息つくヒマもない『ヴィンチェンツォ』18話。男性が親しい年上の男性のことを“兄貴(ヒョン)”と呼ぶ文化が韓国らしい
『愛の不時着』と同じ「スタジオドラゴン」制作の大人気ドラマ『ヴィンチェンツォ』を韓ドラ大好きライター・大山くまおが解説、鑑賞をガイドする土曜日。今週は18話、ここからラストまで3話、一瞬も気の抜けない展開が待っています(18話までのネタバレを含みます)。
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止まらないハンソ愛
韓国ドラマ『ヴィンチェンツォ』全話振り返りレビューもラストスパートの第18話! ヴィンチェンツォ・カサノ(ソン・ジュンギ)のサディスティックな一面が剥き出しになりつつ、なぜか敵対していたはずの男たちから「兄貴(ヒョン)」呼びをねだられたり、欲にかられた権力者がクムガ・プラザを襲うラストまで、今回も息つくヒマもない傑作回だった。
インターポールの捜査官と韓国の刑事たちに取り囲まれ、大ピンチになるヴィンチェンツォだったが、隙を突いて拳銃を奪って形勢を逆転させる。ここまでは事実。その後、ヴィンチェンツォがインターポールの捜査官を射殺して韓国人の警察官を脅し、チャン・ハンソ(クァク・ドンヨン)の腕を撃ち抜いた場面は、ハンソがついた嘘を映像化したもの。
カラクリはこうだ。ヴィンチェンツォにインターポールの情報を流していたのはハンソだった。バベルグループの副会長のはずだが、もはや完全にヴィンチェンツォの味方である。ヴィンチェンツォの出血は、第4話でも披露していた事務長(ユン・ビョンヒ)お得意の弾着トリック。
ヴィンチェンツォの分まで大荷物を持って歩くハンソはまるで舎弟のよう。ヴィンチェンツォに自分の腕を撃つように頼み込み、せっせと自分で銃を準備するのがおかしい。「3で撃つ」と言いつつ「1、2」で撃つのはヴィンチェンツォの得意技。
では、なぜハンソは兄のチャン・ハンソク(オク・テギョン)を裏切ってヴィンチェンツォの味方をするのか? この回だけでヴィンチェンツォに2回も尋ねられていたが、ハンソはこう答えていた。
「あなたは兄貴みたい。怒られてもうれしいし、ホッケーするのも楽しい。酒を酌み交わすのも気楽だ」
ハンソは傲慢なサイコパスの義兄ハンソクよりもヴィンチェンツォにブラザーフッドを感じていたようだ。ヴィンチェンツォのことを「ビン兄貴(ビンヒョン)」と呼んで、実にうれしそうな顔をするハンソ。あの鈍臭くて兄に怯えてばかりいたハンソがヴィンチェンツォに認められるなんて! 視聴者の“ハンソ愛”がこのあたりでピークに達したような気がする。このドラマの一番の儲け役はズバリ、彼だろう。
演じるクァク・ドンヨンは現在24歳ながら、数々のドラマで助演を務めている若手の演技派俳優。Netflixでも配信されている『サイコだけど大丈夫』でも2話のみの特別出演ながら印象的な役柄を演じていた。最終回放映後は「『ヴィンチェンツォ』での思い出をこれからもずっとずっと大切にしながら、がんばって演技していきたい」と泣けるコメントを発表している。
ハンソ役のクァク・ドンヨンのインスタグラムより
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