お笑いにおいて、女は「キャラクター」なのか――“女芸人”の葛藤と歴史、そしてこれから

2020.10.25


女芸人の系譜

(図版:ふたつぎ)

1990年代〜 女を捨てて笑いを取る

バブルが崩壊し、渋谷系・ギャル系が流行していた時代。

テレビでは『ボキャブラ天国』や『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ)、『とんねるずのみなさんのおかげです。』(いずれもフジテレビ)などの番組が放送されていた。

私は直接この時代のテレビを観ていなかったので、親から聞いたりするイメージでしか分からないのだが、話を聞くところから想像するに「女を捨てて芸をする」芸人が多かったのではないかと思う。

具体的には、男芸人に容姿をイジられたり、あまり女性が言わないキツめの下ネタを言ったりと、強烈なインパクトを残すことで笑いを取る。『アメトーーク!』でガンバレルーヤ・よしこが「森三中やモリマンの遺伝子を引き継いでいる」と発言していたことから、そんな印象を受けた。

こういった芸を前時代的だと揶揄する人もいるかもしれない。しかし、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)のイモトアヤコが最強であるように、私はこういった芸をできる女芸人を尊敬するし、芸人としてかっこいいと思う。

2000年〜 女を活かして笑いを取る

「女子力」や「女子会」という言葉が流行し、テレビ番組だと『爆笑レッドカーペット』や『エンタの神様』、『ザ・イロモネア』(TBS)が放送されていた時代。

社会的に女子に注目が集まってきたのと、テレビ的なショートネタブームが重なり、いとうあさこの浅倉南ネタや、にしおかすみこの女王様ネタ、友近の海外女性ネタなど、いわゆる女性を活かしたパッケージネタをテレビでよく観るようになった。こういったネタは、テレビ的にわかりやすく、キャッチーでポップ。そして、このあたりから女芸人がネタをテレビで披露することが増えてきたのではないかと思う。

あまりにも「女っぽい」ネタが多過ぎて小学生の私は辟易してしまったわけだが、ネタはあくまでも自己紹介に過ぎず、その芸人を見てもらうための名刺。ネタで知名度をあげたあと、その実力で売れつづけるいとうあさこや友近はやっぱりすごい。名刺となるネタがあるというのが、まずすごいのだけれど。

2010年〜 個性を活かして笑いを取る

「肉食系女子」や「おじさん女子」など「〇〇女子」がメディアで多く取り上げるようになり、女子がいろんな部類にカテゴライズされるようになった時代。 また、このあたりから若者の興味がテレビからネット、地上波からYouTubeに移り始め、お笑い番組も少なくなっていったように思う。

そんななか、大きなインパクトを残したのがフジテレビの王道コント番組である『ピカルの定理』。そして、ピースや平成ノブシコブシなど、当時若手の第一線で活躍していた芸人に混じり、絶大なインパクトを残したのが、渡辺直美だ。

当時中学生だった私は、「白鳥美麗物語」でのコントはもちろん、コントのキャラに入っていないときでも、その人間性で人を惹きつける彼女の魅力に虜になったひとりである。女であるとか、見た目のインパクトだとか、そういった身体的な特徴ではなく、みんなが「直美」という人間性に魅力を感じでいたのではないだろうか。また、直美と同様にゆりやんレトリィバァも、「女っぽいネタ」ではなく、人間に魅力があり、彼女たち自身の生み出すネタを観たいと、頭の中を、演じる姿を観たいと、思ったのだ。

2020年〜 みんなで一緒に笑いを取る

直美やゆりやんの登場に加え、2017年から始まった女芸人限定のお笑いコンテスト『THE W』をきっかけに、女芸人を志す人が増えたように思う。

時代背景的にはLGBTという言葉が世の中に浸透し始め、以前よりもいろんな生き方を選択しやすくなった。今までは実力のある女芸人が男芸人に混ざってひとりで戦っているように見えたが、今は人数が増えたからなのか、女芸人のチームプレーで笑いを取っている姿を観ることが増えた。

冒頭に述べた『アメトーーク!』もそう。ネタ、リアクション、大喜利、自分にはない強みや個性をリスペクトしているからこそ、ほかの人をイジったり、イジられたりできるわけで、私はネタで優勝しているのにもかかわらず周りからイジられる3時のヒロイン福田が大好きだ。

これからの女芸人のあり方

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ふたつぎ

1996年生まれ。青山学院大学のお笑いサークル「ナショグル」に所属し、『M-1』などにもエントリー。卒業論文は『ゴッドタン』(テレビ東京)などを題材にした「お笑い番組から考えるテレビ番組のデザイン」で、佐久間宣行がツイッターで「嬉しかったし、何より面白かったです!」とコメントするなど話題となった。現..

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