「年齢とは、地位じゃなく責任の重さを表すものだ」
もうひとり、ヴィンチェンツォに「兄貴(ヒョン)」呼びをねだる男がいた。高飛び専門旅行代理店「バイバイバルーン」のパク・ソクド(キム・ヨンウン)だ。もともとはバベルグループの手先として最初にヴィンチェンツォとやり合っていた男だが、いまや彼に首ったけ。映画『ゴッドファーザー』でアル・パチーノが演じたマイケル・コルレオーネに憧れていたパク・ソクドにとって、ヴィンチェンツォは「男のロマン」そのものだった。
「“兄貴(ヒョン)”と一度だけ呼んでくれ」とヴィンチェンツォに頼み込み、「兄……」と言ってもらえて「鳥肌が立った」と大喜びのパク・ソクド。あとでもう一度ちゃんと言ってもらったときは、あまりのことに呆然としていた。憎めない男だ。
韓国では男性が親しい年上の男性のことを“兄貴(ヒョン)”と呼ぶ文化が浸透しており、韓国映画や韓国ドラマにもしょっちゅう登場する。近代的な都市が発展しても、良くも悪くも濃厚な人間関係を失っていない韓国らしい習慣である。
韓国での人間関係といえば、年下の人間は年上の人間を敬わなければならないという儒教に基づいた文化がある。どうやら尊敬を強いるのは男性に多いようだ。
ホン・チャヨン(チョン・ヨビン)は悪徳弁護士のチェ・ミョンヒ(キム・ヨジン)のもとに乗り込んで挑発するが、チャヨンが年下にもかかわらずふたりは対等にやり合っていた。それにしても、いったいミョンヒは何人殺してるんだよ!
一方、ヴィンチェンツォはウサン法律事務所の代表だったハン・スンヒョク(チョ・ハンチョル)と会うが、地検長の地位を手に入れたハンはやたら威丈高で「若造が生意気な口を利きやがって」とまで言う。チャヨンとミョンヒとはえらい違いだ。だが、ヴィンチェンツォは鼻で笑ってこう言う。
「年齢とは、地位じゃなく責任の重さを表すものだ」
いいこと言うなぁ。ハンは激怒して手下を呼び寄せるが、ヴィンチェンツォはためらいなく男の脚を撃ち抜いて撃退。本物の悪党を舐めちゃいけない。結局、ハンは泣き崩れて命乞いをしていた。小物過ぎる。
もうひとり、ろくでもないくせに年下に尊敬を強いる傲慢な男が登場するが、それはのちほど紹介しよう
ヴィンチェンツォは“腹の膨れたネコ”だった!
「悪魔を苦しめるのは、もうひとりの悪魔だ」
ヴィンチェンツォが公言していたとおり、ハンソクに「死よりつらい羞恥心」を与え始める。周到に計画された罠だ。
まずは、バベル・タワーについての訴訟を始めるチャヨンとヴィンチェンツォ。裁判所に詰めかけた報道陣の前でヴィンチェンツォはこう宣言する。「バベルの塔が崩れるのは欲のせいです。聖書の内容を法廷で再現します」。
バベルに最後に伝えたいひと言は、チャヨンが「“さっさと消えな”」、ヴィンチェンツォが(カメラにズームを要求した上で)「さらば」(イタリア語&ウィンク付き)。ちなみにイタリア語での別れの挨拶は「arrivederci(さようなら)」や「A presto(近いうちに)」などが多く、ヴィンチェンツォが言った「addio」は二度と会わないような相手に使う捨てゼリフなので、イタリアで真似しないように。
次にハンソクが自宅で何者かに襲撃される。一度は逃げ切ったものの、再び襲撃されると、ハン地検長はミョンヒを通じてハンソクを拘置所に入れようと提案。拘置所に入れば、さすがのヴィンチェンツォも手が出せない。嫌がるハンソクだが、ふたりがかりで説き伏せられて、拘置所に入ることに。
すると、そこへヴィンチェンツォが面会にやってきた。「お前を囚人にしたのは、俺だよ」と種明かしをして、「負けつづけても敗因を分析できない敵ほど、最高におもしろい」と冷笑する。ハンソクを繰り返し襲撃したのはクムガ・プラザの人たちであり、ハンソクを拘置所に入れるようハン地検長を脅していたのだ。
「マフィアの世界で、俺はなんて呼ばれてると? “腹が膨れたネコ”。満腹のネコは、捕まえたネズミをもてあそぶんだ」
悪魔を苦しめる、もうひとりの悪魔、ヴィンチェンツォの本性である。イタリアで養父母を殺されたときは、犯人を2年にわたって苦しめて自殺未遂に追い込み、病院で手当てさせた上で、退院してごちそうを食べたところを殺したのだという。サディスティック!
「塀の中のお前に、バベル・タワーが崩れるのを見せてやるよ」
切り札はハンソクが脱税や資金洗浄などのために使っていたペーパーカンパニーについてのデータ。裏切ったチョン・イングク検事(コ・サンホ)に渡ったと思われていたが、ちゃんとコピーが取ってあったのだ。これでハンソクは1カ月は出てこられない。チェックメイトだ。
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