CUBERSの9年間が詰まったラストライブでの誓い「いつかまた必ず再結成したい」

2024.4.7
『CUBERS LAST LIVE - Final scene and Life goes on -』より(撮影=上溝恭香)

文=坂井彩花 編集=森田真規


2015年4月に活動をスタートさせ、2024年3月31日をもって解散した5人組ボーイズユニット「CUBERS(キューバーズ)」。彼らのラストライブ『CUBERS LAST LIVE - Final scene and Life goes on -』が3月31日に豊洲PITで開催された。

CUBERSの活動を長く見てきて、3月15日に刊行された『CUBERSメモリアルブック ~ポップデジタルタトゥー~』の全インタビューを担当したライターの坂井彩花が、ラストライブをレポートする。

TAKA、優、春斗、綾介、末吉9太郎、変わらずこの5人で9年間活動してきたCUBERSの魅力が詰まった3時間にも及んだライブの終盤には、再結成の誓いも飛び出した──。

「CUBERSはずっと味方だよ」と音楽で提示

「再結成するかはわからないですけど、解散後もメンバーと会いたいですね。一緒にこうやって夢を見てきた仲間なので」

これは『CUBERSメモリアルブック 〜ポップデジタルタトゥー〜』のグループインタビューでTAKAが口にした言葉である。あまりにも自然体で話していたので、未来の希望を語っているだけなのかと思った。しかし、3月31日に豊洲PITで開催された『CUBERS LAST LIVE - Final scene and Life goes on -』のWアンコールで、TAKAは次のように誓ったのだ。

「僕たちCUBERSは、本日3月31日で解散してしまいますけども、いつかまた必ず再結成したいと思います」

あの瞬間、ラストライブは9年間を締めくくる一日から、ファンに「また会おう」と約束した記念日になったのだ。

CUBERSを象徴する赤と青のペンライトが煌めくなか、メジャーデビューソングの「メジャーボーイ」に導かれ、メンバーは登場。オープニングからキラキラとしたオーラを放ち、オーディエンスを魅了する姿は、夢を追いかけているアイドルそのものだ。振り付けを担当した夏まゆみから学んだことも、5人の中に根づいているのだろう。

まだまだ駆け上がっていきそうな彼らを見ていると、「解散なんて嘘ではないか」とさえ思えてくる。「Five Step」で歌われているように、「夢が鳴る方へ」これからも進んでいくのではないかと。いつも以上のコール&レスポンスが華やいだ「妄想ロマンス」、ソロダンスがつながれる「Bi’ Bi’ Bi’」と、助走をつけない全力のパフォーマンスを展開していく。

『CUBERS LAST LIVE - Final scene and Life goes on -』より(撮影=上溝恭香)
『CUBERS LAST LIVE - Final scene and Life goes on -』より(撮影=上溝恭香)

最後の自己紹介を経て、ポップな楽曲とともにメッセージを伝えていくパートへ。Wのハンドサインが会場一体で揺れる「WOW」では、行ったり来たりしながら変化していく人生を肯定し、透き通った優しい歌声で届けられる「本日晴天快晴」では、「目の前にいるのはあなたでいたい」と変わっていく世界で変わらぬ関係を歌う。

「誰かに合わせ 君らしさを失う事がないように 輝いているように 傍にいよう」と紡ぐ「君に願いを」は、曲の冒頭を『踊らないワンマン』を彷彿させるピアノアレンジで披露。ピンスポに照らされながら、伝えたい想いを丁寧にマイクへ落としていく。この3曲の流れは「これまでと違う日常が始まったとしても、CUBERSはずっと味方だよ」と音楽で提示しているようだった。

前半の締めとなるセクションでは、一人ひとりが個性豊かなステージで魅せる「Dance section」を投下。2名のダンサーを引き連れた春斗が堂々としたステージングで先陣を切り、かわいさを封印した9太郎は大人の男性たる色気を発揮、自由でマイペースな優は彼らしく暴れまくる。

続く綾介は、得意のポップダンスを伸び伸びと披露して、ハイスキルな実力を誇示。TAKAはワイングラスやハットなどのアイテムを交えて踊り、その一挙手一投足に歓声が上がった。最後には5人で集結し、メリハリのついたダンスで会場を魅了。9年間の中で、踊れるCUBERSになったことをパフォーマンスで証明した。

綾介にとって思い入れの強い一曲である「Twilight」は、スタンドマイクに想いを落とすようにして歌唱。振り付けがないからこそ、一段と歌に感情を乗せながら観客一人ひとりを目に焼きつけていくメンバー。「次の約束をしよう」という歌詞とともに掲げられた小指は、鮮明な意志を感じさせとても力強い。CUBERSの9年間を描いたような「For Good」で感謝を届け、前半を締めくくったのだった。

『CUBERS LAST LIVE - Final scene and Life goes on -』より(撮影=上溝恭香)
『CUBERS LAST LIVE - Final scene and Life goes on -』より(撮影=上溝恭香)

春斗「泣きたくなったときは空を見てください」

衣装チェンジの合間は、CUBERSのワチャワチャした空気が詰め込まれた音声と一緒に、コール&レスポンスとクラップでウォームアップ。賑やかで楽しげな声を聞いていると、5人がMCで話している姿が目に浮かぶようだ。

『CUBERS LAST LIVE - Final scene and Life goes on -』より(撮影=上溝恭香)
『CUBERS LAST LIVE - Final scene and Life goes on -』より(撮影=上溝恭香)

カラフルなセットアップに着替えたメンバーが再びステージに姿を現すと、ジャジーなサウンドの「Beautiful World」で後半パートを封切った。そのまま「Please call me」「全然今しかない」とつなぎ、R&Bやソウルのエッセンスが注ぎ込まれた初期CUBERSを想起させる楽曲を展開。“聴けるボーイズユニット”を謳っていたころの面影を感じさせた。

MCでは、9太郎が厄介なファンの夢を見た話や優のファンへの対応が素っ気なかった話など、いつもどおりのライブと変わらぬ脈略のないトークを繰り広げる。最後の最後まで普段と同じ姿を見せる彼らに、「これだからCUBERSが好きなんだ」と安心させられたファンも多かったのではないだろうか。9太郎からムチャブリされた春斗がアニマル浜口をモチーフとした煽りで会場を沸かせ、導かれたのは「つまり、ぞっこんLOVE」。キャッチーでコミカルな振りを、メリハリのあるモーションで魅せていく。

「Chi-Chi-Chi」では会場が一体となって、飛び跳ねたりタオルを回したり。メンバーがオーディエンスに「みんな、出会ってくれてありがとう!」と呼びかけると、銀テープが噴射。特大のシンガロンも巻き起こり、ハッピーな熱が増幅していった。

CUBERS - Chi-Chi-Chi [Live from”CUBERS LAST LIVE - Final scene and Life goes on -“]

最高潮の瞬間を見越していたのか、続く「Romantic」では客席に降りて場内を練り歩く。一人ひとりに目を合わせたり、ハイタッチをしたり、自らファンの近くに歩み寄り楽しそうに交流する。もちろん、その歩み寄りは、後輩であるつば男も例外ではない。関係者席に後輩たちを見つけた優はルダハートをして見せ、9太郎は端から端まで指差しで個レスを送っていた。

ラストシングルの表題曲となった「スキャンダラスKISS〜final act〜」は、撮影OKな演目。たくさんのファンが一斉にスマホを構えると、どこか臆してしまいそうなものだが、何度も何度もファンカメラを経験してきたCUBERSにはまったく問題なし。つんく♂が「CUBERSにはかなり手強いハイレベルな曲」と言ったナンバーを、堂々とした歌と踊りでパフォーマンスしきった。

天高く伸ばされた拳にまっすぐな意志が宿る「Fire Dance」、輝く未来の飛躍を描く「Circus」と、次第にラストスパートをかけていく。春斗が「寂しくなったとき、泣きたくなったときは空を見てください。(中略)きっとこの空の下でつながってます」と告げ、呼び込まれた曲はCUBERSの生みの親である堀切裕真が作詞作曲を手がけた「空の上」。

楽曲に込められた「同じ夢を叶えたい」という祈りに似た想いが、解散を迎える日には切なく響く。叶えられたこと、叶えられなかったこと、間に合ったこと、間に合わなかったこと。それぞれの想いが、豊洲PITの中で交差する。けっしていいことばかりではなかった9年間、それでもラストソングは温かく柔らかな空気に包み込まれていた。

CUBERS - 空の上 [Live from”CUBERS LAST LIVE - Final scene and Life goes on -“]

いつか再び逢える日まで

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坂井彩花

(さかい・あやか)1991年、群馬県生まれ。ライター、キュレーター。ライブハウス、楽器屋販売員を経験の後、2017年にフリーランスとして独立。『Rolling Stone Japan Web』『Billboard JAPAN』『Real Sound』などで記事を執筆。エンタテインメントとカルチャーが..

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