「デビュー前とは思えない」ME:Iがファンコン最終公演で魅せた“日プ女子”時代からの急成長【『2024 ME:I LAUNCHING SHOW ME:ICONIC』ファイナルレポート】

2024.4.16

(c)LAPONE GIRLS

文・編集=高橋千里


これで“デビュー前”なのはどう考えてもエグすぎる──。それほどまでに、4月14日の代々木競技場第一体育館は熱狂に満ちていた。

ME:I初のファンコンサート『2024 ME:I LAUNCHING SHOW ME:ICONIC』。3月27日の東京公演から始まり、続いて大阪公演、そして東京の追加公演と、あわせて全9公演を実施。4月14日の夜公演はその“千秋楽”だった。

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観客席はスタンドからアリーナの3階席まで、思い思いのボードやうちわを持ったYOU:ME(ME:Iのファンネーム)で埋め尽くされ、開演前から絶えることなく好きなメンバーの名前や愛のこもったメッセージが叫ばれていた。

デビュー前にもかかわらず、ここまで熱狂が生まれている理由は、YOU:MEの大半が「国民プロデューサー」として、サバイバル・オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』の練習生時代から彼女たちの成長を見守ってきたから。

あの人気曲が追加!? YOU:ME大歓喜の特大サプライズ

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これまでの公演では、新曲「Click」のほか、収録曲の「Sugar Bomb」、オーディションで披露した「想像以上」「CHOPPY CHOPPY」「LEAP HIGH! 〜明日へ、めいっぱい〜」「&ME」「FLY UP SO HIGH」を中心に、間にトークやミニゲームを挟みながらパフォーマンスしてきたME:Iだったが、追加公演ではまさかの特大サプライズ。

ミニゲームがない代わりに、オーディション課題曲の「TOXIC」と「Hero」(安室奈美恵)を追加公演限定で披露した。

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「TOXIC」はオーディション当時、KOKONA、RAN、AYANEが同じグループで歌っていた楽曲。イントロが流れたとたん、客席からは悲鳴にも似た歓声が上がった。追加公演でのセンターはKOKONAが務め、ME:Iバージョンとして会場全体を“中毒”状態に。

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「Hero」はTSUZUMIとSHIZUKUにとって思い出深い曲。ふたりがポジションバトルで披露した楽曲で、デビューが決まった今も「いつか歌いたいね」と話していたそう。TSUZUMIのソロパートから始まり、涙ぐみながら、11人で高らかに歌い上げた。

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さらに、アンコールではME:Iの公式キャラクター「ME:EYE(ミャイ)」のトロッコが4台登場。メンバーが2〜3人に分かれてトロッコに乗り、アンコール曲を歌いながらサインボールを投げる場面も。

豪華すぎるサプライズの連続に、客席からは「マジ!?」「うれしすぎる!」と、驚きと歓喜の声が上がっていた。

『ME:ICONIC』で感じた11人の魅力とは?

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ME:Iがデビュー前だと思えないのは、ファンの熱気だけではない。11人のパフォーマンスは、すでにアーティストとして“完成”されている。『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』でのトレーナー陣からの指導、その後の韓国合宿の成果だろう。

ここからは、『ME:ICONIC』最終公演で改めて感じた11人の魅力と、『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』練習生時代からの成長ぶりを、筆者の完全なる主観で紹介する。

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MOMONA

ME:Iのリーダーとして、持ち前の明るさとハイスキルでグループを牽引する笠原桃奈。オーディション序盤では元アイドルのプレッシャーからか泣き崩れる場面もあったが、本公演ではどの楽曲でも“強い女”オーラを放ち、その実力を見せつけた。トーク中にメンバーをリードする姿からも、「MOMONAがいれば大丈夫」と思えるような、絶対的な安心感を抱かせてくれた。

RINON

オーディション参加時は歌もダンスも未経験で、終盤までデビュー圏外だったRINON。ラップに挑戦するとキュートな個性が花開き、“ポジティブ姫”マインドでデビューを手にした。本公演では「想像以上」と「TOXIC」でのラップが特に彼女らしく、甘い毒で客席を虜に。ティーンが憧れる次世代のアイコンになりそうだ。

AYANE

ずば抜けた歌唱力を持ちながらも、オーディション序盤では自信のなさが目立っていたAYANE。今回のオープニングで、さながらパリコレモデルのような美しく堂々としたウォーキングで登場したのには驚いた。「TOXIC」の「一瞬であなたも中毒よ」パートでは一番大きな歓声が沸き起こった。エンディングの涙は絶対に忘れない。

MIU

過去の経験から、オーディションに落ちることへの不安を抱えていたMIU。次第に表情も柔らかくなり、自身の素直なキャラクターを出せるようになった。本公演のエンディングでは、涙するメンバーのあとに「私は泣きませ〜ん」と笑いながらあいさつするシーンも。ME:Iとしての活動を心から楽しめている様子にホッとする。

SUZU

韓国事務所の練習生だったSUZUは、本公演のエンディングで当時を振り返り「暗い中、ひとりで帰っていて……」と涙を流す。無難な評価で悩んでいた過去の自分から脱却し、センターでなくとも目を惹くオーラを手に入れていた。ダンススキルは言わずもがな、個人的には「LEAP HIGH!」や「CHOPPY CHOPPY」での高音ボイスも聴き惚れてしまう。

KOKONA

オーディションでは表現力を指摘されていたKOKONA。そんな姿を微塵も感じさせないほど、本公演の「TOXIC」ではセンターとして艶やかなパフォーマンスを見せた。特に「この主人公は私なの」パートを歌い上げたときは、KOKONAこそが今この瞬間の“主人公”であると、会場の誰もが納得しただろう。

SHIZUKU

SHIZUKUはセルフプロデュース力がずば抜けているだけではなく、“努力の人”なのだと思う。「Hero」でTSUZUMIとハモるパートで魅せた、伸びやかで透き通った歌声はまるで天使。声楽経験者ならではの“クラシック歌唱”に苦労していたSHIZUKUは、もうどこにもいなかった。

KEIKO

オープニングからエンディングまで、ずっと笑顔を絶やさなかったKEIKO。その反面、ステージではクールで力強いラップを披露し、ギャップに魅了される。オーディションでは「おもろ枠、それで落ちる枠?」とラップを自作していたが、本当にKEIKOが落ちなくてよかった……と心から思わされた。

RAN

メインダンサーであり、ME:Iを引っ張るサブリーダーでもあるRAN。オーディション当時「自分には何かが足りない」と苦悩していたが、パワフルなダンスに磨きをかけ、本公演では“すべてが満ち足りている”ように見えた。どの楽曲でも、RANがダンスブレイクでセンターに立つと、会場の空気が一変するから不思議だ。

TSUZUMI

TSUZUMIは歌詞に感情を乗せて歌う。本公演の「Hero」では、オーディション練習生たちに対する想いも伝わってきて、まさにTSUZUMIこそがみんなの“Hero”だと感じさせられた。いつもは天真爛漫なマンネだが、「Click」でクローズアップされた際にはひとりだけクールな表情を決め、ギャップで観客を虜にした。

COCORO

明るい笑顔が魅力のCOCOROだが、エンディングでは「つらいことがたくさんあって……」と涙を流していた。デビュー経験のある実力者ゆえに、抱えているものは相当大きいのだろうと窺い知れる。それでもステージに立つと、心から楽しそうにパフォーマンスをするので、まさしくYOU:MEにとって“生きる希望”である。

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ME:Iは4月17日にデビューシングル『MIRAI』をリリースする。彼女たちの旅路はこれから始まるところなのだ。今後はどんな成長を見せてくれるのか、楽しみで仕方ない。

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高橋千里

(たかはし・ちさと)フリーランスの編集者。2015年に株式会社マイナビに中途入社し『マイナビウーマン』編集部に所属。2020年12月にマイナビを退社、2021年1月に独立。現在は『QJWeb』『logirl』などのエンタメ・カルチャー系WEBメディア、『ローリエプレス』『ウーマンエキサイト』などの女..

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