『ヴィンチェンツォ』13話『愛の不時着』『梨泰院クラス』『悪霊狩猟団:カウンターズ』の名バイプレイヤーが続々集結、目が忙しい

2021.7.10

『梨泰院クラス』のバイプレイヤーがまたまた出演!

バベルグループの総帥、チャン・ハンソク(オク・テギョン)が復活し、バベル・タワーの悪の競売が行われていた。タワーの120階と121階を与える代わりに、何をバベルグループに提供できるのかを有力者たちに競わせるのだ。ハンソクは鼻高々だ。

「これで法曹界、マスコミ、国会、政府、情報機関まで掌握したよな」

バベルグループの労働組合潰しの動きも活発になっていた。労働組合を潰すために暗躍していたのが、バベルグループの意のままに動く御用組合のナム委員長(ユン・ギョンホ)と、ハンソク直属のビジョン企画チーム長のパク・チャンギ(チョン・ジンオ)。ナム委員長はもともと殺された労働組合長の右腕だったが、会社に買収された裏切り者。パク・チーム長は完璧主義でイヤミな忠臣である。

ナム委員長を演じるユン・ギョンホは、『梨泰院クラス』(20年)の誠実な刑事役でおなじみ。『梨泰院クラス』からは、序盤のキーパーソン、ホン・ユチャン弁護士を演じたユ・ジェミョン、ヴィンチェンツォたちに立ちはだかる悪徳弁護士のチェ・ミョンヒを演じるキム・ヨジンが出演している。

凄腕の悪徳検事、チェ・ミョンヒ(キム・ヨジン)。最近の韓国ドラマでは中年女性が活躍することが多い/Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中
『梨泰院クラス』では、チョ・イソの母を演じたキム・ヨジン/Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中

一方、パク・チーム長を演じるチョン・ジンオは、『悪霊狩猟団:カウンターズ』(20年)でテジングループの荒事を処理する行動隊長(バベルグループにとってのパク・ソクドのような男)を演じていた。人気ドラマのバイプレイヤーが続々と『ヴィンチェンツォ』に集まっているのがわかる。

『ヴィンチェンツォ』に主役のソン・ジュンギより先に出演が決まっていたのが、『愛の不時着』(19人)で大人気となったバイプレイヤー、イ社長役のヤン・ギョンウォンと、対外安保情報院のアン役のイム・チョルスだ。すっかりヴィンチェンツォの一味となったイ社長とアンくんは今回も大活躍を見せる。

『愛の不時着』でおなじみヤン・ギョンウォン(前列左)ら“カサノファミリー”/Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中
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国家安全保障情報局のアン・ギソク(イム・チョルス)。『愛の不時着』ファンにはうれしいキャスティング/Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中
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イ社長が「ラップに必要な言葉はふたつ。プッチギとパッチギ」と言いながらナム委員長に頭突きをくらわすが、「パッチギ」とは韓国語で「頭突き」という意味。日本では同名の映画が大ヒットを記録した。元ネタは(たぶん)BIGBANGのメンバー、G-DRAGONの09年の曲「Hello」。ラップの中に「プッチギ、パッチギ」というフレーズがあった。

「私がネットで信じるのはふたつ。日付と時刻」

ナム委員長はヴィンチェンツォたちに脅されて、パク・チーム長に20億ウォンを要求する。なぜかノリノリで「“ああ、俺はジョーカーだ。お前はドンベクか?”」と電話口で言うとヴィンチェンツォ一味が大受けするが、これは19年の大ヒットドラマ『椿の花咲く頃』のセリフ。ドンベクは主人公(ヒロイン)の名前でジョーカーは連続殺人犯の通称。イタリアから韓国に来たばかりのヴィンチェンツォがなぜ大受けしているのかは謎。電話を切ったあと、ヴィンチェンツォたちが「ジョーカー」コールをしているが、実際には「カブリ」と言っている。カブリとは「ふざけた人」的なニュアンスの言葉。

ヴィンチェンツォは、意気上がるチャヨンたちの前で「いつかイタリアで豚の血をまきましょう」と告げる。彼が育ったカサノ家は、敵の新ボス就任を祝うパーティーに乗り込むと、けん制として豚の血を浴びせていたのだという。話を聞きながら事務長が食べていたのは、豚の血などを腸に詰めた韓国式ソーセージ「スンデ」。

ヴィンチェンツォたちは労組潰しの証拠の書類を入手するが、追撃の手をゆるめない。チョン検事(コ・サンホ)と協力して、ハンソクの検察への召喚が行われる。狙いは、ハンソクが検察に呼ばれている間に、パク・チーム長の事務所から新たな証拠を奪うこと。

ニュース番組のキャスターとコメンテーターが“イケメンCEO”と脚光を浴びるハンソクをべた褒めしているのは、バベルグループの手がテレビ局にも回っている証拠。日本でも政治家がテレビ局やマスコミと会食を重ねて、御用記者を出演させることがある。メディアの腐敗を嘆く事務長が「ネットのせいで人々をだましやすくなった」と言うと、チャヨンが冷静にこう返す。「私がネットで信じるのはふたつ。日付と時刻」。メディアもネットも確実に腐敗が進んでいるのは、フィクションの世界だけではない。

ラストシーンはあの名作へのオマージュ

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