“ゲーム実況の祖”ゆとり組、まさかの顔出し登場。彼らの提案にマヂラブ野田「泣いちゃうって」(てれびのスキマ)

マヂカルラブリー

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。

『マヂキタ大草原』

マヂラブ野田と真空ジェシカ川北がネット文化を振り返る番組の第2回。今回はニコニコ動画時代が中心。「Nice boat.」「MMD」「コメ職人」「あいつこそがテニスの王子様」「おっぱいのペラペラソース」などなど、かつてニコ動で流行った懐かしいフレーズが飛び交うなか、「ボカロあたりが陽と陰をつなぎ合わせた瞬間」「ネットとエロは同じ言葉だと思っていい」「(コメントは)演出なんだよね。あの瞬間はやっぱ、このコメントが心のつまみになって感情を高めてくれるわけよ」といった野田の言葉が実感がこもっていて説得力がハンパない。

ゲーム実況プレイヤーによって形成される“ゆとり組”が「ゲーム実況の祖」で、何度もコメントを書き込んだなどと野田らが話しているなか、ぬるっと入ってくる男がふたり。

実は彼らは、顔出し初というゆとり組のメンバー・しんすけと加藤。「うわー、マジか! やっててよかったぁ」と野田は歓喜。オラついてるイメージだったが、「めっちゃ好青年」だと。「うそよね~ん」と彼らの代表的フレーズを言ってもらい大喜び。ゆとり組のふたりに「野田ゲーを実況させてください」と言われ野田「泣いちゃうって。最終地点なんじゃないの、俺の?」。

やっぱりネット文化にどっぷり浸かっていたふたりだからこその熱量があるからおもしろい。「当時は時間のムダだと思っていたいろんな出来事が今、ひとつのものに向かっていっている感じがする」と感慨深げに語る野田。前述のように「ボカロが陽と陰をつなぎ合わせた」と野田は言っていたが、野田こそが真の意味でネット文化とテレビ文化をつなぎ合わせているのではないか。ネタはまだまだあると思うので、第2弾もぜひやってほしい。

『不夜城はなぜ回る』

番組ディレクターのプジョルジョがかつて「甲子園を目指す高校球児のキャプテン」だったという、イメージとは違う事実が東野から明かされるオープニングから始まった今回は、山形へ。

雪山の果てに住んでいるのは79歳の永井栖鳳。尺八を制作・調律する製管師をしているそうで、できるだけ正確な尺八を作るには、静かな夜がいいとのこと。だからプジョルジョが訪ねてきた際も、だいぶ遠くから気づいていたというのがスゴい。深淵をのぞくような生活の中から出てくる言葉は哲学的でとても味わい深かった。

後半は、取材対象の「9割が男性」と気づき、それはよくないと考えて生まれた新企画「不夜嬢はなぜ回る」。深夜に店を訪れるおひとり女性に話を聞くというもので、取材も女性ディレクターが行う。小峠企画もそうだが、好評を呼んでいる現在の段階で、ちゃんと番組に合いつつ毛色の違う企画を生み出しているのが素晴らしい。このコーナーのBGMは、「寒い夜だから」でなぜかTRF縛りなのもおもしろい。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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