特別番組『Creepy Nutsのオールナイトニッポン』は最高の「通常回」だった

2024.2.28
Creepy Nutsのオールナイトニッポン

画像=ニッポン放送

文=かんそう 編集=鈴木 梢


2024年2月19日、25時、通常であれば『Adoのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)が放送される時間。ところが、Adoが体調不良ということで特別番組が放送されることになった。Adoに代わり、あの男たちが登場した。2023年3月に「音楽活動に専念するため」と宣言し、『オールナイトニッポン』を卒業したヒップホップユニット・Creepy Nutsだ。

今回は2月19日に放送された特別番組『Creepy Nutsのオールナイトニッポン』について、レギュラー放送終了時にもその思いを綴ったブロガー・かんそうが、番組の内容を振り返りながら思いを綴る。

特別番組という名の、最高の「通常回」

ラジオ終了から1年、まさかこんなにも早く『Creepy Nutsのオールナイトニッポン』が聴けるとは、1ミリも想像していなかった。今、ラジオでCreepy Nutsのふたりがそろうこと自体が稀で、R-指定は『四千頭身 都築拓紀のサクラバシ919』(ラジオ大阪)、DJ松永は『田中みな実 あったかタイム』(TBSラジオ)にしか出演しないという謎の縛りプレイを行っているため(先日、珍しく『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』にDJ松永が出演した際もR-指定が不在だった)、なおのこと「奇跡の2時間」というほかない。

今回の放送の感想をひと言で表すのであれば「通常回」。

昨年の最後の放送から一週間後の未来から来たのかと錯覚させるほど、1ミリもブランクを感じさせない異次元のスピードで高速のラリーを繰り広げるふたりは、完全にあのころのままだった。いや、むしろ「世界的ヒット曲『Bling-Bang-Bang-Born』を生み出したアーティスト」という、もはや目視できないほど、どデカい看板を引っ提げているからなのか、あのころ以上に会話のブレーキが崩壊していた。

序盤から、2024年4月から『オールナイトニッポン』月曜日の新パーソナリティに就任する山田裕貴に「1年で辞める」と雑魚先輩ムーブをかまし、「菅田(将暉)さんより絡みやすい」とよけいなひと言を言い、ついでに三四郎やアルコ&ピースをイジり倒す。

DJ松永の常軌を逸した早口から繰り出される暴走トークは相変わらない。2024年に全力で『呪術廻戦』の祈本里香のモノマネをし、「スヌープ・ドッグに有名な曲はない」といい、しまいには“手屁音”で何をしゃべったかを当てるゲームを開催。

松永「プップップップップッ!」
R-指定「今なんて言ったの?」
松永「えへえへ、あ、もう1回? 楽しいよな…! よし行くぞ! プップップップップッ!」
R-指定「……『助けて』?」
松永「プップップップップッ!」
R-指定「『助けてよ』?」
松永「あぁー……文字数気をつけてね? プップップップップッ!」
R-指定「……『助けてよ』じゃないの?」
松永「『わら半紙』だよ今の」
R-指定「意味わからん……何が楽しいのこれ……?」

これでCMに突入するという、放送事故のような動きを見せていた。「いつでもションベンみんなに配れる」と豪語していたことがなによりの救いだった。

DJ松永だけかと思いきや、R-指定も負けじと暴走しており、ハワイ旅行のエピソードを話し始めたはいいものの、ドン・キホーテ、どうとんぼり神座、パンダエクスプレス、丸亀製麺と日本国内のフードコートとしか思えない旅行プランを発表し、「そもそもハワイ旅行など行ってないのでは?」と疑いをかけられる謎のトークを展開した。帰ってきた。cnannが帰ってきた。

そして、自分だけはなく誰もが待ち望んでいたであろうコーナーの復活は、『スーパーマリオRPG』がリメイクされたときくらいうれしかった。エド・シーランの「Shape Of You」の「ポンポンポン」に歌詞をつけてあげる「大江戸シーラン」、ゾンビになったギャルが何を言っているか送ってもらう「GAL OF THE DEAD」と、文面だけでは何ひとつ伝わらないコーナーたち。

ハガキ職人たちの送ってきたメールはどれも秀逸で、おもしろさと懐かしさで思わず涙腺がゆるんでしまった。特に、大江戸シーランでRN電信柱が投稿した「#キンタマランタロウ」と、「GAL OF THE DEAD」でRNチワワの空振りが投稿した「ポコチンダウジング」の長文は「これぞcnann」といえる最高の作品だった。

勢い衰えぬまま、DJ松永が「R-指定、佐久間、宇多丸、全部嘘」と言い放ち、グチャグチャのまま終了。「ここまでのお相手はCreepy Nuts・R-指定と俺」。こんな来週もあるかのような終わり方をされると非常にマズい。

「なぁ……! cnannくれよ……もっともっとcnannくれよ……!! 頼むよくれよ……!」

また禁断症状が出る。cnannゾンビになってしまう。もっと、できれば永遠にふたりの会話を聞きたい。とりあえずファンクラブ「CLUB Creepy Nuts」で追いナッツしたい。

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かんそう

1989年生まれ。ブログ「kansou」でお笑い、音楽、ドラマなど様々な「感想」を書いている。

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