2015年8月29日、単発特番『佐久間宣行のANNR』が実現
ちょうどラジオ界はスペシャルウィークで、『アルコ&ピースのANN』は「今世紀最大の同族嫌悪! ハガキ職人VS読者モデル! 〜そろそろどっちがスゲーのか決めようじゃないかSP〜」という企画を行った。ハガキ職人と読者モデルを争わせる挑戦的な試みだったが、対立概念が機能せず、番組の歴史に残る地獄回と化してしまった。早々に企画は打ち切られ、アルコ&ピースとリスナーは意気消沈。後半はリスナーからの反省メールを読む展開となったが、最後に紹介されたのは佐久間のこんなメールだった。
「難しい企画のわりには健闘したと思います。そもそも読者モデル対ハガキ職人という構図がずっとつづいてきた流れではないので、リスナーも少し戸惑っていたと感じられました。読者モデルの3人も実はいい子なのが透けて見えてしまったので、お互い気を遣っている感じになってしまいましたね。これはどちらが悪いわけではないです。強いて言えば、全員緊張していたということでしょうか。お笑い番組って難しいですね。けれど、あそこから反省文という流れに持ってくる対応力とスピリッツはさすがです。チーム・アルコ&ピースの結束力を感じました。これからのアルコ&ピースのANNに期待しています」
2週連続でいわゆる“茶番”に完璧なオチをつけた佐久間の存在は、神回&地獄回と共に深夜ラジオリスナーの心の中でさらに大きくなった。翌週、佐久間のもとには番組ステッカーが届いたという。
こうして佐久間はくせ者ぞろいの深夜ラジオリスナーの心をガッチリと掴んだのだが、同時にスタッフの心も掴んでいた。石井&福田両名が動いて実現したのが、2015年8月29日に放送された単発特番『佐久間宣行のANNR』である。リスナーにとってはまさかの展開だった。
放送されたのはスペシャルウィーク。テレビ東京の社長からは「おめでとう」と言われ、お笑いナタリーには「夢叶った」と大々的に記事にされ、「1時間前に局に入って吐き気が止まらなかった」という佐久間。序盤は緊張しっぱなしだった。冒頭の「オードリーの若林さん、春日さんお疲れ様でした」は数週間前から練習していたそうだ。
「タイトルコールに興奮する」「知っているラジオネームからの投稿に喜ぶ」「オープニングトークがちょっと押す、という流れに感激する」「必死に練習した曲紹介を披露する」など“ラジオ好きによる初めてのラジオ番組あるある”とでも言えそうな場面がつづき、リスナーもニヤニヤが止まらなかった。初のフリートークは劇団ひとり、おぎやはぎとの出会いについて。佐久間を兄貴扱いしたイジりメールも集まった。「スタンダードなANNをやりたい」という佐久間の意向を汲んで(?)、終盤には生歌のコーナーも。佐久間は『今宵の月のように』(エレファントカシマシ)を熱唱した。
迎えたエンディング。佐久間は「ホントに人生ってわからないですよね。だって、普通に福島県いわき市の田舎の学生が、夢だなあと思って聴いていたラジオで、ニッポン放送を落ちたわけですよ、就職活動で。なのにバラエティのディレクターやって15年後、ANN2部のパーソナリティをやっているんだから。人生ってわからないけど不思議なもんだなあと思います」と感慨深げに締め括った。
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