サルゴリラ『KOC』優勝効果で即完も「まだまだこんなもんじゃない」。メトロンズ『寝てるやつがいる!』開幕

2024.1.25
メトロンズ

文・撮影=ナカニシキュウ 編集=梅山織愛


しずる、ライス、サルゴリラの3組に作家・演出家の中村元樹を加えた7人組演劇ユニット・メトロンズの第6回公演『寝てるやつがいる!』が、1月24日に東京・赤坂RED/THEATERにて開幕した。

その初回公演に先駆けてメディア取材会が開かれ、ゲネプロを終えたばかりのメンバー7名が記者団の取材に応じた。

7人がメトロンズに懸ける想い

『寝てるやつがいる!』は、6人の男たちが深夜の公園で開催する「ランチ会」に集うところから始まる。仕事も年齢もバラバラの彼らだが、眠らない身体という共通点を持つ。しかし、たまたま見つかった1枚のレシートにより状況が一変。参加者が次々に、「この中に普段寝てるやつがいる!」と声を上げる。

脚本を手がけたライス田所仁は、本作について「“睡眠”という、みなさんがイメージしやすいものを題材に使わせていただいた」と説明。登場人物たちが激しい論戦を繰り広げる内容だが、「『あれ? これ単に“寝るか寝ないか”の話だよな?』というおもしろさを感じてほしい。それを真剣にやることがひとつの大きなボケになっている」と、見どころをアピールする。演出担当の中村もその会話劇が肝になるとし、「しっかりお客さんの心を揺さぶっていけるように、会話の見せ方をポイントに演出しました」と語った。

メトロンズ

過去の公演では主にしずるKAƵMAが脚本を手がけてきたメトロンズ。田所の脚本との違いについてサルゴリラ児玉智洋は「脚本家でこんなに変わるのかと。今回は頭がいい人の作品という感じで、どちらもやっていて楽しい」と言及したが、ライス関町知弘は「あんまり過去5公演と違いはないかな」と大らかな見解。さらに、サルゴリラ赤羽健壱は「中村から『赤羽はすぐかわいくなっちゃうから気をつけろ』とよく言われるんですけど、今回は最年長の役なので新たな扉を開きたい」と無邪気に意欲を燃やすなど、各人各様のスタンスを強調した。

田所の脚本には特有のコミカルさがあるとの指摘が中村からなされると、しずる村上純からは「田所は演技でもアクションが大きく、芝居の枠をはみ出してコメディになってしまうときがある。稽古ではみんなに『違います』と言われていた」といった証言も飛び出す。当の田所は「今回は僕が書いてるんで、僕の動きが正しいはずなのに……」と漏らしながらも、脚本家の立場になったことでKAƵMAの演技力に改めて感服したという。「KAƵMAはやっぱりできる男なんだなと。それがもっと世に伝わってほしい。彼の演技に注目してほしいと思っています」と訴えかけると、KAƵMAが報道陣に対して「ペン走らせろ! 今、仕事だぞ?」と奮起を促すひと幕も繰り広げられた。

そのKAƵMAは、本公演に並々ならぬ覚悟で臨む構えだ。「今回の役を演じるにあたって(すね毛の)脱毛をした。それで役に懸ける想いはわかっていただけるんじゃないかな」と不敵な笑みを浮かべ、「僕は本当にメトロンズに懸けてるんで。正直これしかないと思っちゃってる。これにだけ集中したい」と語気を強める。さらには相方を“しずるの村上”ではなく「“メトロンズの村上純”だと思っている」とまで言いきってみせた。

メトロンズ

サルゴリラが『キングオブコント2023』で優勝した勢いも手伝って、本公演は全公演のチケットがすでに完売している。この状況について赤羽は「ここで新しいお客さんを離さないで、より増やしていきたい」と意欲を燃やし、取材会中に「本当にチャンスだと思っている」と、繰り返し述べていた児玉は「“即完”という言葉は泣けるくらいうれしいが、まだまだこんなもんじゃない。(メトロンズを)どんどん大きくしていきたいんで、もっとレベルを上げて全国回って……それを目指しています」と、まっすぐ前を向いた。

最後に村上からメトロンズ第7回公演『店出す』の開催や単独コントライブの開催、BS松竹東急でのドラマ出演、舞台『天才バカボンのパパなのだ』への日替わり出演などが立て続けに告知され、ユニットとしての勢いを大いにアピール。

なお、『寝てるやつがいる!』公演の劇場チケットは前述のとおり完売しているが、FANY Online Ticketにて配信チケットが購入可能だ。

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    メトロンズ第6回公演 『寝てるやつがいる!』

    脚本:田所仁
    演出:中村元樹
    出演:赤羽健壱(サルゴリラ)、KAƵMA(しずる)、児玉智洋(サルゴリラ)、関町知弘(ライス)、田所仁(ライス)、村上純(しずる)
    主催:吉本興業株式会社
    会場:赤坂RED/THEATER(港区赤坂3-10-9 赤坂グランベルホテルB2F)

    【公演スケジュール】全9公演
    1月24日(水)18:30開場/19:00開演
    1月25日(木)14:30開場/15:00開演 18:30開場/19:00開演
    1月26日(金)14:30開場/15:00開演 18:30開場/19:00開演
    1月27日(土)12:30開場/13:00開演 16:30開場/17:00開演
    1月28日(日)12:30開場/13:00開演 16:30開場/17:00開演

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ナカニシキュウ

ライター/カメラマン/ギタリスト/作曲家。2007年よりポップカルチャーのニュースサイト『ナタリー』でデザイナー兼カメラマンとして約10年間勤務したのち、フリーランスに。座右の銘は「そのうちなんとかなるだろう」。

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