『ドラゴン桜』が画期的だった点
2005年版のお話を復習しよう。
桜木建二は、元暴走族のリーダーで、潰れそうな弁護士事務所の所長。崩壊寸前のバカ学校の私立龍山高校の負債処理のためにやってくるが、5人の東大合格者を出して進学校にするとぶち上げる。注目を浴びて、虎ノ門に法律事務所を構えようという打算的な狙いだ。
結果、5人合格は叶わず。だが3人の東大合格者を出した。
学園ドラマといえば、学校が舞台でありながら、描かれるのは「青春の悩み」「人間関係」が基本だった。勉強シーンや、テストのシーンは、添え物であった。『ドラゴン桜』が画期的だったのは、「学ぶことそのもの」をテーマにし、受験をエンタテインメントとして描いたことだ。
東大進学を目指す「特進クラス」の担任になった桜木建二は、「マル秘受験テクニック」と「突飛だが理にかなった勉強法」を繰り出していく。
と、同時に、元暴走族で弁護士という型破りな先生が、熱く本音で生徒たちとぶつかり合うという従来の学園ドラマのツボもがっちり押さえている。東大に合格するために、生徒一人ひとりの悩みや、家庭環境は無視できない。打算的かつ合理的な桜木だからこそ、生徒たちとの人間ドラマが生まれるのだ。
2005年版で披露された勉強法7を紹介しよう。
【1】「数学とはある意味スポーツ!」
暗算や公式を卓球のポーズで反射的に返す「卓球暗記法」。
【2】「古典攻略はまずマンガで!」
古典に親しむためにマンガから入門(ドラマでは、『GENJI 源氏物語』、マンガ版では『あさきゆめみし』が紹介される)。
【3】「背中に暗記項目を貼って歩け」
全員が背中に暗記項目を貼りつけ、その背中を追うようにして歩きながら暗記。
【4】「バカ鉢巻き!」
テストで最低点を取った者はバカ鉢巻きをつける罰ゲーム。
【5】「英語の歌で基本フレーズ習得」
英語の歌を歌って英語の基本フレーズ100を習得する特訓。
【6】「100問無限小テスト!」
小学生レベルの簡単な計算100問を10分ぐらいの短時間で100点取るまで無限に繰り返す特訓。
【7】「メモリーツリーでスクラム勉強」
世界史などのキーワードの関連樹形図をお互いが作って共有、みんなでスクラムを組んで勉強だ。
受験そのものも、高校生を取り巻く環境は、大きく変わった。16年前の方法では通用しない。「バカ鉢巻き」は、2021年版のドラマに登場するのだろうか? するとしたら、どういう反応が返ってくるのか。新しい勉強法、新しいドラマが展開されていくだろう。楽しみだ。
【関連】前作から15年後を描く『ドラゴン桜』脚本を人気放送作家らが担当
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