『マンダロリアン』の目標は「戦後」のその先?
無論、この対比関係はシーズン1を全話見通したからこそ浮かび上がってきたものだ。俺はシーズンの途中では「フォースとライトセーバーとスカイウォーカーの血統だけではない、ジャンル映画的なおもしろさをもう一度『スター・ウォーズ』に取り戻す」ということが『マンダロリアン』の目標なのかと思っていた(たぶんそれも目標のひとつだったとは思う)。
だが今となっては、その積み重ねを通して、「戦前」という過去に囚われた者たちと「戦後」のその先へ進もうとしている者たちとの対比と戦いを描くことが主題だったように思う。そしてその描写は、マンドーの感情と成長をじっくり描くことができるドラマシリーズという形だったからこそ、可能になったのだ。
かくのごとく、『マンダロリアン』の主題と表現形式、登場人物や兵器とは密接に連携している。実によくできたシリーズである。しかし恐ろしいのはおそらく物語はまだ序盤であり、ストーリーの核心はまだ解き明かされていないという点だ。
これだけ濃厚な描写を積み重ねてきた『マンダロリアン』であれば、この先のマンドーとザ・チャイルドの旅路でも唸らせてくれるに違いない。2020年秋以降のシーズン2配信に、俺は猛烈に期待している。
『マンダロリアン』
「ディズニープラス」にて全8話が配信中
■2020年10月30日 編集部追記
10月30日(金)から、続編となる『マンダロリアン シーズン2』が「ディズニープラス」での配信が始まった。毎週金曜日の17時に新エピソードが順次配信される。
日本語版のキーアートは、荒野にマンダロリアンひとりがたたずむ『シーズン1』から、『シーズン2』ではマンダロリアンの腰に、“ザ・チャイルド”が収まったビジュアルに変更された。