写真を撮ることにこだわりを持つアーティストや俳優・声優による連載「QJWebカメラ部」。
土曜日はアーティスト、モデルとして活動する森田美勇人が担当。2021年11月に自身の思想をカタチにするプロジェクト「FLATLAND」をスタート、さらに2022年3月には自らのフィルムカメラで撮り下ろした写真をヨウジヤマモト社のフィルターを通してグラフィックアートで表現したコレクション「Ground Y x Myuto Morita Collection」を発表するなどアートにも造詣が深い彼が日常の中で、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。
体力の果てに見えた夕空
第62回。
まあ、猛暑。
毎夏、今年は何年ぶりの猛暑ですとかなんとか。
きっと一万年と二千年ぶりくらいには暑い今年の夏。
車が示す外気温が37℃をマークしている。
前に見える道が蜃気楼で歪んで見えづらい。
細胞一つひとつを焦がしてくる陽射しをサンバイザーで巧みに避けながらなんとか白目で昼間を乗り越え、削られた体力の果てに見えた夕空。
ボーッとした頭は目の前のきれいを処理できなかったが、無意識にシャッターを切った。
ぼやけた視界と体を包む熱気が黄昏時には心地よく、毎年大容量と書いてある麦茶を少しずつ流し込む。
とても気持ちのいい喉ごしだが、身体の隅々に行き渡る冷気が胃腸を冷やさないか逆に不安。
DJミックスかのようにこもった蝉の声がようやく輪郭を持って聞こえた。
ただの夏バテ。
中山莉子(私立恵比寿中学)、セントチヒロ・チッチ(BiSH)、長野凌大(原因は自分にある。)、東啓介、森田美勇人、南條愛乃が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。
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