松本人志以外の審査員刷新『キングオブコント』審査形式、試行錯誤の13年を振り返る



2014年:一騎打ち&勝ち抜き形式

『キングオブコント2014』 [DVD]/よしもとミュージックエンタテインメント
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2014年、シソンヌが優勝した第7回大会は、『キングオブコント』の歴史の中でも異色の審査形式となった年だった。

ファイナリストはこれまでの8組から10組に増えたが、ファーストステージは負けたら即敗退の「一騎打ち」形式に変更。芸人2組がそれぞれ1本目のネタを披露し、芸人審査員101人がどちらかに投票して勝敗を決める。おもしろいネタを披露するのはもちろんだが、「誰が対戦相手に当たるのか」という抽選の運も勝敗を大きく左右した。

さらに、5組が勝ち進んだファイナルステージは「一騎打ち」+「勝ち抜き」の形式。1番手と2番手がネタを披露し、投票によってどちらかを暫定王者に決める。つづいて3番手がネタを披露し、暫定王者とどちらがおもしろかったか投票で決めて……と、これを繰り返し、最後に残ったものが王者となる。

勝ち抜き形式は『THE W』でも採用されているが、先にネタを披露したほうがインパクトが薄くなり、どうしても不利になってしまう。だが、トップを引いたチョコレートプラネットは、バンビーノ、犬の心、ラバーガールを立てつづけに破り、第3試合まで暫定王者で居つづける大健闘。最後の第4試合、シソンヌが『タクシー』でその快進撃を止め、優勝を決めた。

それから7年後、かつてキングの座を争った2組は、即席ユニットの参加が認めれられた今大会で「チョコンヌ」として準決勝まで勝ち残る。来年も即席ユニットが認められるなら、決勝の舞台で共闘する2組を観たい。

2014年決勝ハイライト。イラスト/まつもとりえこ
2014年決勝ハイライト。イラスト/まつもとりえこ

2015年~2020年:レジェンド5人による採点

「一騎打ち」形式は2014年の1回で終わり、2015年から再び審査形式が大きく変わる。昨年2020年までつづいた「審査員5人体制」だ。

開始当初からつづいた芸人審査員を廃止し、バナナマン、さまぁ~ず、松本人志の5人が審査員となった。「コントレジェンド」たちのそろい踏みに、2015年のオープニングではひとりずつナレーションたっぷりに呼び込まれ、MCの浜田が「早く降りてこい!」と怒鳴りつづける一幕もあった。

審査員の持ち点は1人100点。採点は5人×100点の500点満点で行われる。ファイナリスト10組がファーストステージで1本目のネタを披露し、上位5組(2018年以降は上位3組)がファイナルステージに進出。2本目のネタも500点満点で採点し、最終的に1本目と2本目の合計点数が高いものが優勝となる。

『M-1グランプリ』と同じ「審査員1人が100点満点で採点」という形だが、審査員の数が5人と少ないので、ひとりが与える影響は大きい。「全員40代~50代男性」という共通点も他の賞レースにはない特徴だろう。大味な三村、冷静な設楽、といった振り幅に注目が集まることも多かった。

この審査形式で優勝したのは、2015年コロコロチキチキペッパーズ、2016年ライス、2017年かまいたち、2018年ハナコ、2019年どぶろっく、2020年ジャルジャルの6組。ちなみに、ファイナリストが当日に発表される「シークレット制度」が一時期導入されたのもこの時期である(2018年と2019年)。

2015年~2020年決勝ハイライト。イラスト/まつもとりえこ
2015年~2020年決勝ハイライト。イラスト/まつもとりえこ

2021年:松本人志以外の4人が刷新される

改めて審査形式を振り返ると、2014年までの芸人審査員制度は「誰が何点をつけたのか」という責任を分散させると同時に、システムによって公平性を保証していたことに気づく。2014年の「一騎打ち」形式が1回で終わったのも、運の要素が強いシステムであり、公平性に疑問が残ったからかもしれない。

対して、審査員を5人に絞った2015年以降は、多くの賞レースと同様に「誰が何点をつけたのか」という点に注目が集まることになった。5人という少なさならなおさらだ。2015年のオープニングでは、松本人志が「審査員というのはリスクが非常に高い」と話し、さまぁ~ずとバナナマンに敬意を表す場面もあったほど。

『キングオブコント2021』では、松本人志以外の4人の審査員が刷新される。これから審査員を引き受ける4人も、同じリスクを背負うことになるだろう。審査員は10月2日放送の『お笑いの日2021』内で順次発表されるという。誰が審査員になるか、当日までシークレットだ。

その人選も、審査のポリシーも、どうかファイナリストたちがさらに一歩を進めるものであってほしいと願う。直前に審査員が変わることを告げられ、誰に審査されるか分からない日々は、落ち着かないものだと思うから。


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井上マサキ

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井上マサキ

(いのうえ・まさき)1975年宮城県生まれ。ライター、路線図マニア。大学卒業後、システムエンジニアとして15年勤務し、2015年よりライターに転身。共著に『たのしい路線図』(グラフィック社)、『日本の路線図』(三才ブックス)、『桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか? 日本の昔話で身につく税の基本』(..

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