BE:FIRST、2度目の『紅白』で見せた楽しむ余裕。LEO「一番大事なのは“あなたに届ける”ということ」

2024.1.3
BE:FIRST

文=坂井彩花 編集=森田真規


デビューから1年2カ月でたどり着いた2022年から続いて、2023年も大晦日の『第74回NHK紅白歌合戦』への出場を果たした7人組ダンス&ボーカルグループ「BE:FIRST(ビーファースト)」。

「挑戦した楽曲のひとつ」だという「Boom Boom Back」のパフォーマンスでは楽しむ余裕を見せ、直前番組や副音声の実況トークへの出演、他アーティストとのコラボレーションなどにも積極的に参加し、『紅白』出演2回目とは思えないほどの大活躍を見せた。

そんなBE:FIRSTの『紅白』での様子をレポートする。

2023年、より強固になったチームとしての絆

2021年11月のデビュー以来、破竹の勢いで躍進を続けているBE:FIRST。2023年9月にリリースした『Mainstream』は各種音楽チャートで116冠を達成し、今春には東京・大阪でのドーム公演も決定している。そんな彼らが「ボーダレス-超えてつながる大みそか-」をテーマとした『第74回NHK紅白歌合戦』に出演した。

12月29日に行われたリハーサルの際には、報道陣から「昨年よりもリラックスしているような感じがします」と声をかけられていたが、LEOは「リラックスできているかはわからないですけど、チームでいる月日も長くなって、この7人でいると安心するので、それが出ているのかなって思います」と、BE:FIRSTとしてより強固になった絆の強さについて言及。

また、パフォーマンスについて尋ねられると、RYUHEIは「今回だけの特別なパフォーマンスをしっかり練習してきたので、みなさんに衝撃を与えるようなパフォーマンスができると思います」とコメント。2023年を一緒に駆け抜けてきた「Boom Boom Back」を、年末の大ステージで披露できる機会に胸を高鳴らせていることが伝わってきた。

そして、直前番組『まもなく紅白!今年もすごいぞスペシャル2023』に出演したのは、SOTA、SHUNTO、MANATO、RYOKIの4人。昨年の初出場の感想を聞かれたSHUNTOは、「めちゃくちゃ緊張していた。(点数をつけるなら)75点くらい」と回答。シビアな点数に司会の山里亮太は「厳しいって。僕はもっと高い点だと思うんだけど」とタジタジになり、RYOKIが「僕はいつも100%、100点の気持ちでやっています」と助け船を出す場面も見られた。

山里が「Boom Boom Back」の見どころについて質問すると、SOTAが「今年は自分たちが好きでやりたい音楽をたくさん作ってきました。その火つけ役となった曲なので、僕たちが一番お世話になった曲でもあるし、今年イチの『Boom Boom Back』をお見せしたいと思います」と力強く答えた。『紅白』本番の直前とは思えないほど、メンバーの雰囲気は終始柔らかく、心地よい緊張感に包み込まれているようだった。

『紅白』を楽しむ余裕すら感じさせたパフォーマンス

そして、ついに迎えた『紅白』本番。オープニングでは、ステージの上手奥に集合し、ほどけた雰囲気で音楽に合わせて楽しそうに体を揺らす。目の前で展開されるパフォーマンスを純粋に楽しんでいる様は、『紅白』常連アーティストのような余裕すら感じさせた。

自分たちの出番になってもその貫禄は健在だ。ano「ちゅ、多様性。」からシームレスにつながれ、映し出されたのはバーチャル映像が合成された夜の渋谷。黒のインナーとボトムスにウォールアートのようなテイストでBE:FIRSTと装飾されたデニムジャケットを合わせた7人が、パワフルかつ緻密なパフォーマンスをワンカットのカメラ演出で魅せていく。

それぞれの個性を活かしたスタイリングが多い彼らが、統一感の強い衣装をまとっていたのも印象的だ。ダンスと呼吸するようなカメラワークとの相乗効果で、パフォーマンスのグルーヴ感もより伝わってきた。個々のステージングについても変に気負った緊張は感じられず、堂々とした表情はここで楽曲を披露できることを純粋に楽しんで、噛みしめていることを物語っていた。

「もはや新人アーティストではない」というのは『BE:FIRST 1st One Man Tour “BE:1” 2022-2023』を観たときにも思ったことだが、今回のステージも同様のパッションが感じられた。プロのアーティストとしての度胸やスキルが磨かれてきたことを『紅白』の舞台でも証明してみせたのである。

SOTA「挑戦した曲『Boom Boom Back』で『絶対にかまそう』と言っていた」

本番出演後には、副音声の実況トークの「紅白ウラトークチャンネル」にSOTA、JUNON、LEOが出演。司会を務めるパンサーとともに和やかなトークを展開した。

パフォーマンスの感想を聞かれたJUNONは、「去年出させていただいたときは、本番前ガチガチに緊張していたんです。でも今年は本番前もリラックスしていたし、本番もすごく素晴らしいステージを用意していただいたので、本領を発揮できたかなと思います」と自信をにじませた。

LEOも、「いろんなアーティストのファンの方がまわりにいたんですけど、すごく盛り上げてくださったおかげで『紅白』に出ているという感覚よりも、“ライブをしに来た”というテンションでやれたのがすごく大きくて。そこにいたファンの皆様にも感謝しています。一緒に作り上げられて、うれしいです」と笑顔を見せた。

「大先輩もいますけど、そこの緊張はどうですか?」と尋ねられると、SOTAは「今年は、けっこう挑戦してきた年で。『売れるためじゃなくて、どうしてもやりたい』みたいな選択をしてきた年だったので、挑戦した楽曲のひとつである『Boom Boom Back』で『紅白歌合戦』への出演が決まった時点で、『絶対にかまそう』とずっと言っていました。緊張というより、2023年を最高のかたちで終わらせるぞっていうメンバー内の塊がすごかったと思います」と、今回の『紅白』にどのような心境で臨んだのかを明かしていた。実際のパフォーマンスについても、「今日はよかったよね!」と晴れ晴れとした笑顔をのぞかせた。

来年の抱負については、LEOが「“音楽が大好き”という気持ちを忘れずに挑戦していくことも大事ですし、世界へ行くっていう目標もあります。でも、一番大事なのは誰かに届けるんじゃなくて、あなたに届ける、君に届ける、ひとりに届けるっていうこと。そんな自分たちがマイクを持ち始めたころの気持ちを忘れず、音楽を真摯にやっていくことが大事」と、熱い胸の内を吐露した。

さらにJUNONは、「2023年末から始まったアリーナツアーの集大成としてドームでの追加公演が決まっているので、そこを成功させられるように、しっかりとアリーナツアーを終わらせたいと思います」とコメント。

コーナーの最後には、リハーサル中のステージ袖でこっそりとSOTAが、ハマいく「ビートDEトーヒ」のヒップホップバージョンを踊っていたというタレコミも。急なムチャブリに応えるかたちで、LEOが歌唱し、SOTAがキレキレのダンスを披露した。

2024年、次のメインストリームへ

そのあとは、坂本冬美「夜桜お七」のステージに、真っ黒な衣装に身を包んだSHUNTO、MANATO、RYUHEI、RYOKIが出演。ダンスミュージック風のアレンジがされた楽曲を、JO1のメンバーとともに艶やかに美しく舞い踊った。

YOASOBI「アイドル」では、ほかの“アイドル”たちとともにSOTA、MANATO、JUNON、LEOがラップ調のフロウに乗せて、ダンスを披露。カラフルなボーダーの衣装は、今回のテーマである“ボーダレス”を謳っているようにも感じられた。

ラストには上手(かみて)の花道で、ほかの出演者とともに「蛍の光」を歌唱。自分たちのパフォーマンスだけでなく、直前番組や副音声の実況トークへの出演、他アーティストとコラボレーションも積極的に行い、『紅白』出演2回目とは思えないほどの大活躍だったBE:FIRST。

初出場からの1年間で、彼らはしっかりとプロのアーティストとして研鑽されてきた。今では“オーディション番組で話題をさらった注目アーティスト”という枠には到底収まらない、次のメインストリームを築く存在であることはいうまでもないだろう。さらなる挑戦を経て、よりアーティシズムを煮詰めていく2024年の7人が楽しみでならない。

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坂井彩花

(さかい・あやか)1991年、群馬県生まれ。ライター、キュレーター。ライブハウス、楽器屋販売員を経験の後、2017年にフリーランスとして独立。『Rolling Stone Japan Web』『Billboard JAPAN』『Real Sound』などで記事を執筆。エンタテインメントとカルチャーが..

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