“7人全員が主人公”のBE:FIRST、初の東京ドーム公演を起点に紐解く2年4カ月の軌跡【映画第2弾『BE:the ONE -MEANT TO BE-』最速レビュー】
2021年11月3日にデビューを果たし、そこから850日後の2024年3月2日、結成当初からひとつの目標に掲げていたドーム公演にたどり着いた7人組ダンス&ボーカルグループ、BE:FIRST(ビーファースト)。
そんな彼らの東京ドーム公演の初日に、デビューからの軌跡とともに迫ったライブドキュメンタリー映画第2弾『BE:the ONE -MEANT TO BE-』が11月15日に封切られる。
ここではBE:FIRSTへの取材経験も豊富なライターの小松香里が、試写会で『BE:the ONE -MEANT TO BE-』を鑑賞し、その魅力を紹介する最速レビューをお届けする。
目次
東京ドーム初日を起点に紐解かれるBE:FIRST
BE:FIRSTのライブドキュメンタリー映画第2弾『BE:the ONE -MEANT TO BE-』は、デビューから2年4カ月で実現した2024年3月2日に行われた初の東京ドーム公演2デイズの初日を軸に構成されている。世界を目指すBE:FIRSTにとってデビューから3年以内の東京ドーム公演は最低条件であり、アーティストを目指した7人の青年にとっては夢の場所である。
東京ドーム初日を迎えるまでにはいったい何があったのか? そして、BE:FIRSTにとって必要不可欠なピースとはなんなのか? 東京ドーム公演をやる意義、初のワンマンツアーでの壁、「Boom Boom Back」から「Mainstream」へ、BESTY(BE:FIRSTのファン)への想い、BE:FIRSTの生みの親・SKY-HIへの感謝、この7人であること、そして、東京ドームを終えて──東京ドーム初日を起点にさまざまなことが紐解かれていく。
「Gifted.」で幕開けられたメモラブルなライブ
2024年3月2日、メモラブルなライブはこの日のためにしばらく封印していたデビュー曲「Gifted.」から幕を開けた。約束の場所に立つSOTA、SHUNTO、MANATO、RYUHEI、JUNON、RYOKI、LEOの表情はとても凛々しい。「Gifted.」のリッチな手触りのトラックはとても隙間が多く、雅やか、かつ、大胆に静と動のコントラストがついており、ダンス&ボーカルグループのデビュー曲としては異例なサウンドデザインの楽曲だ。初めて聴いたとき、鮮烈なインパクトを受けたことを思い出す。
RYUHEI、MANATO、SHUNTOとマイクをつなぎ、LEOが「どこを探したって僕ら以上はもうあり得ないでしょう?」と歌い、この宣言を皮切りにBE:FIRSTが起こしてきた数々の革命をにじませる。サングラス姿のRYOKIが「愛し合いたいよ 君という時代と」と歌い、被っていたフードを取る。巨大スクリーン&パワフルな音響での封印が解かれた「Gifted.」にまず強く引き込まれる。
ひとつの革命が始まった「Boom Boom Back」
東京ドームの1カ月前、7人は個別にインタビューを受けている。メンバーそれぞれに「850日という数字が意味しているものは?」という質問が投げかけられる。みな首をかしげるが、随一の記憶力を持つLEOがうれしそうな表情で「デビューからドームまでの日にち」と言い当てる。そう、本作は「850日」を筆頭に、日数がひとつの鍵となっているのだ。
東京ドーム初日から●日前、BE:FIRSTには何が起きていたのか?
まずは、-D356。つまり、東京ドーム初日から356日前。初のワンマンツアーでLEOが壁にぶつかっていたことを想起させる映像に2024年のLEOが当時の状況を振り返る声が重なったかと思ったら、当時のリハで的確にダンスの改善を指示するSOTAの姿が映る。本作はこのように、過去の映像と東京ドームのライブ映像と、東京ドーム前後のインタビュー映像が交錯し、立体的に過去・現在・未来のBE:FIRSTを浮き上がらせていくライブドキュメンタリー映画だ。
その中には、デビュー当初の初々しい映像や7人が出会った『THE FIRST』の映像も混ざっている。なお、本作の映像の軸を担う東京ドーム初日のパフォーマンスの研ぎ澄まされぶりや感動的なMCなどについては筆者が書いたライブレポート(『avex portal』掲載「「BE:FIRST LIVE in DOME 2024 “Mainstream - Masterplan” 」東京ドーム・京セラドーム大阪公演オフィシャルライブレポート」)に詳しく記載している。
2022年11月@長野。ワンマンツアーの楽屋でSKY-HIがある曲をメンバーに聴かせる。「これだよ!」というアクションで興奮をあらわにする面々。BE:FIRSTのメンバーのルーツのひとつである90年代ヒップホップの香りが色濃い楽曲「Boom Boom Back」である。
その約1年半後、SOTAが初めて立った東京ドームのステージから「ここまでついてきたお前らなら、この曲の楽しみ方知ってるよな!?」と問いかけて「Boom Boom Back」をパフォーム。「Boom Boom Back」からBE:FIRSTは自らの意志をヴィヴィッドに楽曲に反映させていったわけだが、SKY-HIが楽屋でこの曲を聴かせた2022年11月からBE:FIRSTのひとつの革命が始まっていたことに胸が熱くなる。
クリエイティブファーストを体現した「Mainstream」
次なる革命は──
-D150。「Mainstream」だ。このJ-POPの範疇から大きく逸脱した楽曲をノータイアップでシングルの表題曲としてリリースしたのは、音楽ファーストであるということに加え、東京ドーム公演を成功させるため、音楽シーンにおけるBE:FIRSTのプレゼンスを何段階も上げる必要があったからだ。7人それぞれの発言を通して改めてそのビジョンを理解することで、より東京ドームの「Mainstream」のパフォーマンスが意義深くたくましいものに見えてくる。
トラック、リリック、コレオ、映像……「Mainstream」に関するあらゆるクリエイティブは音楽シーンに衝撃を与えた。クリエイティブファースト、クオリティファースト、アーティシズムファーストとはこういうことなのだ、と。その反響は国内に限らず、この10月に「Mainstream」のMVが『ロンドン・インターナショナル・アワーズ2024』の「Music Video-Choreography-」でブロンズを受賞するという快挙を成し遂げたことも記憶に新しい。この曲のコレオを手がけたのはSOTAと盟友ReiNaだ。
BE:FIRSTが気づかせてくれた「この世界の誰もが主人公」
いつも支えてくれるBESTYへの想い、ゼロから一緒に歩んできてくれたSKY-HIへの感謝、この7人でいることの必然、BE:FIRSTを構成するピースが映し出されていき、いよいよ東京ドーム公演が近づいていく──。
約2時間に収められた、今から約半年前の時点でのBE:FIRSTをめぐる物語。BE:FIRSTとはどんなピースで成り立っているグループなのか? それを目の当たりにする中で強く印象に残るのは、BE:FIRSTの7人がステージ上でもインタビュー中でもリハーサル中でも楽屋でも、常にありのままであるということである。筆者はありがたいことに幾度となくBE:FIRSTを取材する機会に恵まれているが、そこでの7人もスクリーンの中の7人と同様に常にありのままだ。
7人の個性が響き合い、それぞれの個が200%輝いているようなBE:FIRSTのパフォーマンスを見ていると、7人全員が主人公であるということをひしひしと感じる。それはステージを下りても同じである。7人はお互いをリスペクトし、思いやり、支え合い、ふざけ合う。そこにはなんの序列もない。
BE:FIRSTのそんな姿からはこの世界の誰もが主人公なのだということを深く知ることができ、努力と何かしらの才能と意志によって誰もが輝くことができる世界があるのではないか──そんなことを感じるのだ。
映画『BE:the ONE -MEANT TO BE-』
公開日:2024年11月15日(金)より全国公開
監督:オ・ユンドン、キム・ハミン
エグゼクティブプロデューサー:SKY-HI
出演:SOTA、SHUNTO、MANATO、RYUHEI、JUNON、RYOKI、LEO
配給:エイベックス・フィルムレーベルズ
(C)B-ME & CJ 4DPLEX All Rights Reserved.
写真撮影:田中聖太郎写真事務所
『Quick Japan』vol.175の裏表紙にSHUNTO&RYOKI&LEO(BE:FIRST)が登場!
2024年12月11日発売の『Quick Japan』vol.175では、ライブドキュメンタリー映画『BE:the ONE -MEANT TO BE-』の公開を記念したSHUNTO&RYOKI&LEO(BE:FIRST)の11ページにわたるインタビュー特集を実施。
デビューから850日でたどり着いた“第1章”を振り返りつつ、“第2章”のスタートとなる4大ドームツアー『BE:FIRST DOME TOUR 2024-2025 “2:BE”』を控えた今の思いを明かしてもらった。
■書誌情報
2024年12月11日(水)発売
サイズ:A5/並製/152ページ
定価:1,870円(税込/本体1,700円)
※内容は予告なく変更する場合があります
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