さすらいラビーが頂点に輝き、ゲストのヤーレンズ登場時には衝撃のハプニングも『月笑』2024年3月ROUNDから傑作ネタ紹介【ネタ動画あり/写真25枚】
太田プロダクション所属芸人たちがしのぎを削るネタライブ『月笑』。来場者の投票によって順位と獲得ポイントが決まるため、毎月熾烈な争いが繰り広げられている。また、年末にはその年間チャンピオンを決める「クライマックスシリーズ」が開催される。
太田プロ所属芸人はG1〜G6のランクに分かれており、G3〜G6が『Jr.ライブ』、G1とG2が『月笑』でネタを披露することができる。ライブでの獲得ポイントによってランクの昇格や降格が決まるため、『Jr.ライブ』と『月笑』のメンバーは常に変動し続ける。
2024年開幕の2月ROUNDでは、昨年の「クライマックスシリーズ」でセンチネルに敗れた青色1号が月間1位となった。対してセンチネルは月間5位となり、3月ROUNDではG2へ(当日は体調不良のため休演)。開幕から目が離せない戦いが繰り広げられている。
青色1号、ハマノとヘンミら注目芸人が続々『月笑』2024年開幕戦から傑作ネタ紹介【ネタ動画あり/写真25枚】
本記事では、『月笑』3月ROUNDを現地で見た筆者が、今回特に気になった芸人とネタを紹介する。
目次
周遊(G2):売れた芸人がファッションモデルをすることになり…
ひとくちコンロ、山島秀太によるコンビ。今月G3からG2に上がり、『月笑』への出演を果たした。
今回のネタは、「売れた芸人がファッションモデルをすることになる」という設定のコント。テレビで注目を集める芸人が、雑誌やショーでファッションモデルを務める場面はたしかによく見かける。売れた芸人として山島がショーに出演することになるが、ファッションモデルとはほど遠い体型で、コンロ演じるスタイリストの花折(かおり)は戸惑ってしまう。
花折はなんとか似合いそうな服を見繕っていくが、明らかにアパレル展開をしていなさそうなメーカー名が並ぶ。花折の強烈なキャラクターや、見繕われる服やメイクのブランドのずらし方がおもしろい。3月ROUNDではG2の6位となったため、再びG3に戻り『Jr.ライブ』からの昇格を目指すことになるが、引き続き期待したい。
サノライブ(G2):スーパーに入って右に曲がるとあるアレ
大学時代からお笑いを始め、現在はお笑いと音楽のハイブリッドイベント『サノフェス』やお笑いの主催ライブなども数多く開催し、元大手レコード会社社員という経歴を持つピン芸人。
今回のネタは、風邪を引いた男(サノ)が友人に買い物を頼み、友人が戻ってきたところから始まる。買ってきたもののレシートをながめると、品名がどれも不自然。トマト缶はまだしも、生ハムの切り落とし、スパークリングワイン、グリーンカレーなど、明らかに某輸入食品店で買ってきている。そこから続くラインナップがどれも、多くの人が見たことのある、買ったことがあるようなものが並ぶのでつい頭に思い浮かべてしまう。
「なんで(某店に)行っていいと思ったんだ、たしかに入ってすぐ右曲がるとあるけど!」「(某店は)比較的お金に余裕がある人が買う、食っても食わなくてもいい遊びのごはんが売ってるとこだから!」など、友人への指摘にどれも「わかる」と思って笑ってしまう。3月ROUNDでは見事G2の1位に輝いた。4月ROUNDではG1での出演となる。
ジョウダンアオナナテンパイ(G2):格闘技を始めたい理由
冨山麗璃、勝呂祐介によるコンビ。2018年には夏の『ぐるナイ おもしろ荘』(日本テレビ)にも出演経験があり、ゆるい雰囲気の漫才が特徴的。ネタ中は「冨ちゃん」「勝呂くん」と呼び合うことが多い。
今回のネタは、冨山が「格闘技(ボクシング)を始めようと思っている」と切り出すところから始まる。勝呂にその練習を頼むが、勝呂の様子がなんだかおかしい。サンドバッグ役を頼まれると喜ぶし、殴られたり罵倒されたりすることを望む。その様子にちょっと引いてしまうのだが、一つひとつの的確なボケとツッコミが光り、客席の笑いが増幅していた。
2月ROUNDでG2となったものの、今回2位となったため、4月ROUNDでは再びG1に返り咲きとなる。
ロックス(G1):コンビで再スタートへ
鎌田純、千葉康介、渡辺奎星によるトリオだったものの、渡辺が4月末をもって芸人を引退することに。今回はコンビでの出演となった。4月以降はコンビで活動を継続していく。
今回のネタは、仕事を休んでリビングでテレビを観ている息子(千葉)と、だらけている息子を叱る父親(鎌田)の親子ゲンカ。よくある言い合いかと思いきや、「100歩譲ってリビングでAVを観てもいいけど笑いながら観るな」「親父は立ちションで私人逮捕されるな」「児童館で小学生に混ざって遊ぶな」「外国人観光客に混ざって制服でゴーカートに乗るな」と、それぞれの行動が変。
ロックスは2月ROUNDのネタでも「理由のずれ方」が魅力的だったし、今回コンビになってもその切れ味は遺憾なく発揮されていた。しかしながら今回6位となってしまったため、4月ROUNDにはG2での出演となる。
さすらいラビー(G1):秘密の社内恋愛だったはずが…
宇野慎太郎、中田和伸によるコンビ。特にライブシーンで人気を集めているが、昨年末には『THE MANZAI マスターズ』(フジテレビ)に出演し、同年の『ツギクル芸人グランプリ』は決勝、『キングオブコント』は準決勝に進出するなど、実力も兼ね備えている。昨年の「クライマックスシリーズ」で3位となったものの2月ROUNDは休演だったため、今回はG1に出演。
今回のネタは、そそっかしい新人(中田)と女上司(宇野)の職場コント。新人はいつも遅刻ギリギリに出社したり、取引先に着いてまず充電器を借りてしまったり、何かと上司から叱られることが多い。しかしその様子をながめていると、ふたりはどうやら隠れて社内恋愛をしていることがわかる。周囲には隠しながらも、楽しそうなふたり。そわそわしている様子が伝わってきて、見ていてなんだかワクワクしてくる。しかし、上司のほうが海外出向を打診されていることがわかり……。
そこからの展開も含め、少女マンガのようなコミカルかつハッピーな展開に胸がいっぱいになるし、中田と宇野の演技がいちいちおもしろい。結果、見事G1の1位となり、3月ROUNDの頂点に立った。
ストレッチーズ(G1):社交辞令に対するちょうどいい謙遜を探る
福島敏貴、高木貫太によるコンビ。さすらいラビー同様、特にライブシーンで人気を集めているが、2022年の『ツギクル芸人グランプリ』で優勝し、2023年には『ABCお笑いグランプリ』決勝進出、『M-1グランプリ』でも着実に結果を残し続けている実力派でもある。
今回のネタは、「初対面の人との社交辞令を交えた会話の難しさ」をテーマにした漫才。高木が初対面のスタッフ役となり社交辞令を言い、福島がそれにちょうどいいあんばいの謙遜の練習をする。「社交辞令に対する否定の回数は多すぎても少なすぎても自分のことをわかってない奴だと思われる」ということで、学歴、容姿、おもしろさなどの社交辞令と否定の応酬を繰り返す。「この場合はこの回数」という見極めの絶妙さと応酬のテンポがよすぎて笑ってしまう。3月ROUNDでは4位となり、4月ROUNDも引き続きG1で出演する。
サルベース(G1):退職を考える同僚を引き止めていたはずが…
松山弘樹、折田智久、ともやっぷによるトリオ。2月ROUNDではG1で3位となり、今回も引き続きG1での出演となった。
今回のネタは、同じ会社で営業として働く3人が飲み屋で会話するコント。退職を検討している松山を、ともやっぷと折田が説得している。ともやっぷが松山に熱く語りかけて説得しているように見えたが「折田は後輩に営業成績を抜かれているのに平気で飲みに誘う」「まわりから嫌われているのにあいさつをする」「それでも休憩中に突っ伏して寝るゴキブリ根性がある」と、松山を励ます言葉の中にはっきりと折田を猛烈に否定する言葉が混ざる。そして折田、「折田が辞めちゃうよー!」。
2月ROUNDでもそうだったが、折田は困惑しながら怒るさまがかなりおもしろい。3月ROUNDでは、青色1号と同率の2位に。4月ROUNDも引き続きG1に出演する。
青色1号(G1):職場でミスをしたら発動する「言い訳タイム」
上村典弘、榎本淳、仮屋想によるトリオ。最近、上村がカミムラに改名した。榎本は2月下旬からTikTokで披露しているアイドルの振りコピ動画が少しずつ注目を集めている。2月ROUNDでは頂点に輝いたが、連覇となるのだろうか。
今回のネタは、新入社員の榎本、その指導にあたる仮屋、そしてその上司のカミムラによる職場コント。榎本の遅刻により、指導担当の仮屋は取引先との打ち合わせ準備がギリギリになってしまう。それを叱るカミムラ。そこで発動されたのが「言い訳タイム」。パワハラやモラハラの対策として、いったん当事者の言い分を聞く「言い訳タイム」が設けられているという。うまく言い訳ができれば許されることもある。榎本も遅刻を咎められ、「言い訳タイム」が発動。そこに取引先がやってきて……。
「言い訳タイム」発動の背景にあるミスの設定や、発動で必死になる様子と許されたときの緩急など、どれも絶妙で、3人がどんどん盛り上がっていく様子もおかしくて、ついその世界に入り込んで笑ってしまう。3月ROUNDは惜しくも2位に。4月ROUNDでの返り咲きに期待したい。
今回紹介するのは以上となるが、ほかにも今回の『月笑』G2は、こじらせハスキー、ペニーレイン、猫怪獣、群青団地、G1はモシモシ、それもまた一興、ハマノとヘンミといった、たしかな実力を持つ芸人が多数出演している。さらに、今回MCを務めたダーリンハニーもネタを披露した。
また、ゲストとして『M-1グランプリ2023』準優勝のヤーレンズが登場。ケイダッシュステージ所属にもかかわらずこれまでも年に一度のペースで『月笑』に出演してきたことから「凱旋ライブ」と言われるも、「最近どのライブに出ても凱旋と言われる」と出井(隼之介)。
登場と同時に、舞台横の看板が倒れるハプニングもあった。すぐさま楢原(真樹)が「ヤーレンズのオーラがすごすぎて倒れた」、出井が「俺らが出てきたことで『月笑』が終わったかと思った」と、ハプニングをネタにした。そこからそのままボケ続け、楢原の表情が話題となっている宣材写真の再現をしたりしつつ、ネタを披露。ネタの終了後は、さすらいラビーとストレッチーズとともにトークも。仲のいい3組のプライベートエピソードなどを存分に語った。
さすらいラビーとストレッチーズから特に多く語られたのは、“出井イズム”の話。『M-1グランプリ2023』決勝の2日前に「散歩しよう」と呼び出された高木が「M-1前で日常を取り戻さないといけないのにさ、お前がいないと日常って感じがしないんだよ」と言われたことや、出井がライブでウケることを「踊らせた」と言い、スベることを「スウィングしなかった」と言うことなどを明かした。
今回の『月笑』は、3月18日(月)21:00まで視聴可能なアーカイブ配信を販売している。なお、今回から生配信の視聴者も投票ができるようになったため、4月ROUND以降は来場できない方もぜひ生配信をご覧いただきたい。また、4月ROUNDは4月8日(月)19:00から、シアターマーキュリー新宿で開催予定となっている。
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