SEVENTEENはどこまで突き進むのか?13人による“過去・現在・未来”の挑戦を紐解く【『17 IS RIGHT HERE』熱血レビュー】
SEVENTEENがまた新たな記録を樹立した。4月29日にリリースしたBEST ALBUM『17 IS RIGHT HERE』が、発売開始からわずか1週間で296万枚以上を売り上げ、K-POPのベストアルバムとして最多の初週セールス記録となった。
『17 IS RIGHT HERE』はベストアルバムではあるが、「ベストクオリティのアルバムにしようと思って臨みました。今の僕たちの思いや覚悟、CARAT(ファンネーム)と成し遂げていきたい未来のビジョンをアルバムに入れました」というJEONGHAN(ジョンハン)の言葉どおり、これまでのタイトル曲に加え、日本オリジナル曲の韓国語Ver.そして新曲4曲も収録された盛りだくさんな内容となっている。
まさにSEVENTEENの過去・現在・未来すべての歩みが記された一枚だ。そこで本稿では、ベストアルバムに収録された楽曲をピックアップし、これまでのSEVENTEENの歩みについて振り返っていきたい。
日本オリジナル曲の韓国語Ver .を収録の[CD1]
[CD1]には、今作のタイトル曲である「MAESTRO」を含む新曲4曲と、日本オリジナル曲の韓国語Ver.を収録。個人的に筆者は「CALL CALL CALL! (Korean Ver.)」をものすごく楽しみにしていた。ステージで披露したことはあるものの、音源になるのは初である。「CALL CALL CALL!」は日本デビュー曲であり、永遠にCARATから愛されている一曲だ。
日本公演ではアンコールなどで今でも歌ってくれるし、めちゃくちゃ盛り上がる。そんな大好きな同曲だが、韓国語Ver.かなりかっこいい! しかし聴き込みすぎていて、韓国語Ver.で聴いていても「今すぐ電話して〜!」と勝手に脳内で日本語で歌ってしまうという予想外の事態が起きた。愛しすぎているがゆえに、もう何語で聴こうが勝手に日本語に変換してしまうのだ。それだけもう、この曲は筆者の身体に染みついてしまっている。
また、「もしもし?」の部分は「ヨボセヨ?」(韓国語で「もしもし?」の意味)なのかと思っていたら「Hello?」だった。なぜなら「もしもし?」担当は日本語Ver.と変わらずVERNON(バーノン)だからだ。「Hello?」のVERNONがとてもかっこいいので、ぜひ聴いてほしい。
「Fallin’ Flower (Korean Ver.)」(「舞い落ちる花びら」)についても書きたい。サビ部分の「私は花」という歌詞が、韓国語Ver.だと「私は君だけの花」と歌われていて、さらに心に沁みる。「私は花」と歌うSEVENTEENには「そうです、あなたたちは花なんです!」という感情を抱くのだが、「私は君だけの花」と歌われると、胸がギュッとなる。また、日本語だと「誰かのすべてになりたいんだ」の歌詞も、韓国語だと「君のすべてになりたいんだ」と歌われている。少し含みを持たせたような日本語ならではの美しい表現も好きだし、韓国語のド直球な歌詞もとてもいい。どちらにせよこの楽曲を作ったWOOZI(ウジ)は天才だ。
そして「Ima -Even if the world ends tomorrow- (Korean Ver.)」(「今 -明日 世界が終わっても-」)は、韓国の音楽授賞式『Golden Disc Awards 2024』で初披露された際に大反響を呼び、日本オリジナル曲にもかかわらず世界中のCARAT から人気であることが証明された一曲だ。また、SEVENTEENのアンコールツアー『SEVENTEEN TOUR ‘FOLLOW’ AGAIN』のソウル公演でも韓国語Ver.で披露された。
名作ばかりのタイトル曲で構成された[CD2]
[CD2]はデビュー曲「Adore U」から「God of Music」まで、歴代のタイトル曲で構成されている。2015年にリリースされた「Adore U」は、「13人でデビューしたことがSEVENTEEN最大の挑戦だった。WOOZIが作った曲で活動する、自主制作アイドルというのも大きな挑戦」とS.COUPS(エスクプス)が話していたように、挑戦の始まりである楽曲のひとつだ。
「Pretty U」は音楽番組で初めて一位を取った楽曲だ。「素敵な言葉をひとつ残らず集めて 渡してあげたい」「辞書で”君”を探せば ”僕”って定義されていたらいいんだけどな」など、恋する男の子の感情をかわいらしくも切実に綴っている。好きな子に言いたい言葉が、「君はかわいい」ではなく、「君はキレイだ」であるのもいい。WOOZIの書くラブソングは、ありふれた言葉で綴られていないからこそ、よけい胸に刺さる。
「VERY NICE」「Left & Right」「HOME;RUN」など、ライブで絶対に盛り上がる、明るくて楽しい楽曲が多いのもSEVENTEENの魅力のひとつ。2020年にリリースされた「Left & Right」が収録されている7th Mini Album「Heng:garae」は、初の初動ミリオンセラーを達成し、その人気を確固たるものにした。「VERY NICE」は、SEVENTEENのライブには欠かせない楽曲だ。アンコールで永遠に「VERY NICE」を歌い続けるのがもはやライブの名物となっている。CARATも、メンバーたちを絶対に帰らせたくない(ライブを終わらせたくない)が、メンバーもわりと帰る気がないため、無限に「VERY NICE」は終わらない。CARATの間ではこの現象を、“無限アジュナ”と呼んでいる。
そして2021年にリリースした「Ready to love」。個人的にこの曲が本当に大好きで、今でも聴いている。正直、「Ready to love」だけでコラムを1本書きたいぐらい本当に神曲だと思う。甘く切ないボーカルと爽やかなメロディラインが絶妙にマッチしているこの楽曲は、デビューから少し大人になり成長したSEVENTEENだからこそ、華麗に表現できたのではないかと思う。
「Adore U」や「Pretty U」では、まだ愛を深く理解していない少年のストレートな恋心を歌っているように思えるが、「Ready to love」では恋愛の苦しい切ない部分も経験した大人の男性が、それでも「教えてほしい ずっと一緒にいられるのか」「僕は君を愛する愚か者」とせっぱ詰まって歌っているように感じる。パフォーマンス中、本当に切なそうに歌って踊る13人の表情管理も最高だ。
「Rock with you」「HOT」は、後輩グループも次々と出てきて、すっかり貫禄漂う大物アーティストへと成長したSEVENTEENが、「それでもまだバチバチに踊りますんで!」と世界中に見せつけた楽曲ではないだろうか。13人のシンクロ率の高さ、ダンスの難易度も桁違いで、本当に見ていて「すごい!」としか言えない。かっこいいという感情よりも先に、リスペクトの気持ちが湧いてくる。
そして「Super」は、タイトルどおりSEVENTEENを間違いなく“スーパーヒーロー”にした一曲だ。ついにMV再生回数が2億回を突破したが、正直、筆者もMVを何回、何十回とぶん回したかわからない。それぐらい、中毒性のあるメロディと圧巻のダンスパフォーマンスに心を奪われた。「力が尽きて倒れても あきらめることを知らずに暴れる まるで孫悟空の気分だ」「僕らは休まない」「走り続けられるもっともっと」など、デビューから何年経とうが、がむしゃらに進化し続けたいという彼らの覚悟が伝わってくる。ライブでは、「I luv my team I luv my crew」の部分をメンバーと一緒にCARATも歌えるのもたまらない。
「Super」をリリースした2023年、SEVENTEENは世界最大級のK-POP授賞式『MAMA AWARDS』で念願の大賞を受賞した。MAMAのステージでWOOZIが「この曲はMAMAのエンディングソングだ」と歌詞を変えて歌ったことは一生忘れないと思う。また、先日のWeverse LiveでWOOZIが「まわりによくないことがたくさん起こって、そのしんどい時期を乗り越えたかった。何があっても立ち上がるヒーローになりたくて『Super』を作った」と明かしていて、よけいにこの曲への愛情が増した。
「God of Music」は、「この世に音楽の神様がいるなら ありがとうと抱きしめたい」というフレーズから始まる、多幸感あふれる一曲。清涼感あふれるサウンドにSEVENTEENらしさを感じる。SEUNGKWAN(スングァン)が「僕たちは曲が明るいからといって振り付けが簡単になるタイプではまったくない」と話していたように、軽快で爽やかなメロディからは想像もつかないほどの、激しいダンスパフォーマンスも魅力のひとつだ。
新曲「MAESTRO」が示す13人の進化
そして、今作のタイトル曲「MAESTRO」で、SEVENTEENはさらに進化した姿を見せている。本当にどこまで突き進んでくれるのだろうか。「“マエストロ”とは指揮者という意味と、ある分野で認められる人を意味するが、SEVENTEENも多様なメンバーが集まって最高になるというメッセージを込めた」とWOOZIが語っていたが、SEVENTEENはこの曲で、“ヒーロー”から誰もが認める“マエストロ”へと変貌を遂げた。
また、この楽曲には「Adore U」、「VERY NICE」、「Oh My!」、「Fear」、「Rock with you」、「CHEERS」、「Super」と計7曲のソースが少しずつ盛り込まれており、そういう意味でもSEVENTEENにとってもCARATにとっても特別な一曲となっている。そして、ダンスブレイクの超高速ステップは、すごすぎてただただ、衝撃を受ける。きっと日本のスタジアムツアーでも「MAESTRO」を披露してくれると思うので、今から本当に楽しみで仕方がない。
そしてこの曲が、“CARATと成し遂げていきたい未来のビジョン”であるならば、SEVENTEENはまだまだ走り続ける気しかないのだろうし、挑戦をやめないのだろうと思わせてくれる。これからもっともっと、CARATに新しい景色を見せてくれるであろうSEVENTEEN。13人の指揮する未来に、全力で着いていきたい。
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