芸人たちの“働き方改革”。ぼる塾は「自分たちが楽しくやれることだけをやる」

ぼる塾

トップ画像=ぼる塾インタビューより

文=てれびのスキマ 編集=梅山織愛


テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。

『内村と相棒』(8月30日放送)

「内村芸能人ミュージアム」×ぼる塾の後編。今回は芸人になってからの話。田辺が島田秀平の手相占いをきっかけにNSCに入ったという有名な話から、デビュー当時の猫塾やしんぼるの漫才の映像を観て、アンガールズ田中が『THE W』の審査のようにコメントする流れがおもしろかった。田中「あんりがお客さんを惹きつけて間をしっかり取ってる。いきなりできてるのは、異常なこと」。

5年やって芽が出なかったため、あんりが辞める決意をして最後にライブをやることに。単独では客が集まらないと考え、先輩の猫塾とのツーマンライブを企画。そのライブタイトルが「ぼる塾」だった。しかし、妊娠していた酒寄のつわりがひどくなったため、1週間前くらいに出演できないことになったという。そこで作家(おそらく山田ナビスコ)の助言でしんぼるのネタに田辺を入れてやったら「コンビ時代のどのネタよりも大ウケ」したため、田辺に組んでほしいとお願いするも、当初は「酒寄さんを待っているから」と固辞。作家に相談すると「4人でやれよ。酒寄、育休で、3人でまずがんばればいい」と言われ「その手があったか」と結成されたと、ぼる塾誕生の経緯を語る。内村「今日めっちゃいい話じゃーん!」。

ぼる塾が「働き方改革」をしているということで、彼女たちのNG項目の一覧が提示される。それが「体を張る」「大食い」「水着」「休みなし(週1休み・育休OK)」「自宅」「絶叫系」「激辛料理」「虫」「暑い&寒い場所」、そして田辺のみNGが「心霊系」「浜辺」「無人島」「動物」「温泉」「足湯」。内村「これ全部『イッテQ』はやってる(笑)」。

「自分たちが楽しくやれることだけやろう」というのが、4人が集まったテーマだったから決めたとあんりは言う。

そんななか、「旅番組の冠番組を持ちたい」という共通の夢を叶えるため、その障壁となっている田辺のみのNG項目のひとつ「足湯」を「解禁」するという。とんでもなく巻き爪で恥ずかしいからNGだったそう。進行役のシソンヌ長谷川も「歴史的瞬間が見られる」と煽るが、田中が「何がいいの、こんな番組? イカれてるよ! 足入ってるだけでしょ!」と激しくツッコミ。田中も入るように促され、田辺と並んで足湯に入るほのぼのとした画に「おかしいだろ! こんな終わり方の番組ない!」と田中。「それが働き方改革」と笑うあんりに田中「改革するな! 昭和のお笑いに戻せ!(笑)」。

「今日一番深く掘り下げてる」「一番ミュージアムらしかった」と内村が言うように、ぼる塾の歴史と特異性がよく出た回でおもしろかった。内村「早く酒寄さんにお会いしたいですね」。

『あちこちオードリー』(8月30日放送)

オードリーがリスペクトする石塚、彦摩呂、ずん飯尾の「食リポの達人たち」がゲスト。「全部の仕事のVTRの中で石塚さんと彦摩呂さんの『ソレダメ!』の食リポが一番好き」という若林。一方、飯尾の『ずん喫茶』を毎週録画して観ている春日。飯尾の距離感について「武道に通じるような喫茶道。我々は取りに行っちゃって格闘技になっちゃう。おもしろいのを引き出そうとか、こっちのフレーズを残そうとか。(飯尾さんは)もう武道で……」と饒舌に絶賛する春日に若林「熱いな! お前! あんま見ないぞ、お前の熱弁!(笑)」。

「食べることがお好きですもんね?」と若林が確認すると、すかさず石塚が「逆に食べないことが嫌いです」と答える。若林「これよ! 俺もう大好き!」。

ふたりがツッコまないことが好きだと若林が言うと「争い事が嫌い」と笑う石塚。ゲームに負けると食べられない人が出てくる企画については「それは番組としていいのだろうか?」と真っ当に抗議する。本当にそう。形骸化してやっている番組が多い気がする。

「食べ物って視聴者はイジワルに『うまいって言ってんだろう、そうでもないのに』って言うけど、たいがいおいしいですよね」と言うが、それは視聴者よりもむしろ芸人側がトークの定石として「まずいものをどう表現するか」みたいなことを言っているイメージがある。そのトークを聞くたびに、そんなまずいものが出てくる頻度高いはずないのにな、と思っていた。石塚も基本、制作の人間がまずリサーチするから、「『まいう~』なとこにしか行ってないから『まいう~』だよね」と。

たまにすごく長く回すディレクターがいるが「俺はもう足りてるなと思ったらずーっと真顔」とぶっちゃける石塚。彦摩呂「我々の働き方改革(笑)」。

そんな彼らの食リポに関する数々の技術を聞いて、若林「それ聞いた上で『ヒルナンデス!』戻りてぇな!(笑)」。

2020年4月1日から毎日欠かさず更新してきた連載「きのうのテレビ」は今回が最終回です。
1200日以上、1日も欠かさず執筆いただいたスキマさん、そして毎日楽しみにお待ちいただいた読者の皆様、本当にありがとうございました。
今後も、スキマさんの連載はかたちを変えて継続予定です。新連載もお楽しみに!

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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2023年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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