8月11日（日）に放送された『バクっと令和問題』（テレビ朝日）。言っちゃいけないことを言う爆笑問題と屁理屈ボーイ令和ロマンが、令和の人々を悩ませる問題をしゃべり尽くすトークバラエティだ。進行役は、2組とも共演経験がある山崎怜奈が務めた。
爆笑問題と令和ロマン、そして山崎怜奈を加えた最強クインテットによるこの番組の魅力を、ブロガーのかんそうが語り尽くす。
「絶対に相性がいい」と確信があった爆笑問題×令和ロマン
『バクっと令和問題』放送後、「頼む。今すぐレギュラー化してくれ」と心から思った。足りない。まったくもって時間が足りない。個人的には、めちゃくちゃ他局だが「『24時間テレビ』はずっとこの番組でもいい」とすら思ってしまった。
令和ロマンと爆笑問題。2組がちゃんと共演するのは、今回が初めて。しかし、私にはこの2組の相性は絶対にいいという確信があった。
大御所といわれる芸歴でありながら一切尊大さを感じさせない爆笑問題と、『M-1グランプリ』と『ABCお笑いグランプリ』という賞レース二冠王者でありながら一切傲慢さを感じさせない令和ロマン。笑いを極めようと思索する太田光と高比良くるま、いつも自然体で無の境地に達している田中裕二と松井ケムリ、いろんな媒体で活躍する2組にどこか同じ雰囲気を感じていた。
登場するやいなや「ヴアアアアアアアア！！！！ プシュー！」と叫びながら客席に飛び込む太田とくるま。すかさず太田がくるまの股間を握りつぶそうとすると、くるまが「助けてくれ〜！」と叫び、呼応し「助けてくれ〜！」と叫び返す太田。それに対しくるまが「助けてあげて！」と訴える。そして、そんなふたりを止めることなくニコニコしながらツッコむ田中とケムリ。この時点で私は（このチームは……最高だ……）と『スラムダンク』山王戦のゴリの心情とまったく同じ気持ちになっていた。
山崎怜奈も加えた最強クインテット
番組冒頭から令和ロマンが「屁理屈ボーイ」と名づけられた違和感を嘆くと、太田が「前提が間違ってますよ」と、山崎怜奈と石丸伸二の選挙特番でのやりとりをイジる。「不勉強で申し訳ない」と即座に返す山崎。さらに、
山崎「令和ロマンさんって、世代くくりから必死に逃げてる感じしませんか？」
くるま「なんで刺しに来るんだよ」
ケムリ「ここにいる人にしては自我があるな」
くるま「自我が強いよあなた！」
と、歯に衣着せぬ物言いで攻める。また、話題が令和ロマンと山崎怜奈が同じ慶應義塾大学出身であることについて話が及ぶと、
山崎「（同じ大学の）先輩です」
くるま「僕はお先上がらせてもらってるんで」
ケムリ「中退って言え」
田中「バイトじゃねえんだよ」
くるま「こうやって辞めたんですよ（お先に失礼しますのジェスチャーで）」
太田「俺なんか裏口から中退だからね」
くるま「どこ通ってんですか」
山崎「裏口は否定して！」
田中「お前あの2年やった裁判なんだったんだよ」
ケムリ「なんで自分でイジるんだ」
くるま「裁判ってなげ〜な〜」
速い。あまりにも速すぎる。本当にこの座組が初めてなのかと思うほど、5人が5人の個性を一瞬で発揮しながら高速で爆笑トークを繰り広げていた。最強のクインテットが日曜22時に爆誕していた。しかもここまでは、番組開始からたった2分ほどのオープニングトーク。
「ありがち」にならない番組演出
番組の内容は「昭和あるある」「令和あるある」のVTRを確認し、「令和の恋愛本当に消極的問題」「令和怒り方激ムズ問題」「令和っぽいお仕事本当はしんどい問題」などテーマに沿って議論するという、言葉を選ばずにいえば「ありがち」なものなのだが、『バクっと令和問題』は少し毛色が違っていた。
VTR明けの5人のトークに一切外れがなく無双しまくっているというのは当然だが、演出の方法が明らかに他番組とは一線を画しているのだ。その最たる例が「VTR内でインタビューを受けていた人物を、スタジオの観覧席に召喚する（初めからいる）」という狂った試みだ。
個人的にはVTRが多いと辟易としてしまうことが多いのだが、実際に話していた人物を呼ぶことによって、臨場感とリアリティが段違いになっていた。ひと癖もふた癖もある一般人に対して5人が直接ツッコむことによって、おもしろさが尻上がりにブーストするという、とんでもない相乗効果を生み出していた。
「普通に速くておもしろい」
番組終盤、くるまがこう語っていた。
「僕らは初めて爆笑問題さんとガッツリお仕事させていただいて、なんかまわりの芸人がみんな爆笑問題さん好きなんですよ。（ラランド）サーヤとか、霜降り明星さんとか、ミキさんとか。だから会って仕事してみたかったんですよ。したらなんか、こんなこと言うの失礼かもしれないですけど、普通に超おもしろくて大好きです。普通に速くておもしろくてうれしかったです」
「普通に速くておもしろい」。こんなにも爆笑問題のすごさを表した13文字があるだろうか。
爆笑問題がいつまでも「普通に速くておもしろい」のには、毎週ラジオをやっていること、ネタをずっと続けていること、新しい知識を入れ続けていること、など多くの理由があるだろう。しかし一番の理由は「お互いのことを知り尽くしていること」だと思う。大学時代から良い部分も悪い部分も知り尽くし、数えきれないほどのケンカを重ねようと1ミリも離れる気配がない。歪だが、なによりも強固な絆で結ばれている。
公式アカウントにもアップされていた未公開動画のトークをぜひご覧いただきたい。田中が「ふんわり名人」（越後製菓の米菓シリーズ）の話をし始めると、太田が別の角度から同じ話を繰り返す。そして何百回と聴いている話のはずなのに、誰よりも自分たちが一番笑っている。芸歴35年を超えるコンビとはまるで思えないほどの愛嬌がある。
そして「普通に速くておもしろい」は当然、令和ロマンにも確実に当てはまる。先日アップされたラジオ『令和ロマンのご様子』（stand.fm）でも、今回の収録の様子をマンガ『アイシールド21』のたとえを交えながら恐ろしい速度で語っていた。
普通に速くておもしろいトークバラエティ『バクっと令和問題』、爆笑問題と令和ロマンの共演がこれからどんどん増えていく予感しかしない最高の番組だった。
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