が詰まった1st写真集『思い出の順番』

2022.4.15
河田陽菜サムネ

日向坂46・河田陽菜(かわた・ひな)の写真集が売れている。1st写真集『思い出の順番』(講談社)は3月1日の発売前に2度の重版が決まり、累計発行部数は14万部を超えているという(初版10万部)。アイドルを愛し、写真集を愛でつづけるライター・むらたえりか(乃木坂46・与田祐希写真集HKT48・田中美久写真集などをレビュー)が魅力を考察する。

純度の高い「愛したさ」

分厚い写真集だ。256ページの大容量。日向坂46で初めて写真集を出した渡邉美穂の写真集『陽だまり』(幻冬舎)が144ページ。それにつづいた齊藤京子『とっておきの恋人』(主婦と生活社)が200ページ。小坂菜緒『君は誰?』集英社)が144ページ。河田陽菜の写真集は、手に取ったときの厚み、重みが頭ひとつ抜けている。

その重みを感じながらパラパラとページをめくると、笑顔、笑顔、笑顔。圧倒的に笑顔の写真が多い。テーマは「彼女と過ごした365日」。こんなにも日々を楽しそうに過ごしている子なのだと感じる。ファンはもちろん、メンバーやスタッフ、家族からも愛されている。そんな印象を受ける。嫌味な感じがしない、純度の高い「愛したさ」が詰まっている。

19歳から20歳までのアルバム

乃木坂46・齋藤飛鳥写真集『潮騒』(幻冬舎)や元欅坂46・長濱ねる写真集『ここから』の撮影も担当した細居幸次郎による写真に、河田陽菜が書いた短いコメントが添えられている。

「何気ない一瞬が、思い出になる。」

奄美大島で撮影された写真に添えた言葉だ。海は写っておらず、背景には草むら、花がわずかに咲いている。彼女は、白い帽子を被り白いオーバーサイズのトレーナーを着て振り返り、笑う。しかし、その笑顔の口もとは、肩で少し隠れている。本当に、何気ない一瞬である。

19歳から20歳になる彼女を、1年間かけて撮影したという。長い時間と、撮影チームとの関係の積み重ねが、変化に富んだたくさんの笑顔を引き出している。眺めていると、写真集というよりも思い出のアルバムを見せてもらっているような感覚になっていく。

アイドルからも愛されるアイドル

河田陽菜が日向坂46メンバーに愛されていることがうかがえるエピソードはいくつもある。なかでも、冠番組である『日向坂で会いましょう』(テレビ東京)での企画「第1回 I LOVE河田選手権」は印象的だった。スタジオにいたメンバー全員が一斉に河田陽菜に駆け寄り、抱きつけた者が最も河田を愛しているというミニゲーム。「かとし」こと加藤史帆と「おたけ」こと高本彩花が、絶対に離すまいと河田に絡みつくように抱き締める。そんなふたりの熱意を、河田は優しく笑って受け入れていた。

写真集のツイッター公式アカウントでは、一人ひとりのメンバーの「推しカット」が紹介されている。高本と一緒に河田に抱きついた加藤史帆は「ほんのり猫背でこっちを向いてるひなちゃんがリアルで可愛すぎてスキ!」というコメントを寄せ、下りのエスカレーターに乗った河田陽菜が振り向いてこちらを見ている写真をセレクトした。

この写真もまた何気ない1枚だ。額に張りついてしまった前髪を直しにヘアメイクが入った様子もない。そして加藤の言うように「ほんのり猫背」を大きな黒いリュックサックが覆っている。カメラに気づいて笑顔になるほんの少し前、という雰囲気。

また、高本は「地球に舞いおりた天使だね」とコメントし、陽の光のなかで河田がしゃがみ込み目をつぶっている写真を紹介した。白いワンピースを着て自分の膝に頬を寄せる河田。頬のまるみが重力でほんの少し下に下がっている。陽に照らされた背中は発光するように輝き、背中の大きなリボンは羽のようだ。「天使」という言葉が出るのもうなずける。

そして、河田が尊敬するメンバーとして名前を挙げている佐々木久美は、パーカーのフードを被り、なかから顔を出してみせるおどけたような河田の写真を紹介している。「いつも恥ずかしいと笑っちゃう陽菜ちゃんのこの表情はレアでとっても可愛いすぎると思います」とのコメントがあり、佐々木が普段から河田の様子をよく観察していることがうかがえる。

河田陽菜は、アイドルからも愛されるアイドルなのだ。

愛おしさを搔き立てる河田陽菜のほくろ

白いシーツにくるまっている写真がある。微笑んだ口元はまたしてもシーツに隠れて見えない。しかし、アップになった顔の額に前髪が散らばり、いつもはその前髪で隠れているのであろう右眉の横の薄いほくろが見えている。

ブログなどに上がる写真ではなかなか見られないそのほくろ。それに気がついたとき、河田陽菜のまだ見せていない部分をもっともっと見たくなる。知っていけば、さらに愛したくなるだろう。愛したさのきっかけは、何気ないところに落ちている。

誰かを愛したい気持ち、「愛したさ」を受け止めてくれる存在がアイドルなのだ。ブログやSNSなどで日々近況や気持ち、本来であれば見せなくていいところまでを伝えてくれることで、愛するきっかけをたくさんもらっている。

河田陽菜の1年間を写した256ページの写真集は、そんな何気ないきっかけの重みを感じるアルバムである。

『日向坂46 河田陽菜1st写真集 思い出の順番』細居幸次郎/講談社

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