コロナ禍のエンタメ業界で生き抜く考え方|お笑い第7世代の仕掛け術

2020.8.30


広告収入が5〜6割に落ち込む

4月に『星野源のオールナイトニッポン』が公式YouTubeを立ち上げました。これはなかなか衝撃的な出来事です。ラジオ業界としては、本音をいえばRadikoで聞いてほしいはずだと思うのですが、YouTubeへの無断アップロードが止まらない現状で、多くの人に公式に聞いてほしいということで実現したのだと思います。他の番組がどこまで追随していくかはわかりませんが、これからクリエイティブな仕事に関わっていく人は、リアルタイム性とアーカイブ性の価値を捉え、コントロールしていかなければなりません。

メディアとしての出しどころ、プラットフォームは増えていますが、どこでどうマネタイズするかというのも大きな問題です。どの業界もコロナで大きなダメージを受けていますが、広告に依拠しているテレビやYouTubeもなかなか厳しい状況にさらされています。企業が外にお金がでていかないよう広告費を削っているので、YouTubeは従来の5〜6割に売上が落ち込んでいるそうです。

視聴者や視聴時間が増えるのはYouTubeにとってポジティブな材料と思われるかもしれませんが、実際は視聴数が伸びたからといってウハウハではありません。それしかやれることがないからみんなやるけど、このまま収益が減り続けていけば、なんのためにやっているのかわからない、とモチベーションが低下するクリエイターも多発すると思います。

好きなタイミングで好きなように見せられるのがYouTubeの強み

広告収入に関しては、テレビも同様に落ち込んでいます。もしかしたら、これまでと同じようには番組が作れなくなるかもしれません。大物MCに払っていた1回数百万円の出演料が払えなくなれば、中堅や若手がMCを務める番組も増えてくるでしょう。テレビの構造自体に大きな影響が出てくるのではないでしょうか。

そうなったとき、東野幸治さんがYouTubeで「東野幸治の幻ラジオ」というラジオ配信をやっているように、自前でチャンネルを開設してミニマムな規模で配信をしていく芸能人は増えていくと思います。

芸能人は自分の頭のなかにある「面白いこと」や「個人的なこと」を見せたいけれど、テレビでそれができるのはほんの一握り。自分を発信する場のひとつとしてチャンネルを持ちたいと思うのは自然です。

芸人でなくても、小嶋陽菜さんや川口春奈さん、佐藤健さんといった方々がYouTubeでプライベート映像を出しています。もはやこれらは、バラエティ番組でメイン級の引っ張りになるようなVTRです。好きなタイミングで、しかも自分の好きなように見せられる。自分のチャンネルならば、普段は見せない一面も出せるので強いのです。


いろんな川にボートを浮かべて“越境”する

今はリアルが求められる時代です。YouTubeでもテレビでも、表舞台のみならず制作過程を見せることでリアリティを高め、裏方のスタッフもコンテンツの一部となっているのです。

放送作家のなかには、「放送作家はあくまでシャドー、しゃしゃり出て目立つべきではない」という考え方の人もいます。きっと僕に対して「なんだあいつは!」「本を出すなんて調子に乗って!」と思う人もいるかもしれません。僕はあまり承認欲求が高くなく、なるべくなら目立ちたくない。でも、ほんの少しだけ目立とうと思ってます。

秋元康さんと鈴木おさむさんの『天職』という本に書かれているお二人の仕事術は、エンタメ業界以外の人にも参考になる名著なのでぜひ読んでいただきたいのですが、そこで語られている秋元さんの理論を僕も大いに参考にしています。

先輩と同じ川でボートを漕いでいても、あっちも漕いでいるのだから追い抜けない。秋元さんの場合は、作詞家の川にいったんボートを移して漕ぎ、そののち作家の川に戻ってきたから先輩たちに追いつき、さらに追い抜くことができた……というもの。

僕も、同じ会議に出ている先輩たちにはとても敵わないと思っているので、その理論をもとに、いろんな川にボートを浮かべています。テレビ、YouTube、ラジオ、ネットテレビ、ローカルテレビ、雑誌、ネットの記事、オンラインサロン……。ボートを浮かべまくった結果、ひとつの場所にとどまらずに越境するスタイルが出来上がってきたのです。

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