『FF8』発売から25年、今でも周回プレイできる謎めいた魅力(イシヅカユウ)

2024.7.3

文=イシヅカユウ 編集=田島太陽


1999年、PlayStationのソフトとして発売され、主題歌「Eyes On Me」や美麗なムービーが話題となった『FINAL FANTASY VIII』。25年が経った今もなお、周回プレイを続けているイシヅカユウ。子供のころの記憶から、作品との出会いと思い出を振り返る。

『Quick Japan』のコンセプト「Dive to Passion」にちなんで、「私だけが知っているアツいもの」について綴るコラム企画「DtP」。

自由度の高さ、カードゲーム、ループをめぐる考察

2024年3月、『FINAL FANTASY VII REBIRTH』の発売に世間は沸いていた。

しかし私は、人生で何周目かわからない『FINAL FANTASY VIII』(以降FF8とする)をプレイ中で、また魔女イデアに氷の柱を刺されたところ。もともと4つのディスクからなるこのゲームのディスク1エンディングにあたる場面である。今年で発売から25年、いまだに熱中し続けている。

私が初めてこのゲームと出会ってしばらくの間は自分でプレイしておらず、当時毎週のように泊まっていた父方の祖父母と一緒に暮らしていた叔母が、夜な夜な友達と電話しながらこのゲームをするのを眺めているだけだった。

ゲームといえば格闘ゲーム『鉄拳』シリーズや『トバル2』だった私にとって初めて触れるRPGでとても感動した。

そのうち叔母がクリアし、私にソフトを貸してくれて、冒険が始まった。魔法と近未来が交わる世界観とそれを立体的にするファンタジックでありながらどこかアーバンな音楽などにすっかり魅了された。

ちゃんとクリアしたのはそこから7年余り経った高校生のとき。RPGは初めてだった上に元来のビビリな性格から、ラスボスに挑むことはなかなかできずにいたのだ。よくぞ7年もと思うのだが、そこがこのゲームの懐の深さだと思う。

まず、ゲームシステムの複雑さに最初は戸惑うが、レベルを上げることのメリットとデメリットがあり、「ジャンクション」により魔力や体力の値を強化するシステムは、理解すると自由度の高さにいつまでもカスタムをして楽しんでいられるし、実はシナリオに大きく絡んでいて、そこを楽しんでいればいるほどシナリオの理解度が深まり後半にかけての展開をより楽しむことができる。

そして、メインシナリオを進めるには必ずしもクリアする必要のないサブ要素が豊富なおかげで、私はずっとその世界の中にいることができた。

特に、話しかけることができる敵以外のキャラクターほとんどと対戦することができるカードゲーム「トリプルトライアド」は、勝つことで収集できるカードを精製しアイテムや魔法を手に入れる方法のひとつにもなっていて白熱してしまう。そんな紆余曲折を経て、高校生になって知識や理解度も高くなり初めてクリアしたときには、エンディングに感動し泣いてしまったのを覚えている。

それからインターネットで、このゲームのシナリオ、特に魔女についてさまざま考察がなされていることも知り、ちょうどこのゲームのシナリオがループを繰り返しているのと同じようにますます引き込まれ、7年どころではない歳月プレイし続けているのである。

このゲームと出会った祖父母の家では子供時代の多くを過ごしたので、そこでやったゲームはよく覚えている。テレビゲームだけでなく、置いてあったパフォーマ(マッキントッシュの機種)で『Freddi Fish』や『Thinkin’ Things』をやったのも思い出深い。

しかしその思い出だけにとどまらない、25年もやり続けてしまう謎めいた魅力が『FF8』にはたしかにあるのだ。

イシヅカユウ「リサイタル」
生誕33年および独立を記念し、これまでの活動で培った集大成、そして新しいことへの挑戦として、“リサイタル朗読劇“を開催。古今東西の音楽への造詣の深いイシヅカが自ら企画構成に携わり、舞台仕立てのオリジナリティあふれるステージを披露する。

日程:2024年7月5日(金)
時間:19:30開場/20:00開演
会場:LOFT HEAVEN

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イシヅカユウ

モデル・俳優。映画『片袖の魚』でムンバイクィアフィルムフェスティバル最優秀主演俳優賞受賞。主演映画『Colors Under the Streetlights』が2024年公開予定。

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