「バカにされたくなかった」NON STYLE石田&マヂラブ野田、ご法度だった“漫才の研究”を決意するまで
NON STYLEの石田明が、今話したいゲストたちを呼んでお酒とともに熱いトークを繰り広げるYouTube、『NON STYLE石田明のよい〜んチャンネル』。
マヂカルラブリーの野田クリスタルをゲストに迎えた回では、野田がマッチョになってからお酒が飲めるようになったという話からスタート。筋トレの話だけでなく、石田が感じたマヂカルラブリーの変化についての話題にも。そのダイジェストをお届けする。
マッチョが野田を変えた
そもそも飲まへんと思ってた、野田。
わりと最近ですね。家では飲んでたんですけど、人とは飲んでないです。
人とは飲まへんっていうことなんや。俺、酒1滴も飲まへんのかと思ってた。
昔は飲めなかったです。マッチョになってから飲めるようになったんですよ。
でも、基本的には人とは行かへん。
頑なに行かないわけじゃないんですよ。僕が行ってお酒を飲んだら「え? お酒飲んでるじゃん」って言われるんですが、それは恥ずかしくて。だから今ちょくちょく出してるんです。
そうなんや。
お酒飲めるんですよ期間ですね。
告知みたいなこと?
PRですよ。お酒飲めますっていう。
あんま見たことない、お酒飲める告知。
それで来てますんで、今日。
そうなんや、めちゃくちゃ意外やわ。まったくそういうのに興味なくて、みたいな。
もともとは飲めなかったので、本当になかったですけど。
飯もそんなに興味ないと思ってたし。
飯に関しては、ひとりでわざわざ外食に行くぐらいなんで、探し求めちゃうぐらい好きですね。
こだわんねや。
おいしいとこに行きたいって欲はあります。
もともと、若いころから?
マッチョになってからですね。
全部マッチョやん。
マッチョが俺を変えたんですよ。
マッチョになったことで、お酒やご飯に興味を持つようになったという野田。話題は野田がマッチョになったきっかけへ移る。
ダンクシュートをしたくて始めた筋トレ
そもそもなんでマッチョになろうと思ったん? もともとはどちらかと言うと細身でしょう。
諸説あるんですけれども。
諸説あんねや。
めっちゃ長いかもしれないです。
めっちゃ長くて大丈夫です。
もともとのきっかけは、バスケなんです。中学生のときやってたんですけど、久しぶりにバスケやってみたら、ちょっとダンクしてえなって思いまして。ダンクってどうやったらできるんだろうって考えたら、やっぱジャンプ力が伸びなきゃダンクできないと。
じゃあどうやったらジャンプ力が伸びるのかって考えたときに、持ってる重さにどんどん重りを足していって、ジャンプをひたすらしていく。60キロ担いで10回ジャンプできました。80キロ担いで10回ジャンプできましたっていうのを繰り返していけば、ジャンプ力が伸びるんじゃないかと。
原始的やな。
まずはそこから試さないと。そこで確認して、それが伸びるのか伸びないか確認しないわけにはいかなくなっちゃって。じゃあやるかって。
で、やってみた。そのときは全然筋肉とかもそんなない。
だから最初は筋トレっつっても、足のトレーニングばっかしてて。
ダンク用の筋肉。
ダンク用の筋肉。で、ジャンプを繰り返してて。
やってて、で、どうなん、ダンクはできたの?
変わらなかったんすよ。
あんなにやったのに。
60キロから140キロまではいったんすよ。
その時点でめっちゃ持ってるやん。
140キロまで持ってジャンプしたんですけど、伸びてなかったんですよ。で、俺はこれに一気に魅力を感じまして。「なんで?」って思いません?
魅力を感じたの? 俺やったら「なんやねん」ってなるんやけど。
すごいことじゃないですか。だって関係なかったんですよ。人体が不思議すぎて。人が身体能力を伸ばすって、現実的な超能力だなと思ったんですよ。
自己流の筋トレでうまく結果が出なかったが、そこに魅力を感じたという野田。石田も筋トレに興味を持つようになる。話題は吉本興業にマッチョが増えてきているという話や、『ラヴィット!』(TBS)のコーナーである「本気肉調査隊」でのロケコントの話に移り、マヂカルラブリーの芸風の話に至る。
『M-1』で優勝するためにトガりすら捨てた
もともとマヂラブなんてトガり散らしているイメージがあるわけですよ。『ハイスクール漫才』のころからね。
そうですね、ありましたね。『学校へ行こう』(TBS)とか。
高校のころ、坊主で漫才やってるときなんかもう、トガり散らかしてたやんか。
トガってましたね、今思うと。あそこまでトガってたら、そんなに怒られないんだっていうぐらいまでトガってました。こいつはそういう奴だからほっとこうみたいな。ランジャタイの国崎(和也)とかも、ほっとこうになるじゃないですか。
ああ、なるな。
だから怒られないですね、トガりすぎてて。
だからもともとめっちゃトガってて、初めて会ったぐらいはたぶん、俺なんかは普通にしゃべってくれる人じゃないんやろうなと思ってた。
いや、そんなことないですよ。ただ、こういうトガった芸人も、ちゃんと漫才をまっすぐやってる芸人も含めて、『M-1(グランプリ)』がつないでくれている。俺『M-1』なかったらたしかにあんまりしゃべってないかもしれないですよ。
いろんな人と。
トガってるやつ、トガってないやつ、全員込みで戦う大会じゃないですか。
そうやな。
そうなってきたときに、最初は(予選で)落ちてても、「俺の漫才のほうがおもしろいし」みたいなノリはあったとは思うんです。でもあまりにも勝てないと、この人どうやって勝ってんだろうなって。
ちゃんと研究のほうにいくんや。
自分のお笑いとは違うものでも、でもこの人勝ってんだよなってなってくるから、自分がトガってるだけじゃ無理かってなって。自分のほうがおもしろいとか、自分のやってきたものがすごいという感情よりも、勝ててなくて、バカにされてる状況が強くなってきたから、そこまでくると、もうトガりすら捨てて研究しないと勝てないなって思って。
だから、優勝してるNON STYLEさんもめっちゃ観たし。そこはもう、自分が『M-1』に完全に向いた瞬間がありましたね。
ある日を境に、格段に伝える能力が上がったもんね。
そうです。お笑いも伝わらないと無理だって思いましたね。
ほんま最初のころは、おもろいことをやってるから見てもらう精神やったと俺は思うねん。最初見たころって。「うわ、おもろいことやってるけど、これおもろいやつにしか届いてへんねんな」みたいな。感度がそこまで高くない人たちはポカンってなって、逆に距離開いてんねんなって思ってて。
でもなんか急にグンって、めちゃくちゃ伝えにいってるし、ジェスチャーみたいなのが細かくなったやんか。
そうですね。もうある程度いって『M-1』に落ち出して、うっすらと、このまま死ぬかもしれないって思ってくると、死んでもウケなくちゃいけなくなってくるじゃないですか。そこからだいぶ「これ伝わんないんじゃないかな」とか、ちゃんとよぎるようにはなりましたね。
え、じゃあ発想も多少ゆるめた?
ウケるためなら。『M-1』のお客さんというものを考えましたね。『M-1』のお客さんはこんぐらい逆に伝わるか、とか。
敗者復活のお客さんやったらこれぐらい。
これで伝わるか、とか。
スタジオやったらもう気持ち下げたほうがいいみたいな。
そうですね。そこまではずっと、どんなにネタスベってても、お客さんにウケてなくても、俺はこういう人としておもしろいに全振りしてたみたいなとこあって。芸人として最初、人としておもしろいか、おもしろいこと言える人か、どっちを取るって言われたら、(ビート)たけしさんとかいるから、人としておもしろいほうが強い感じがしてて。芸人こそが生き様みたいなことを言いたいじゃないですか。
わかる。
だからそっちに全振りしてたんですけど、あれ『M-1』勝てねえなってなってから、ちょっと自分がつまんなくならないといけないなと。漫才を研究するって、ご法度じゃないですか。こっちからすると。
ご法度やな。
ご法度で、こんなとこを人に見られたくないじゃないですか。
そうやな。だからもともとは振りもあえて下手くそにするし。おもろいパンチ打ってるからね。
だから、これまで自分のことおもしろいと思ってた芸人に、つまんないって思われたくないっていうものがあったから、こんなお笑いの研究とかやれなかったんです。あのとき一緒にやってた仲間にはとても見せられない。でもそういう部分がないと勝てないんだなってつくづく思ってからは、もうそこはもう捨てようと。
うわ、そうなったんや。いや、めちゃくちゃ合点がいったわ。何があったんやろうと思ってて。やっぱほんまさ、そのまま行き続ける人たちもやっぱいっぱいおるやん。たまたまラッキーパンチで、世のお客さんとバチン合ったっていう人もおるし、時代が巡ってみたいなのもあるし。でもやっぱマヂラブに関してはあからさまに変わったから。でもやっぱその意識の変化あってんな。
お笑いのプライドよりも、人としてのプライドがちょっと勝ってたんでしょうね。バカにされるほうが嫌だったんです。人よりもつまらない、よりも。
笑い飯の哲夫さんがよく言ってて、今NSCの授業とかでも絶対言うのが、「おもしろくありたいのであったら、今のままでいいです。売れたいんやったら2個階段降りてください」っていう。もうまさしくそれやな。
結局それですよね。でもテレビ出たり『M-1』で勝ってる人は、そういう人じゃなきゃ勝ててないです。まだ現状は。
そうやねん。だから俺、いろんな芸人さんがおってさ、おもしろさランクでいくと、俺なんかおもしろさ低いほうやねん。低いほうやからこそ、降りる階段が少なくていい。だからまだ楽やん。だから全然合わせてやりやすい。でも俺ですら、俺が本気でおもろいと思ってるネタってウケにくい。そう思うと、お前らみたいにマジでおもろいやつは、さぞかししんどいやろなって思う。
野田が石田に審査員を懇願:動画全編紹介
マヂカルラブリーの野田をゲストに迎えたシリーズは全4本が公開中。
2本目では、野田に影響を与えた芸人であるモダンタイムスについてや、『M-1』優勝に向けての道筋の中で大きなポイントとなる、『R-1グランプリ』の優勝などについてトーク。
3本目は、一時期大きな話題となった「吉本鎖国」について石田と野田がそれぞれ思うところを話すほか、マヂカルラブリーが『M-1』で優勝した際に起きた「漫才論争」についてなど、ふたりだからこそ話せる深いテーマの話を聞くことができる回に。
4本目では、『M-1』の審査員をやってほしいとまわりから言われる石田が、自分の思うところを話すところから、野田が石田に「オファーが来たら審査員をやる義務がある」と熱弁する。野田と石田に共通してある、並の刺激では楽しめなくなっているという悩みについても。
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