レギュラー化の最後のひと押しをした秋元康
佐久間宣行による夢実現の物語はここで完結したと思われた。だが、スタッフサイドは確かな手応えを感じ、レギュラー化に向けてニッポン放送側に企画書を提出。さすがにテレビ東京の社員という立場もあり、なかなか実現には至らなかったが、密かに夢物語はつづいていた。
レギュラー化に向けて、最後のひと押しをしたのは秋元康だ。秋元と佐久間は2018年4月にスタートした『青春高校3年C組』(テレビ東京)から関わるようになった。その『青春高校』で“副担任”を務める中井りか(NGT48)は、2018年春から『AKB48のANN』で単独パーソナリティを定期的に担当。三四郎・小宮浩信をゲストに迎えた5月9日、生放送中に「中井が本当に逸材なのか、偉い人たちに直接聞く」という企画が行われた。
そのときに佐久間に白羽の矢が立った。深夜2時に生電話がかかってきたが、当然のように佐久間は応答。ふたりの言葉に応えて、『アルコ&ピースのANN』以来のスタジオ乱入まで果たした。6月、7月に放送された中井のANNにも連続出演。これまでリスナーにさんざんイジられつづけ、単発特番でパーソナリティまで務めた佐久間にとって、もはやラジオブースはホームになっていた。巧みなトークさばきを披露し、当時の実況ツイートを見ると、アイドルファンからも「もはやセット売り」「ふたりのラジオが聴きたい」と賞賛されている。
2020年2月のニッポン放送タイムテーブルに掲載された対談によると、この過程で秋元は佐久間のトークに魅力を感じたそうだ。ニッポン放送での新番組打ち合わせ時に「佐久間みたいな人間をパーソナリティにしなきゃダメだ」とプッシュ。テレビ東京の社長にも話し、「おもしろそうだ」と盛り上がった。秋元の動きが最後のひと押しとなり、ついに『佐久間宣行のANN0』の企画が正式始動。2019年4月3日に番組はスタートした。
一部で“史上最強”と言われている現在のANNパーソナリティ陣の中で、確かに一見すると“ただのオジサン”である佐久間は異質。「なんでこんな人がいるの?」と思う方も少なからずいるだろう。しかし、ここまで読んでいただければわかるように、最初は何気ないつぶやきから始まり、さまざまな人間を巻きこんで、生まれたのが『佐久間宣行のANN0』なのだ。
40代のテレビマンが、ラジオパーソナリティとしてこれからどんな道を進んでいくのか。本人とすれば、本職はあくまでテレビプロデューサーで、妙に熱い期待をされても困るだけだろうが、これまでの流れを知るリスナーはいろいろと妄想せずにはいられない。実際に「佐久間が手がけるテレビ番組は見たことないけど、ラジオは聴いている」というリスナーも増えてきている。立場や肩書など関係なく、リスナーの思いを引きつける佐久間宣行は魅力的なパーソナリティなのだ。
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