『M-1グランプリ2023』の準決勝が12月7日(木)に行われ、同日には決勝へ進むファイナリストが発表される。準決勝の時点でファイナリスト有力候補と呼ばれていた芸人たちが次々と敗退してしまい、今大会はすでに例年以上の大荒れとなっている。
この記事では、ブロガーのかんそうが準決勝進出者全31組の中からなんとか選び抜いた、特に今年決勝に駒を進めてほしい10組の魅力を語る。
真空ジェシカ(プロダクション人力舎・2022年決勝5位)
ある層の人間にだけわかるピンポイントに股間を狙い刺すような川北茂澄のボケと、そのトリッキーなボケを解説しつつもさらにその威力を増幅させる情感にあふれたガクのツッコミが魅力。今年はその精度があり得ないほど上がっていて、すべてのくだりが一撃必殺級のおもしろさ。ますます手がつけられなくなっていた。
豪快キャプテン(吉本興業・決勝進出経験なし)
べーやんの雲のようにつかみどころがなく自由自在に繰り出されるボケと、山下ギャンブルゴリラの山のようにどっしりと構えたツッコミ。結成4年とは思えないほどの安定感のある漫才を見せてくれる、まさに豪快キャプテンの名を体現したコンビといえる。
エバース(吉本興業・決勝進出経験なし)
とにかく「ネタの内容」がおもしろい。おそらく文章だけで読んでもいいくらいに、台本の完成度がとてつもなく高い。キャラが入っているわけではない、過剰なリアクションやツッコミがあるわけでもない、あくまで自然な会話がとんでもなくおもしろい。その上で佐々木隆史のポップな雰囲気と町田和樹のアウトローな雰囲気のギャップで唯一無二のおもしろさが生まれている。
令和ロマン(吉本興業・決勝進出経験なし)
ボケの鮮度に対する嗅覚が半端ではなく、その瞬間に一番おもしろいトレンドの笑いも容赦なく入れ込み、観ている側は一秒も油断することができない。多種多様なキャラクターを完璧に演じ分ける高比良くるまの演技力は、菅田将暉みすらあり見れば見るほどクセになる。そんなボケを正確に指摘しつつもどこか相方への愛を感じる暖かい毛布のような松井ケムリのツッコミがたまらない。
ななまがり(吉本興業・決勝進出経験なし)
「ラヴィット!presents 『つかみ-1グランプリ』」で優勝をかっさらった実力からわかるとおり、スタートダッシュの爆発力は随一。「不審」を極めたような森下直人の独特な雰囲気と、表情までおもしろい初瀬悠太のパワフルなツッコミは、一度見たら二度と忘れることができない。
ヤーレンズ(ケイダッシュステージ・決勝進出経験なし)
ゆるい雰囲気に油断することなかれ、想像の斜め上からブスリといかれるようなエッジの効いたボケが魅力。どのネタも物語の流れが美しく、ネタが進むごとに尻上がりにおもしろくなっていく、まるでダルビッシュ有の投球のような漫才を見せてくれる。変幻自在に役に入ることができる楢原真樹の憑依力もさることながら、泳がせるところは泳がせる、行くところは行く、剣の達人のような出井隼之介のツッコミが気持ちよく、ネタへの没入感はまるでドルビーサウンド。
さや香(吉本興業・2022年準優勝)
お互いの主張をぶつけまくる、ノーガードで殴り合うような漫才は爽快感の極み。ネタの題材になっている話題は日常のあるあるやちょっとした疑問が多いのだが、それを10にも100にもふくらませて爆発させる。しかも漫才中のキャラクターと彼らが普段見せるキャラクターに齟齬がないので、緻密に計算されたネタでありながら、素のふたりのやりとりを見ているような感覚にもなるのも本当にすごい。
トム・ブラウン(ケイダッシュステージ・2018年決勝6位)
狂気のマッドサイエンティストと、その男が作り出したすべてを破壊する人造人間のような出で立ち、「人間を合体させる」という謎すぎる漫才に、初めて観たときは本当に意味がわからず恐怖すら感じていたのだが、年を重ねるごとにどんどん好きになっていく自分がいた。今では布川ひろきの奇声とみちおの笑顔がかわいくて仕方がない。今年、準々決勝でのトム・ブラウンはその「合体」に頼ることなく、自分たちの持つ狂気、野性をより洗練させ、さらに理性を兼ね備えた、まるで『はじめの一歩』の鷹村守のような漫才を披露していた。すべてを破壊してほしい。
鬼としみちゃむ(吉本興業・決勝進出経験なし)
丸メガネで長髪の鬼沢さんと、マッシュルームカットにピンクスーツのしみちゃむ。トム・ブラウンに匹敵する見た目のインパクトに、負けないほどネタの発想力が「変」のひと言に尽きる。安直な言い回しだが、なんのネタを見ても普段何を食べていればこんな設定が思いつくのかと驚いてしまう。恐るべきは、その設定の奇っ怪さに反比例して、くだりの一つひとつはわかりやすく、誰でも笑えるような構造になっているのが、本当に変すぎて怖い。
ロングコートダディ(吉本興業・2022年決勝3位)
誰にも思いつかない異次元の発想力を持つ堂前透と、ただ真顔でこちらを見ているだけでも笑いが取れる男・兎。コント漫才でもしゃべくり漫才でもない「ロングコートダディの漫才」としかいいようがないものを見せてくれる。「ロングコートダディ」自体がお笑いがひとつのジャンルになりつつある。
全31組の中からこの10組に絞るのは、本当につらかった。こんなものは「サザンの曲で何が一番好き?」と言われているようなもの。アホな言い回しだが本当に「全員優勝」でいい。だが、これは戦い。本当に全員病気やケガだけには気をつけてがんばってほしい。まずは準決勝、そして決勝進出者発表の瞬間を、心して刮目したい。
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